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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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少年は少女と喧嘩をした。それはもう盛大な大喧嘩だった。
あまりの喧嘩に級友たちが止めに入ったぐらいだった。先生からは「少し頭冷やすといい」と忠告された。
少年は空き教室に腰を下ろした。扉が開く音に気づき振り返ると、少女がいた。
少女は恐る恐る、両手を触れ合わせる。
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「蝶々が欲しい」とあどけない言葉を幼子が言った。この時期に飛ぶ蝶は越冬するものだろう。
渡り鳥のように南下するものだろう。この地方では手に入れることができない。
「だったら捕まえてごらん?」と幼子の頭を撫でる。
「子ども扱いは結構です」手を振り払うように幼子は言う。
新聞を読むという習慣は、すでに化石のようなものだろう。ニュースやネットの方が速い。
新聞の記事はすでに過去のことだ。それでも朝刊をとっている。ふと重みを感じて、視線を上げた。
少女がもたれかかる、その重たさだった。「面白いですか?」と少女は問う。青年は微苦笑する。
音もなく降り出した雪を見て、スマホを手に取った。凍える手をさすりながら、窓を開ける。
動画モードで雪を撮影する。あまり重荷になってはいけないから15秒だけ。LINEに貼りつける。
返事を期待して、窓を閉めた。構って欲しいと思うのは、依存なのだろうか。スマホが振動した。
iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?

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僕は、少しだけ震える声で最後の噓をついた。それは現状打破のための嘘だった。
「僕はいなくなったりしないよ」と真っ赤な嘘をついた。
そうでもしなければ、君は泣き続けているだろう。「本当?」と君は涙混じりに尋ねる。
「約束だ」と僕は言った。だってもう、仕方がないだろう?
掛け時計が時刻を知らせる。「邪魔だな」と青年は言った。
懐からナイフを取り出し、掛け時計に向かって投げる。お茶を入れてきたメイドの目が丸くなる。
「旦那様、いったい何を?」メイドは掛け時計にできた傷跡を見つめる。
「煩いから黙らせる、それだけのことだ」と青年は言う。
アパートの隣の部屋から聞こえる微かなヴァイオリンの音。腕前は疑いたくなるほど、ど素人だ。
不協和音を奏でている。それが毎夜、毎夜、くりかえされる。
これが少しでも上達しているのなら、まだマシだろう。
そろそろ練習の時間だ。気持ち悪くなる前に、ヘッドフォンをつける。
iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
・・・泣いたりしないよ。

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の噓をついた。それは相手の笑顔のための嘘だった。
少なくとも、僕はそう信じていた。「もう、迷わないよ」と僕は決断したかのように嘘をつく。
「一緒に地獄に落ちてくれる?」と君は笑った。「もちろんだ」僕は頷いた。・・・泣いたりしないよ。
昼下がりの電車は、ところどころに空席を作っていた。座ることができて青年は安心した。
終点まで鈍行で向かう長旅だ。
要所要所で都市部に停車するが、降りる人数と同じぐらいの人数が乗車してくる。
青年は目を逸らしつつ、少女の両手を両手で包む。おしゃべりな少女は無言だった。
締め切ったカーテンは仮初の夜を連れてくる。
部屋の片隅で膝を抱えて時間が流れていくことを見つめていた。
置時計はカチコチと規則正しい音を立てていた。まるで鼓動のような音は神経をさわる。
時計の音さえ聞きたくない。誰か僕を独りぼっちの孤独に落とてくれ。発狂しそうだ。
人間の頭脳というのは、ずいぶんと都合よくできている。
青年は先ほどまで忘却していたことに、心から笑う。よくある話だ。
どこにでもあるようなつまらない話だ。それでも思い出した青年は全力で約束の木の元に走った。
大人になったら木の下に埋めたタイムカプセルを開けてね、と。
「ねぇ、キスしてちょうだい」と添い寝をしていた幼い少女が言った。
ランプに照らされた瞳はキラキラと輝いていた。「お休み」と青年は幼い少女の額にキスをした。
「子ども扱いしないでよ」と幼い少女は頬を膨らませた。ませた口調で青年は不安になった。
年頃になったら、さぞや。
iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
君は何も知らないままでいて。

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の噓をついた。それは相手を楽にするための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と魔法をかけるように僕は笑った。
暗い目をしていた君が笑った。大成功だ。君は何も知らないままでいて。
これから未来が明るいものであるように。
「永遠の乙女を探さなければならない」と国王が側近に漏らした。
深谷にねぐらにする魔竜に生贄を差し出す。という意味だった。側近は国王が差し出した紙を受け取る。
そこに記された他国からの借金の額に驚愕した。近年不作が続いていたがこれほどまでとは。
「任せる」国王は言う。
姪のどんぐり眼に見つめられている。しかも熱心に、箸まで止めて見られている。
「嫌いなものでもあったかな?」と僕は尋ねた。
一時的に預かった姪は「大人でもご飯食べるのね」と不思議そうに言った。
「霞でも食べていると思った?」「もう大きいのにご飯が必要なの?」姪は問う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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