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「 140文字の物語 」
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明日死ぬんだってさ、と彼は笑った。
彼は他の色を拒むような真っ白な空間にいた。
ベッドの上の彼の血色はそんなに悪くない。
細い管が腕に刺されていなければ、患者には見えなかった。
「だから今日は面会時間終了まで一緒にいてくれない?」と言った彼は儚げだった。
私は無言で頷いた
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幾度めかの失恋のために、君は髪を切った。
そうすることで過去にするんだと強がりを言う。
「今度、恋する相手は僕にしなよ」と僕は言った。
もう黙っていることに疲れてしまったんだ。
君の耳には冗談だと響いたらしく、微苦笑を浮かべる。
いつになったら、気がついてもらえるだろう。
誕生石がガーネット。
高校生のお小遣いでも買えるような物だった。
ダイヤモンドとは言わないけれど、せめてルビーぐらいの価値のある石であればよかったのに。
そんなことを今日まで思っていた。
「誕生日、おめでとう」と彼が小箱を差し出す。
中には指輪が入っていた。
宝物になった。
僕の隣の指定席は、君だけしか考えられない。
悲しくなったり、苦しくなったり、辛くなったり、泣きたくなったら、僕の隣に来て。
どんな話も聴くよ。
君の笑顔はストックしている。
だから、それを思い出せるようになるまで、ずっと傍にいるよ。
いつでも君のために僕の隣は空けておくよ
生まれて初めて、人を好きになった。
少女のことなら、どんな些細なことでも知りたい。
どんな食べ物が好きか。
どんな色が好きか。
どんな曲が好きか。
どんな作者が好きか。
一つ一つは小さなピースだけれども、集まれば少女の形になる。
だから、見落とさないように今日も少女を見つめる
穏やかな昼下がり。
気持ちの良いお天気で、二人揃って睡魔に身をゆだねた。
夢の続きのような現実に目が覚めた。
起こさないように、そっと寝返りを打つ。
彼の眠りは深いようだった。
どんな夢を見ているのだろう。
微かに笑みを浮かべている。
彼の夢の中に入っていければいいのにと思う
どんな人の胸にも種が宿っている。
いつかそれぞれの花が咲くように。
小さな花、大きな花。香りが漂う花。凛とした花。
一つも同じ花はない。
時期が来れば種は咲き誇る花になる。
それまで、たくさんの愛という名の太陽の光を浴び、水を受け取る。
花を咲かせるため
こんなにも愛しているのに、愛の言葉が思い浮かばない。
口に出るのはひねくれた言葉ばかり。
それじゃあ、僕の気持ちが君に伝えありっこない。
分かっているのに、素直な言葉が出てこない。
君を傷つける言葉ばかりが、出てくる。
いっそのこと、口をつぐんだ方がいいのかもしれない。
今日は花火大会。
普段は袖を通さない浴衣を着付けてもらった。
いつもと違う装いに違和感を覚えた。
着付けてくれた母は喜んでいた。
だから、嬉しい振りをした。
会場までの道は混んでいて、その人だかりにすでに気が滅入りそうだった。
汗で浴衣が皮膚に張りついて、気持ち悪かった。
-
君が悲しくなった時、それを受け止められる僕でいたい。
君が涙の海で溺れそう時、手を差し伸べられる存在でいたい。
君の悲しみは君だけのものかもしれないけれど。
分かち合えることができるようになりたい。
いつでも、どこにいても、僕を忘れないで。
きっと君の元へ駆けつけるから。
カラン。
恋が終わる音のように、切なく鳴った。
水滴のついたグラスの中の氷が溶けた。
二人の間にあるのは沈黙だった。
以前ならば、気にならなかった無言も今は重い。
長すぎた春が終わるのを気がつきたくはなかった。
終わりの言葉を切り出せずにいるのを分かっていて知らん振りした。
パズルのピースを探すように、欠けた愛を探している。
こちらが思うほど思い返してはくれない。
愛しすぎているのは分かっている。
いつでも愛情に飢えていた。
孤独を埋めてくれるように、愛されたいと願っている。
それが相手の重荷になっていることも分かっている。
それでも止まらない
日差しが強く、肌を灼く。
汗がにじんで、肌に服が張りつく。
からからに渇いた喉に、意識まで朦朧としてきた。
このままでは倒れる。
自動販売機から水を購入して、辺りを見渡すとこんじまりとした公園があった。
木陰にあったベンチに座り、買ったばかりの水を飲む。
ほっと一息をつく。
些細なことで彼と衝突した。
悪いのは私の方だと分かっている。
けれども、口から出た言葉が止まらなかった。
会いたくても会えなくなるなんて思ってもみなかった。
後の祭りだった。
既読の着かないLINEに謝ることすらできないのかと思うと辛い気分になった。
彼に優しさに甘えていた
最後のデートは浜辺だった。
泳ぐのも適切ではない時期だったから、人もまばらだった。
沈みゆく太陽が二人のこれからを暗示するようだった。
季節は巡り、あの浜辺に独り立つ。
海に沈めたあの日の思いが蘇ってきた。
本当はいつまでも一緒にいたかった。
それを素直に口にできなかった。
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