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「 未選択 」
車内は静かだった。結婚式にでも出るかのように、二人揃って真っ白な服を纏っていた。右手には初めて見る名前の駅名が記された切符。左手には君の手があった。差し込む陽気に今日が天気の良い日でよかったと思った。
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永遠の約束をしても、果たされない。
約束はいつか破られるものだ。
些細な行き違いだったり、星になったりして約束は終わる。
ずっと一緒にいられることは皆無。
今この瞬間だけの約束なのだ。
約束が破られる日が来ることが怖い。
無邪気に永遠にすがっていたい。
怯えながら毎日を過ごす
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伝えるつもりのない気持ちだ。
ただ見ているだけで幸福な気分になった。
夜、瞳を閉じる前に思い出せれば充分だった。
ささやかな会話をリフレインして、長い夜を乗り越える。
終わることのない片恋は辛い気持ちがなかった。
存在自体があればいくらでも幸福になれた。
今日も幸福だった。
このままでは約束を果たせない気がした。
また約束を破ってしまう。
彼女はそれを責めるだろうか。
それとも微笑んで許してくれるだろうか。
どちらにしろ最低なことだ。
約束をしたからには必ず果たさなければならない。
もう彼女を傷つけたくない。
優しい彼女をがっかりさせたくないのに
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「庭でも散歩しませんか?」物わかり良さそうな笑顔を浮かべて、少年は言った。
少女は少年を一瞥すると、また窓の景色を眺め始めた。
外に未練があるなら、いっそ出かけてみればいいのにと少年は思った。
「行きたいなら一人で行けばいいじゃない?」と少女はそっけない言葉を吐いた。
菜の花が咲く頃に会いに行くよ。
もっと大人になって君を迎えに行くよ。
私と彼は指切りをした。
大切な約束だった。
誰にも言わずに胸に秘めたまま、菜の花が咲く季節が巡っては去っていった。
諦めるべきなのだろう。
でも菜の花が咲く頃、約束の場所に行く。
涙腺が緩む。
彼が手を振る。
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君を好きになるのに理由なんていらない。
気がつけば心の隅の一番温かいところに君がいた。
雛鳥のすりこみのように僕は君を好きになった。
そのことに気づいてから僕は孤独にならなくなった。
いつでも君が僕の心の中にいたから。
君を思うだけで眠れない夜もやり過ごせるようになった。
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君の幸福を考える時が一番好きな時間だ。
何をすれば君から笑顔を引き出せるのだろうか。
寝ても、覚めても君のことばかり考えている。
僕が一番好きな君だから、一番幸福になって欲しいと思う。
君の笑顔を見るだけで僕はヒーローになれる。
どんな辛いことでも苦しいことでも我慢できる
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もうすぐホワイトデーがやってくる。
約一か月前のバレンタインデーには手作りのチョコレートを贈った。
義理と本命、どちらにもとれるようにトリュフを3個。
お返しは何が返ってくるのだろう。
お返し自体、貰えないかもしれない。
そう思うと今夜も良く眠れない。
早く当日になればいい
いつからだろう。
幼なじみと一緒に行動するのが嫌になったのは。
幼なじみは同性から見ても可愛らしくて、妖精のようだった。
私はその正反対。
女らしいところはなかった。
よく男の子に間違われていた。
それが悔しくて幼なじみと距離を置き始めた。
自分でも歪んだ感情だと思う。
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どれだけありふれた光景だろうと、君がいると輝いて見えた。
子どものように、はしゃぐ君の声が心地よかった。
次はどこに行こうかと、考えるのが楽しかった。
君が喜んでくれるからそれだけで、幸せな気分に浸れた。
手を繋いで帰る夜が、ちょっとだけ寂しかった。
だから遠回りをした。
久しぶりの風邪は体力を奪っていった。
布団の中で荒い呼吸を繰り返す。
熱が上がってきたみたいだった。
ふいに障子が開いて冷たい風が室内を駆け回る。
「大丈夫?」幼なじみが布団の中の手をさりげなく、指を両手で包む。
ヒンヤリとしていて気持ちが良かった。
「大丈夫」と返した。
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きっと明日になったら忘れている。
今は心が痛いけれども、眠ってしまえば過去になる。
普通の顔をして、学校に行くんだろう。
友達とわいわいと昼ご飯を食べて、退屈な授業には居眠りして。
いつも通りの日常が待っているんだろう。
それなのに、なんでこんなに涙が溢れてくるんだろう
ツンデレは二次元だけで良いと思う。
「チケットが余ったから、誘ってあげたの。光栄に思えなさい」と幼なじみが言った。
チケットを見るとホラー映画だった。
独りで観たくはないものだ。
幼なじみは無理矢理、腕を握る。
微かに震えている。
そんなに怖いなら観に行かなきゃいいのに
簡単な魔術だった。
相方の猫ものんびりとした表情を浮かべている。
長い呪文を唱え続ける。
雨を雪に変える魔術は、集中力がいるだけだ。
魔法陣の真ん中で途切れないように呪文を続ける。
風が変わった。
辺りの空気が冷えてきたような気がする。
雨が霙に変わった。
あと少しだ。
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