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「 140文字の物語 」
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古典が苦手だった。特に和歌が苦手だった。松が待つになるということが不思議に思えた。
受験が迫っていた。苦手だからと逃げてばかりはいられない。
担任の先生から渡された本を読みながら、勉強をする。それでも分からなかった。思わず本を握りしめる。
先生にとって、私は生徒だ。
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誕生日にはケーキ。誰もが想像していた。それなのに、誕生日だということを忘れ去られていた私。
お腹を空かして帰ってきたのに「その辺のものを食べれば?」とお母さんが言った。
スマホをいじりながら、お母さんは私の目を見なかった。「お誕生日おめでとう」の一言が欲しかった。
頑張って朝早く、キッチンに立った。目覚まし時計は3つもかけた。
そうでもしなければ、夫よりも朝早く起きられない。
気持ちよさそうに寝ている夫を確認して、ベッドから滑り降りる。そして朝食を作った。
ほどなく夫が起きてきて「夢かな?」と言った。仕方なく、腕に爪を立てる。
ペットボトルでできたロケット爆弾。その人は鋭い目で風を読んでいた。その時が来たのだろうか。
その人は立ちあがる。そして複数のペットボトルのロケットを飛ばしていく。
それは弧を描きながら、空を彩った。ただ一つを除いて。
飛ばなかったペットボトルのロケットに、近づいた。
裸になって睦みあっても、決して一つになれない。鼓動を重ねても、熱を分けあっても。
快楽の夜に沈みこんでいっても、どこまでも二人ぼっちだった。それが哀しい。悲しいではなく、哀しい。
僕たちは言いようのないメビウスの穴にはまりこんだ。あるいは、ウロボロスの蛇になった。
iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。

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僕は、震えないように祈りながら最後の嘘をついた。それは現実逃避のための嘘だった。
最後の嘘なんてそんなものだろう。「君にもらったものは全部返す」と、僕は大きな嘘をついた。
本当の願いは、どうせ叶わないから。出会ってから、積もった想い出の数々を忘れるなんてできない。
少女は長かった髪をバッサリと切った。踏ん切りをつけるためだろう。季節は一つ分だけ移ろっていた。
桜のつぼみの下で少女は、想い人に告白をしたのだ。一部始終を見ていた少年は気まずかった。
少女は「泣くくらいだったら、笑ってやる」と勝気な言葉を吐いた。それが救いだった。
iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。

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僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。それは最初で最後の嘘だった。
だから君の目を見つめ返すことができなかった。目をあわせてしまったら嘘だと分かるだろう。
「君を、信じきることができなくてごめん」と今でも全幅の信頼を寄せている君に言った。
もう、覚悟は決めたんだ。
父の形見の脇差しを持っていなかったら、どうなっていただろうか。相手は殺意を持って私を刺す。
危機一髪で、それをふさいだ。刀と刀がぶつかる音が耳元でした。「死んでくれないか」と相手は言った。
初めて会った人物に言われるほど気楽な生を生きていない。脇差しで相手を刺す。
何度も、何度も、くりかえし確認した。それなのに返ってきた答案用紙は満点ではなかった。
何度も、何度も、くりかえし確認したのに、一つばかりのケアレスミス。もう少しで満点だったのに。
悔しくて、思わず答案用紙をぐしゃりと握りしめてしまった。こんな答案用紙はいらない。
iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の噓をついた。それは独りでも前へ進むための嘘だった。
不安げに僕を見上げる君。「寂しくなんてないよ。大丈夫」と君の頭を撫でて嘘をついた。
これが本音なら、楽だったのに。どんな道でも最期は独りきり。分かっていても、寂しさが去来する。
青年は神剣・神楽と少女を抱えて、路地裏に忍びこんだ。
同胞から受けた傷は、神剣・神楽をもってしても、じくじくと痛んだ。「あの」と少女が言った。
俵持ちで抱えていたことに気がつき降ろす。「すまなかった」と青年は謝罪した。
「いえ」少女は遠慮がちに、青年の両手に触れる。
力をこめれば甲高いを音を立てて壊れるような。そんな片想いをした。
まるで無色透明の氷のように繊細なのに、熱はない。
そんな硝子のような片想いは、破片を拾えば指を傷つける。明るい赤い血が流れて、硝子を汚す。
傷を気にせず、割った欠片を拾い集める。たった一つの想いだ。
白金色の頭髪の少年は花束をもらった。一年通して成績が一位だったからだ。
それに比べて少女は胸に飾るほどの一輪の花をもらった。今度こそは、と少女は対抗心を燃やす。
校長先生から、直接花束をもらいたい。そして、青空に投げるのだ。
こんなものくだらない、と笑顔を浮かべて。
「可愛らしい私と艶っぽい私と、どんな私がお好みで?」と女性は尋ねた。
それに青年は真っ直ぐな瞳で「君のままが一番好きだよ」と言った。
「まあ、嬉しいことをおっしゃる」女性は妖艶に笑った。それに青年の心臓がトクンッと跳ねた。
「いつまでも、君が君らしくいてほしんだ」
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