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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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寒い冬の終わりだった。春になったら籍を入れようと約束をしていた。
細い体の恋人は、嬉しそうに笑っていた。結局、恋人は春を見ることはなかった。
眠るように棺の中にいる恋人にペアリングの片割れをはめた。こんなことしかできなかった。
左手の薬指は想像したよりも細かった。
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王女のお気に入りは、奴隷出身の少年だった。
美味しいものをたらふく食べさせて、綺麗に身なりを整えさせて、傍に置く。
一見した貴族たちは、従順な侍従に見えただろう。
不思議に思った少年は「いつ飽きるのですか?」と尋ねた。
「手放すつもりも、ないですけれど」王女は言った。
パステルで描かれたような目玉焼き。
それにカリカリに焼かれたベーコンと瑞々しいレタスをトーストした食パンの上に乗せる。
大きな口を開けて、いただきますと食べる。今朝も糧を与えてくれた神様に祈る。
もう空腹をごまかすために、冷や水を飲んで胃を膨らませる必要はないのだ。
【花の名前】iotu
【色】血色
【香り】甘くややスパイシー
【見た目】大ぶりのラッパ型、茎に棘がある
【花言葉】「月のない夜に会いに来て」「二面性」「あなたの嘘を許します」

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カタンッと窓が鳴ったような気がした。私は読書をやめて、窓辺に近づく。花が一輪、置かれていた。
血色のそれは百合に少し似ていて、まったく違う香りがした。棘を綺麗に処理をされていた花を手に取る。
ちょうど月のない夜だった。秘密を握られている以上、出向かなければならないだろう。
無題
iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。

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僕は、無意識に緊張しながら最後の噓をついた。それは最初で最後の嘘だった。
二人の関係は嘘や誤魔化しのいらない間柄だったから、嘘をつく必要はなかった。
こんな形で嘘をつくとは思わなかった。「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と僕は言う。
本音は仕舞い込んだまま。
伴侶がいる婦女子と密通してしまった。それが公になるのは早かった。武士として罰を受けよう。
そう覚悟の上での恋路だった。柔らかな肌に何度もふれて、何度も名前を呼ばれた。
これ以上ないぐらいに幸せだった。「そなたを失うのは辛い。この密通事件は目を瞑る」と上司が言った。
「もう一つ、食べるか?」と兄が大福を差し出してきた。それもただの大福じゃない。
苺が乗った苺大福だった。「足が速いから、本日中に食べないとだが」兄は微苦笑を浮かべる。
「ダイエット中なの」と私は言った。この時期にしか出回らない大福で、大好物だ。できるなら食べたい。
iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。

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僕は、ぎゅっと君の手を握りながら最後の噓をついた。それは最初で最後の嘘だった。
そして、最初で最後のふれあいだった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と僕は君を真っ直ぐに見て言った。
君は絶望の中から見える一筋の希望だった。こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
「今日も寒いね」と私が言った。寒がりな私としては、ここ数日の冬日でまいっていた。
「そう?冬だからじゃないか?」と幼馴染はつれなく言った。吐く息も白いというのに冷たい。
「じゃあ、あっためてよ」と私は両手を差し出した。幼馴染はぎこちなく、両手を折れんばかりに握る。
この恋も終わりだろう。初恋だったから、長く続いてほしかった。そう願っても自分ばかりの空回り。
いつの頃からだろうか。彼の視線が自分を通り抜けて、違うものを見ていると気がついたのは。
初デートした場所にデートに来た。私は俯いたまま「言わなくても分かるから」告げた。
iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。

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僕は、痛みに堪えながら最後の嘘をついた。それは本音と真逆の嘘だった。泣きたいくらい辛いのに。
苦しいぐらい痛いのに。それでも僕は君に嘘をつく。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と笑顔を浮かべながら、僕は言う。もう、覚悟は決めたんだ。
長い道を独りで歩いていく。
もうすぐ君と恋人同士になった記念日がやってくる。
その記念すべき日に、ちょっとサプライズを考えていた。僕は遠慮がちに、君の両手を指先でなぞる。
大丈夫、サイズはあっている。僕の計画を知らない君は「くすぐったい」と笑った。
左手の薬指に指輪がはまる時、記念日は増える。
どうしてだろう。上手くはいかない。夢の君は、笑っていたのに。現実の君は、大粒の涙を零していた。
どこを間違ってしまったのだろうか。僕は心の中で間違い探しをする。
泣いている君が切なくて、抱き寄せた。
君は糸の切れた操り人形のように、ぎくしゃくと僕の腕の中におさまる。
乙女は白い衣を身にまとう。生贄という名の祝言を上げる。生まれた時から決まっていたことだ。
鬼たちの加護を受けて村民たちは喜ぶ。鬼は暗い真夜中に迎えに来た。
乙女の手を取ったのは長い爪をはやした大きな手だった。鬼にも慈悲があるのだろうか。
死を覚悟して乙女は息を飲む。
洗い終わった透明なグラスを一つ一つ布で磨いていく。
澄んだガラスのグラスをテーブルの上に並べていく。一つ一つ、コトンコトンと。
そしてとっておきの貴腐ワインを注いでいく。甘いから手に収まるグラスに半分でちょうどいい。
待っていましたとテーブルを囲んでいた手が伸びる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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