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「 140文字の物語 」
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毎年、帰省してくる従兄は、今年も我が家に顔を出した。
「大きくなったなぁ」と従兄は私の頭を撫でる。
これは小さい頃からの習慣だ。
台詞も一緒。
いつまでも子供扱いをする。
私は従兄の撫でる手を取り、キスをした。
「子供をなめちゃいけなけないよ」と上目遣いで見上げる。
従兄は赤面した。
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鼓動がうるさい、わかってるくせに。
走り出した恋心は止まらない。
君のことを想うだけでは足りなくなってきている。
君と話したい、君にふれたい。
告白する度胸もないくせに。
君と視線があっただけで、心臓が高鳴ってしまうくせに。
君と面と向かうと緊張して、上手く言葉が出てこないくせに。
-
君が嫌いだと思っているところも好きだよ。
君という存在すべてが愛おしいと思うんだ。
一緒にいられるだけで、僕は天に昇るほど嬉しい。
君と出会ってから、毎日が幸福で彩られているんだ。
この世の悲しみ、苦しみから、君を遠ざけておきたい。
僕の全身全霊で、君の柔らかな心を守りたい。
今が、幸せでないというわけではないのに、ぽっかりと空いた胸の内はなんだろう。
比較的、恵まれていると思う。
仕事は充実しているし、愚痴を聞いてくれる友達もいる。
それなのに貴方がいないというだけで、幸せではないような気がしてくる。
すっかり貴方に依存している。
そんな私を見て笑う
-
時折、夢に向かってちゃんと歩けているのか不安になる。
誰もが通る道なのかもしれない。
夢を夢で終わらせないために、努力を続ける。
それは溺れないように、もがいているようなものかもしれない。
傍から見たら、不恰好で、笑いを誘うものかもしれない。
暗闇ような世界の中で、それでも歩く。
「いい加減、起きてください」そんな少女の声で起こされた。
寝ぼけ眼で時計を見やると、18時を回っていた。
仮眠のつもりが思ったよりも、深い眠りになったようだ。
「晩ご飯、買いに行きましょう」少女は微笑む。
身支度をすまして外に出れば夜空が広がっていた。
「今日は何がいいですか?」
-
君といられる時間は確かに幸せだった。
どんな瞬間でも君がいてくれた。
それが幸いだったと知らされるのは痛みを伴う。
君と過ごした時間は戻ってはこない。
あの幸せだった時間は記憶という忘却に向かい始めている。
もう二度と、君と一緒にいられないかと思うと、悲しみで胸がいっぱいになる。
今までは友達同士だった。
それなのにキスひとつで二人の関係は変化してしまった。
まるで白雪姫が王子様にキスされたように。
私の恋心が目覚めてしまった。
今までどこに隠してあったのだろう。
心の奥底で眠っていた灯火が体全体を伝わっていくような感覚。
やっぱりキスには魔法がこもっている
初めて目を奪われた。
泣き顔なんてみっともないと思っていた。
けれども、彼女の涙は美しいと思ってしまった。
それから、ずっと彼女のことを視線で追うようになってしまった。
こんな恋愛の仕方は初めてだから、どうしたらいいのか分からない。
彼女を見つめていられるだけで幸せだと鼓動が言う
誕生日に宅配便が届いた。
小さなボックスにメッセージがついていた。
今日が誕生日だったことを覚えていてくれたのは嬉しかった。
小さなボックスの中身はアナログの時計だった。
プレゼントは嬉しかったけれども、直接渡して欲しかった。
高価な時計よりも、一緒にご飯を食べられる方が良かった
-
死にたくなったら連絡して。
あなたの寂しさ。
あなたの苦しみ。
あなたの痛み。
必ず殺してあげるから。
残さずにすべて殺してあげる。
だから心配しないで。
私があなたを救ってみせる。
今日が苦しくても、明日笑っていられるように。
だから独りで抱えこまないで教えて。
私はあなたのためにいる。
透明で、さわるとひんやりと冷たい。
欠片にふれれば、皮膚を切り裂く。
痛みを伴う恋心。
それはまるで、硝子のような片想いだった。
硝子越しの太陽はあんなにも輝いているのに、硝子を通してみると冷ややかだ。
それは君によく似ている。
好きだという気持ちが強すぎて傷だらけになってしまう。
どんどん小さくなる背中を必死に見つめる。
涙がポロポロと零れる。
けれども、それを拭わず見つめ続けていた。
彼が振り返ることもないだろうから。
最後になるのは分かっていた。
別れの言葉をかけた時までは、笑顔でいられた。
そんな自分を褒めてやりたいぐらいだった。
今は別れを噛みしめる。
「散歩に行こう」と友達が言ったのは月光も美しい夜だった。
何かとふさぎがちな自分のために言ってくれたのだろうと思った。
友達は楽しい話題を振ってくる。
最初はぎこちない笑顔だったが、心から笑うことができるようになった。
二人でどれだけ歩いたのだろうか。
気がつけば黎明が迫っていた
その人は黒尽くめだった。
長い黒髪に漆黒の瞳。
大きなつばの三角帽子を被って、墨色のドレスを着ていた。
「死にたいのか?」その人は言った。
正直、分からなかった。
「いらないなら、その命をもらいうけよう」その人は笑う。
それから時が流れて僕は大人になり今もその人の隣にいる。
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