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「 140文字の物語 」
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夜中に神剣・神楽が律動した。
その音で目覚めた。
同胞殺しの妖剣は嬉しそうに震えていた。
青年は深く溜息をつく。
これから戦いが始まるのだ。
せめて少女を心配させない程度の怪我で帰ってきたいと思った。
青年は神剣・神楽をつかむ。
廊下に出ると少女が待っていた。
置いていく訳にはいかない
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「本当に泣きたいの?」君は尋ねた。
難しい質問だった。
心は泣きたいぐらい辛かった。
けれども人前だというプライドが邪魔をする。
子供のように泣きじゃくるわけにはいかない。
悲しみを表現できない。
「わからない」僕は素直に答えた。
「泣きたくなったら泣いてもいいんだよ」と君は言った。
付き合ってから初めてクッキーをもらった。
「調理実習のおすそわけだ」と言っていたけれど嬉しかった。
添加物の一切ないクッキーはハートやら、星やら様々な形をしていた。
「食べるのが楽しみだ」と伝えると、「君は美味しいとは限らない」と照れた。
そんな表情を見れてラッキーだと思った。
悪夢を見て飛び起きた。
薄暗い部屋のカーテンを開ける。
のっぺりとした雲が広がっていた。
日の出まで時間があった。
二度寝する気になれずキッチンに向かった。
夢の中、少女は霞む。
儚く消えた存在はキッチンで朝ご飯の支度をしていた。
「今日は早いんですね」と笑った。
完全に目が覚めた。
季節外れの肝試しをしようと言い出したのは悪友だった。
テスト勉強に飽きて言い出したのがわかる。
それに巻きこまれた幼馴染がかわいそうだった。
月が沈んだ暗闇を一周してくるという単純なものだ。
幼馴染は恐る恐る、両手のひらを指先でなぞる。
怖いのだろう。
震えていた。
だから指先を握る
君と月見酒をしていた。
切れるほど寒さの中、月は煌々と輝いていた。
「サヨナラ」だけが人生だ。
有名な言葉が思い出された。
酒を酌み交わして、懐かしい過去を語りあう。
昔は良かった、と君は呟く。
僕は過去になっていく今を痛いぐらいに感じる。
やがてくる別離を思いながら、君の話を聞く。
純白な雪が降っているTVを見ながら、君は喜ぶ。
滅多に雪の降らない地域で育った君だから、TVの中の雪でも嬉しいのだろう。
「今年は雪を見にいく?」僕は言った。
「いいの?」大きな瞳を大きくして君は尋ねる。
鈍感な君は日帰りできないことに気づかない。
二人の関係が変わるかもしれない。
別れと出会いの季節。
ソメイヨシノが門出を祝う。
抱えていたスイートピーが悲しいぐらい綺麗な春だった。
僕は泣きそうになりながら、君の手のひらを両手で包む。
僕よりひんやりした手を握るのはこれが最後だろうか。
僕と君は未来のために離れ離れになる。
長い春だったから別れが辛くて泣く。
「あんたは本当に危なっかしいな」と少年は言った。
とんがり帽を被った妙齢の女性は妖艶に笑みを刷く。
「だったら捕まえてごらん?」
「できるなら、とっくのとうにしているさ」悔しそうに少年は言う。
「あと十年、いや五年くれ。あんたに相応しい男になってやる」
「あらあら私でいいのかい」
いたずら心に火がついた。
繋いだ手を離したら、どんな顔を浮かべるだろう。
びっくりした顔?
悲しい顔?
寂しい顔?
私はするりと指を抜いた。
すぐに手をつかまれた。
予想外の反応に、彼を見上げた。
「迷子になるだろう」怒るでもなく、冷静に彼は言う。
どうやら大きな子供扱いされているようだ
あなたは遠慮がちに、私の指に指を絡める。
「これも俺のわがままだから」と視線を合わせずにあなたは言った。
私よりずっと背の高いあなたを見上げる。
「嬉しいから、私のわがままだよ」弾んだ声になってしまう。
不釣り合いな二人だと分かっている。
だから、時折見せてくれる好意が嬉しい。
「愛している愛している、愛していたかった」君は泣きそうな顔で笑った。
ずっとは無理だったと言う。
これが僕たちの愛をの終わりだと思うと胸からこみあげてくるものがあった。
浮気をしたのでもなく、他に好きな人ができたのでもなく、離れ離れになるわけでもなく。
自然に別れがやってきた。
ダブルベッドを独り占めにしながら、スマホの画面を見つめ続ける。
『今から帰る』と書かれた文字が最後で1時間は経過した。
やがて玄関が静かに開く音がした。
起き上がって寝室を出ようとしたところで出会った。
「眠れなかったの?」あなたが言う。
眠れなかったんじゃない。
眠らなかったのだ
突然やってきた少女は女神の化身だと言った。
平行宇宙からやってきたと言う。
ちょうどボタンを掛け違えたように、僕の世界と少女の世界が重なったためだという。
自由気ままな独り暮らしだったのに同居人が増えてしまった。
でも孤独は消えそうだと思いを馳せる。
退屈しないこと請け合いだった
「手をつないで歩こうか」僕は言った。
君は恥ずかしそうに、僕の指に爪を立てる。
綺麗に切られた爪は、僕の指に痕跡を残す。
それすら愛おしくて、これからやってくる別れの切なさに拍車をかける。
君は僕を置いて遠い場所に行ってしまう。
「手紙を書くよ」僕は不確かな約束をする。
君は笑う。
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