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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
「お願いがあるの」少女は言った。
「話だけなら聞いてもいいけど?」少年は溜息まじりに言った。
「本当?」
「嘘をついてどうするの」
「あのね。週末お花見に行かない?」少女は期待に目を輝かせる。
この瞳に弱い。
混雑するところが苦手な少年にとって避けたい場所だ。
それでも頷いてしまう。
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大切な話がある、と恋人が切り出した。
恋人は深刻な顔をしてテーブルを凝視していた。
家族連れでにぎわうファミレスには不釣り合いな光景だった。
「別れてほしい」と恋人は言った。
こちらの目も見ずに一方的に突き付けてきた。
そんな予感はしていた。
笑い飛ばしてしまいたかったのに失敗した
陽光と月光が対等でないように、二人の生まれは対等ではなかった。
神のわずかな慈悲だろうか。
父母は二人を比べずに愛してくれた。
対のように生まれてきたのだ、と。
二人に差はないのだ、と。
何度も口にしていてくれた。
でもそれでは進むことはできない。
二人には別々の道を用意されていた。
「たとえばの話をしようか」青年は言った。
縁側でふてくされた少女と目が合う。
「君は隣国の姫様」青年の言葉に少女の瞳に光が宿る。
「僕はただの騎士。姫様の護衛を申しつけられた末端貴族」
「それで?」少女は結末を知りたがる。
「この先は思いつかないから、二人で考えよう」と青年は言う
戦い前に神剣・神楽と向き合うのはいつもの習慣だった。
神経を研ぎ澄ませる。
落ち着いた気持ちで神剣・神楽を握る。
それなのに今日は胸がざわめく。
浮足立っていては勝てる戦いも勝てなくなる。
青年は息を整える。
少女の元に無事に帰ってくる義務がある。
少女のことを考えると心は凪いでいく
神社仏閣めぐりの趣味のクラスメイトに付き合って、神社にやってきた。
森林に囲まれた空間は非日常だった。
一歩、外に出ればどこにでもある街並み。
ここはそこから切り取られていた。
御朱印をもらっている間、絵馬を眺めていた。
「私のものにならないなら死んで」
なんて物騒な願い事だろう。
今朝見た時、部屋の室礼は完璧だった。
主が目覚めるのを待つかのように道具たちは鎮座していた。
それが昼餉の準備が整ったことを知らせようと入室すると嵐が起きたかのように様変わりしていた。
主が癇癪を起こしたのだろう。
「呆れた?」主が言う。
「手間のかかる子ほど可愛いと申しますし」
二人は秘密の恋人同士だ。
周囲が反対するのが分かっている。
だから、一度は離れ離れになった。
距離を置くと置けば置くほど、好きという気持ちが膨れ上がった。
姿が観たい。
話をしたい。
だから、人前では赤の他人の振り。
好きだという気持ちを押し殺してふるまう。
恋の炎は身を焦がすほどだ。
口説きに口説いてようやく口説きをとしたクラスメイトとのデート。
お付き合いはいったん置いといて一緒に遊ぶような友達から。
そう言われたから、張り切っていた。
良いところを見せて彼氏に昇格したい。
それなのに習慣ほど怖いものはない。
ランチの時にいただきますと手を合わせてしまった。
自分の『恋』はドラマやゲームの中にしかないと思っていた。
身近な友だちに恋人ができて祝福はしたけれど、よく分からなかった。
自分以外の誰かを想って、その人のためになりたいと思う。
その行動パターンが謎だった。
そんな自分にも春が訪れた。
真っ白な封筒が『恋』へと誘う招待状だった。
「朝なんて来なければいいのに」傍らのぬくもりが言った。
小さな呟きだから聞かせるつもりがなかったのだろう。
「ずっと、夜だったら仕事に行けないよ」と言うと「ごめん、起こした?」謝られた。
答える代わりにぎゅっと抱きしめた。
「もっと一緒にいたいな」胸の中で微かに本音を零された。
夜更けに、月に誘われるように庭に出た。
つい先日までコートが必要だったとは思えない。
煌々と輝く晧い月は世界を静寂にいざなうようだった。
そよと吹く風は南風で、肌を優しくなでていく。
まばらな星を線で繋げて星座を見る。
なんて美しい光景なのだろう。
昼間とは違う景色にうっとりする。
少年は背も高く、整った顔立ちをしている。
成績も悪くないし、運動神経も切れていない。
性格も温厚で、人望も厚い。
お隣さんは完璧すぎる学園の王子様だった。
そんな王子様の隣にいる私はお姫様じゃない。
帰り道「どうしたの?」と心配そうに訊かれた。
「そういうところも大嫌い」私は言った
明るく元気な少女はどこへ行っても可愛がられた。
気を引こうと意地悪する連中から守るのは自分の役目だと少年は思っていた。
幼稚園から高校まで一緒の進路を歩んできた。
少女は鈍感なのか、少年の想いに気がつかない。
少年も一歩の勇気が踏み出せなかった。
口唇にふれたいと思っているのに。
王を止めることができたのは、この世でただ一人だけ。
美しい姿の中に聡明な魂を宿した娘。
隣国から嫁いできた王妃だけだった。
王が隣国の舞踏会で見初めた娘。
爵位は低いものの隣国で大切にされていた家の令嬢だった。
無理やりな形で王は娘を連れ帰った。
そんな王妃も病には勝てなかった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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