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「 140文字の物語 」
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待ち合わせの時間よりも早く着くようにしている。
そのことを知った少女は時間よりも早く待つようになった。
本末転倒もいいところだった。
少女は可愛らしくて、内気に見えるから絡まれやすい。
ナンパ野郎に話しかけられていた。
青年は割って入って「恋人ですけど、なにか?」と睨みつける。
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普段はつけていないテレビがついていた。
珍しいこともあるものだ、と青年は思った。
少女はメモ帳を片手に、食い入るように見ていた。
興味が湧いて、少女の隣に座る。
テレビは美味しそうな料理が出来上がるところを流していた。
「うまそうだな」と青年が言うと、少女はびくっと肩を揺らした。
隣国の王太子が国賓としてやってきた。
「お淑やかにふるまうのですよ」目付け役が耳打ちする。
そんなことは分かっている。
外交の一環だ。
嫌々ながらも、王太子の両手を握る。
「我が国の挨拶をしてもかまわないですか?」王太子は尋ねた。
「光栄ですわ」私は余所行きの笑顔を浮かべて言った。
「好きだ。付き合ってほしい」ストレートな告白だった。
量品店で買い揃えた服をまとう青年を乙女は上から下まで眺める。
「私は高いわよ?」乙女は安物では満足できない生活をしている。
庶民の暮らしに興味はあったが、青年の収入では破綻するのが目に見えている。
「知ってる」と青年は言った
同胞を血祭りにあげてやろう。
同じ祖から生まれてきたが、もう別ものだった。
青年は中途半端に伸びた髪をヘアゴムでまとめる。
それから神剣・神楽を手にする。
室内を出ると、廊下に少女が立っていた。
神剣・神楽の巫女として最期を見届けるのにふさわしい配役だった。
二人は戦地に向かった。
日に焼けたのだろうか葉が黄緑色に変色していた。
青年はその葉をむしり取り、空を睨む。
ここ数日まとまった雨が降っていない。
それは農作物にも影響が出るだろう。
それで苦しむのは民草だ。
暴飲暴食の貴族階級には関係ないだろう。
金さえ出せば生活が変わることはない。
青年は溜息をついた。
二人にとっての記念日だから奮発した。
付き合い始めて一年。
たくさん喧嘩もしたし、たくさん笑いあった。
これからもずっと一緒にいたい。
そう思えるのは君だけだ。
電車を乗り継いでホテルまでやってきた。
ビュッフェ形式だから、と思ったが緊張してきた。
君がさりげなく、腕をぎゅっと握る。
「好きだ」と告白した。
それに頷いてくれた。
晴れてお付き合いを始めたのだが距離感がつかめない。
女の子と付き合うのは、これが初めてだ。
一緒に帰るのにも緊張して無言になってしまう。
手すら繋がないのは恋人といえるのだろうか。
どうすれば距離を詰めることができるのだろう。
君はスマホ片手に近づいてくる。
僕の隣に座って、液晶画面を見せる。
「見て見て。うちの子可愛いでしょ」三毛猫がタオルの上でくつろいでいるフォトを見せられた。
僕もスマホを取り出してフォトを探す。
渾身の一枚を君に見せる。
「うちの子だって可愛いよ」僕の言葉に、君は微笑みを零す。
ようやく一緒に帰れるようになった帰り道。
君は「私たち、付き合っているって噂があるんだけど」不満そうに言った。
その言葉に心はズタボロになる。
「噂だよ。そのうち誰も言わなくなるよ」僕は精一杯の虚勢を張る。
「付き合っていないのに。告白してくれてもいいと思わない?」君は言う。
路地裏に身を隠す。
暗がりの中で僕は君を抱きしめる。
けたたましい足音は去っていった。
僕は安堵して、君を見る。
君は上目遣いで、僕の手のひらに指を絡める。
まるで逃避行をする恋人同士のようだった。
君は照れもせずに僕を見つめる。
僕は唾を嚥下する。
「もう大丈夫だよ」と僕は声を潜めた
少女は勢いよく、背中に抱きついてきた。
「構え!構え!構え!!」雲雀のように澄んだ声が言う。
最近、忙しくて一緒にいる時間が減っていた。
寂しい思いをさせていたのだろうか。
腰に回された手に、青年は手を重ねる。
「今日は暇だから、君の好きなことをしよう」青年は言った。
「本当!?」
せっかくのデートだというのに、僕は寝坊した。
LINEに遅刻することを送ったが既読はついたものの返事はなかった。
待ち合わせ場所が見えてきた。
僕は君のところまで一直線に走って「ゴメン」と謝った。
君は怒り顔で、両手をぎゅっと握る。
そして「ずるい」と言う。
「許すしかないじゃん」
僕は君に恋をした。
君のことを想うと、どれだけ駄目人間だったか分かる。
君のように高潔でいられれば、どんなにいいだろうか。
本当は君を甘やかして駄目にしたい。
駄目人間同士なら、こんな悩みを抱えこむことはないだろう。
二人して恋の醜悪さを、恋の愚かさを味わえたのなら最高だと思う。
新品の制服が家に届いた。
私はその箱を抱えて自室に向かう。
部屋着から制服に着替える。
全身鏡の前でポーズをつける。
少しばっかりお姉さんになった気分だ。
これから毎日、着る制服だったけれども心配があった。
たくさんの同じ姿の女の子たちの中で、浮いたりしないだろうか。
可愛いだろうか
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