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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
強風が吹き、梢が揺れる。
木の葉を落とした枝は魔女の指先のようだった。
闇夜に紛れて、影が盗まれても分からないだろう。
少年は少女の手首をつかんだ。
此岸に持っていかれると思ったからだ。
指の腹から、少女の脈拍を感じた。
それが生命の拍子だということに安心した。
少女は消えたりしない。
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鏡に向かって化粧をする。
仕上げに真っ赤なルージュを唇に引く。
ムスクが香る香水を吹きかける。
武装は完璧だ。
歳が離れているのは、どうやっても埋めることはできない。
だからせめて、歳よりも大人びて見えるように努力をする。
背伸びだということは分かっている。
本当は似合わないくせにね。
-
ずっと言いたかったことがあったんだ。
でも、それを言ってしまったらいけないような気がしたんだ。
だから静かに口を閉じた。
胸の奥底に仕舞いこんだ。
時間が経てば経つほど、それは大きく育っていく。
自分でもコントロールできないぐらいだった。
溢れだした気持ちは綺麗なものじゃなかった。
どちらかというと、クラスの中では埋没するような女子生徒だった。
美人ではないし、ムードメーカーでもない。
話の中心になるような存在ではなかった。
おとなしそうだから、次の彼女にしてみるのも楽しそうだ。
そんな風に舐めてかかったことを悔いる。
彼女は芯の強い、そう「大和撫子」だった。
幼なじみは綺麗になった。
木登りもしなくなったし、カエルの卵を持ち帰らなくなった。
一緒に遊ばなくなってから、ずいぶん経つ。
それでも朝夕一緒に通学路を歩いた。
制服がくたびれた歳になっても変わらない。
「告白されたんだ」幼なじみは言った。
「そう」うまく笑えてないのは自覚してる。
音楽を聞きながら雑誌をめくっていた。
グラスが空になったから「おい」と君を呼んだ。
そして気がつく。
君はもうここにはいない。
独りぼっちの空間は広すぎた。
君がいないことが信じられない。
でも返事がないのが答えだ。
目が潤む。
雑誌をテーブルの上に置き立ち上がる。
君の好きな曲をかける
最初に好きになったのは、僕の方だった。
初めて出会ったような気がしなかった。
長い歳月を経て、再び巡り会った恋人のように思えた。
ようやく見つけた。
そんな感動で心が震えた。
それなのに君は僕以上に想ってはくれなかったようだ。
ありふれた出会いの中で、告白されたから付き合ったようだ
「怪我も役目の内。なんて言わないでください」結界から出て投げつかれた言葉だった。
「神剣・神楽があれば時期に治るよ」青年は言った。
実際、痛みはだいぶ引いてきた。
「そんなために渡したのではありません」少女は大きな瞳に涙を浮かべる。
「ありがとう」青年は力強く、少女の指を握る。
彼女の自由奔放さに惹かれた。
自分の周囲にいないタイプだった。
こだわりにとらわれない姿は羨ましかった。
太陽の傍にいると錯覚した。
交際を申し込んだら快諾されて嬉しかった。
一緒にいる時間が増えると欠点が見つかる。
彼女の自由さが苛立つ。
もう黙っていることに疲れてしまったんだ。
居間で新聞を読んでいると焦げた香りと煙が漂ってきた。
少女がお菓子作りに挑戦していたはずだ。
失敗したのだろうか。
料理は上手でもお菓子作りは不得手なようだ。
母もそうだったと思い浮かべる。
青年は新聞を置くと台所を覗く。
「大丈夫か」尋ねると涙目の少女が炭化した菓子を持っていた。
「私のこと好き?」と少女は何度も確認する。
その度「大好きだよ」と少年は答える。
いっぱい傷ついてきたのだろう。
どれだけ確認しても不安になるのだろう。
もっと早く出会っていれば、苦しみも悲しみも分かち合えたのに。
「私も大好き」と少女は言った。
わずかとはいえ納得できたのだろう。
それは柔らかくて温かかった。
気持ちよくて思わず握りしめる。
「痛い!」少女の声がした。
青年は寝ぼけ眼で状況を把握しようとしたが、寝起きだ。
頭が働かない。
「もう朝ですよ。ご飯もできています」少女は言った。
目をこすろうとして、柔らかいものの正体に気がついた。
少女の細い腕だ。
「アイスを食べたい。寄り道しようよ」と彼女は言った。
「この寒い中、アイスはちょっと」と俺は言った。
「店内は温かいよ。暖房が利いた場所で食べるアイスは美味しいよ」
その言葉に負けて寄り道することになった。
個別注文して席に着く。
「ずるい。そっちの方が大きい」ずるいのはどっちだ。
「待ってよ!」後ろから声が追いかけてきた。
ほどなく腕をガシッと掴まれた。
頬を上気させた少女がいた。
「コンパスの差、いつになったら覚えるの?」少女は言った。
同年代でも背の高い少年と背の低い少女では歩幅が違う。
「ごめん、考え事していた」その場を取りつくろうように少年は謝った
初めてデートをした水族館が閉鎖するという。
来場者数と維持費の関係で続けてはいけない、という世知辛いものだった。
最終日は混むだろうと、日付をずらして水族館に向かった。
水族館は惜しむ人々でいっぱいだった。
はぐれないようにと手を繋いだのも、初デートの時を思い出させた。
懐かしい
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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