彼はずっとスマホをいじっている。
私はぬるくなったご飯を食べる。
食事中だろうとお風呂の中だろうと、彼はスマホにふれている。
ねぇ、そんなにそれは面白いの?
私と一緒の空間を共有する意味があるの?
全てをぶちまけて出ていきたい欲求に駆られる。
一時の衝動で行動するのは良くないけど。
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君はどこまでも自由が似合う。
束縛されて、恋の罠に引っかかってほしくない。
君が誰のものにもなりませんように、と星に祈った。
君の好意の先が自分であっても嫌だった。
君のことが好きだ。
存在そのものを愛している、といっても過言ではない。
だから、一目見た時のように自由でいてほしい。
「いつになったらお嫁さんにしてくれるの?」私は隣に住むお兄ちゃんに尋ねた。
お兄ちゃんは困ったような笑顔を浮かべる。
「この前の誕生日に約束したよね」私は言った。
「君の背がこのぐらいになっても好きだったら結婚しよう」お兄ちゃんは手で示す。
いつかそれぐらいの身長になれるのかな
一世一代の大告白。
生まれて初めて好きになった人に気持ちを伝えたい。
それなのに、さっきから喉が渇いて、汗をだらだらとかいている。
食べ終わった食器を片付けに来た従業員に「ごゆっくり」と声をかけられてしまった。
「つまりはまぁ、好きってことでして」テーブルを見つめたまま言った。
愛されるためだけに生まれてきた。
長い人生には苦しみや悲しみはあるけれども、それを上回る喜びと幸せが待っている。
少なくとも、両親はそう考えて私を天から招いた。
辛いことがないと言ったら嘘になる。
けれども愛されているという事実があるから怖いことは一つもない。
未来に希望を持つ。
「あの店、寄ってもいい?」友達が訊ねる。
「いいよ」私は二つ返事をする。
今日は大型ショッピングセンターに来ていた。
映画を観る前の空き時間、ウィンドウショッピングを楽しんでいた。
ふとワンピースに目が留まった。
小花柄の可愛らしいそれをふれて「似合わないくせにね」と自嘲した。
「君のことが好き」そう言っても君は信じないだろう。
君のことが好きな理由を100個並べても、君は納得しないだろう。
僕はそれを知っていても、君が好きであることをやめられないんだ。
地獄の業火に焼かれれるよりも苦しい日々だ。
どうすれば君は振り返ってくれるのだろうか。
頭が痛くなる
浅い眠りは心臓をつかまれたように夢を見せ、目覚めさせた。
夢の残滓が体中を強張らさせて眠れない。
走り出した心臓は息切れを起こしそうだった。
二度寝を諦めて立ち上がる。
外はひんやりとしていた。
見上げればほんの少し欠けた月。
庭に静かに光を投げかけていた。
苦労なことで、と思った。
これから僕が話すことをよく聞いてほしい。
僕のことを好きなら、いつも心掛けてほしい。
僕が幸せになるために必要な三つの要素。
一つ、僕のおしゃべりに耳を傾けてほしい。
二つ、僕が悲しくなる時に傍にいてほしい。
三つ。これが一番大切なことだよ。
それは、君が幸せな笑顔でいられること。
愛しあったその手が私の首を絞める。
ほんのわずか、力をこめればたやすく呼吸は止まるだろう。
泣きながら、あなたはその手を緩めた。
死んでも良かったのに。
私は思った。
あなたに殺されるのなら、不満なんてなかった。
最上級の幸せだっただろう。
あなたは泣く。
生きている私は溜息をついた。
電車の中は比較的混んでいた。
座る座席がなく、ぽつりぽつりと立つ人がいる。
本当は座りたかったけれども我慢。
彼の隣で吊革につかまる。
電車は走り出した。
この先、急カーブがあることを知らせるアナウンス。
私はよろける。
「俺の腕につかまりなよ」
「ありがとう」そっと、彼の腕に触れる。
グラスの中の氷がカランと音を立てて溶け崩れた。
それぐらい無言の時間を過ごした。
グラスの表面にできた水滴がテーブルの上に水溜まりを作っていた。
それぐらい一緒の時間を過ごしていた。
「それでどうすればいいの?」私は訊いた。
これ以上の沈黙は重い。
「好きになってほしい」彼は言う。
好きって気持ちが大きくなりすぎた。
君の全てを知りたいと思う。
喜びだけじゃなく、怒り、悲しみ、苦しみ。
君の心の中を覗きこんでしまいたいと思う。
君の中の僕は何番目なのだろう。
僕の心の中では特等席だよ。
好きになりすぎて切ないくらいだ。
責任を取ってほしいと思うぐらいに君に夢中だ
「今度、戦に出るんだ」と幼なじみが言った。
「嘘でしょ?」少女の頭の中は真っ白になった。
「嘘なわけないだろ。ほら招集状」少年は紙を見せる。
こんな紙一枚で、戦場に出るなんて。
笑顔で見送らなきゃいけないなんて。
信じられない。
笑い飛ばしてしまいたかったのに、それすらできない。
泣かない涙を強さと呼んだ。
泣き出した涙を弱さと呼んだ。
どちらも同じ涙なのに、こうも違うのだろう。
強くなりたい少年は涙を飲みこんだ。
塩辛いそれを少女に見せる前に。
いくらでも強がりを浮かべる。
悲しみは癒えることはないけれど、いつも少女の前で胸を張っていられるように。
涙を飲む