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「 未選択 」
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太陽を最後に見たのはいつだったか。
 今は幻のような存在だった。
 きれいな廃人と化してから、カーテンは閉め切りだ。
 インターネットからログアウトしたのはいつだったか忘れた。
 破滅に向かう世界を眺めるのが日課になっている。
 ユーザーが一人減り二人減りと建物が目立つようになった
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虹の下をくぐると幸せになれるというジンクスが元に開かれたケーキショップは、チョコケーキが大人気だった。
 一生一緒にいる約束をする日にふさわしいケーキだと思い、青年はケーキショップのドアを開いた。
 二人用のチョコケーキを注文する。
 小箱に包まれたケーキは可愛らしかった。
深夜のコンビニで切手を購入した。
 書き上がったばかりの手紙に切手を貼る。
 約束を破ることになった謝罪の手紙だ。
 メールでは軽すぎるから直筆の手紙を選んだ。
 彼女が読みたくなった時に読めるように。
 許してくれなくてもいい。
 悪いのはこちらなのだから。
 手紙をポストに投函した。
幼なじみの南はいわゆる腕白坊主。
 私はどちらかと言うと引っ込み思案な大人しい子どもだった。
 昼間であっても墓地という空間は、恐ろしい。
「ねぇ、帰ろうよ」と私が言っても南は聞いていない。
 南は墓標を見ている。
 そのうち引っこ抜きそうだった。
 もっと穏やかな遊びがしたいと願う
朝、目を覚ますと畳の上にいた。
 見上げた天井が高かった。
 隣で寝ているはずの彼女がいつの間にか俺の布団に侵入していた。
 どうやら押し出されたようだった。
 枕元に置いた眼鏡は潰されなかったようだ。
 眼鏡をかけると、彼女を自分の布団に戻るように転がす。
 掛布団をかけてやる。
最初の関係は敵同士だった。
 月の夜に出会った。
 唐突な蹴りを避けるために絨毯の上を転がりながら、隙を探した。
 下段からの蹴りに、男はジャンプすることで避ける。
 男は跳躍から踵落としをする。
 それを頭上で両手を使って受け止める。
 重い。
 力量は同じくらいと見た。
 お互い手を引いた
自転車で通える距離に屋内型の市民プールが出来た。
 朝ご飯を胃に収めると、水着を持って市民プールに向かった。
 天気予報は午後に雷雨。
 信じたわけじゃないけど、念のために折り畳み傘を鞄にしまった。
 準備運動しているとクラスメイトを見つけた。
 初めて見る水着姿にドキリっとした。
空調の効いた音楽室で涼んでいると、親友がやってきた。
「涼しい! 掃除当番、代わって欲しいもんだわ」
「掃除終わったの?」
「終わったよ。
 誰かさんと違って涼んでないからね」
 親友は言った。
 私はロッカーに箒と塵取りを仕舞う。
「今日、墓地で肝試しする予定なんだけど、どう?」
西日が強烈に部屋に入ってくる。
 部屋の気温も上昇しっぱなしだ。
 テレビに若干未練があったが、エアコンのある部屋に移動することにした。
 ドアを開けるとかき氷を持った弟とすれ違う。
「テレビ、良いの?」
「暑い。そのかき氷は?」
「食べたいならあげるよ。飽きてきたとこだから」
胡散臭い骨董屋に手招きされた部屋には檻があった。
 その中には綺麗な翅を持つ妖精が閉じ込められていた。
 こちらを眺める瞳は輝いていた。
 欲しいと思った。
 店主の言い値で妖精を買った。
 まさかここまでやきもち焼きだとは思わなかった。
 女性と話すだけでむくれる。
 ご機嫌取りは大変だ
ペンライトが魚の群れのように旋回する。
 ライブ会場は一体感であふれていた。
 同じアーティストを応援している仲間がこんなにもいる。
 ぬくもりが愛おしい。
 ペンライトに歓声がプラスされる。
 ステージの上のアーティストがこっちを向いて手を振ってくれた。
 私も大きな声で名を呼んだ。
夏祭りの人ごみの中であの人を見かけた。
 隣には可愛い女の子がいた。
 思わずその背を目が追いかける。
「あんず飴、食べたいの?」
 彼が訊いた。
 遠くを見ていたことには気がつかない鈍感さに助けられた。
「うん、ちょっと食べたいかな」
「じゃあ買ってきてあげるよ」
 優しさが身に染みた
真っ直ぐ伸びた背。
 白いYシャツが眩しいくらいの人が、昇降口で立ち止まっていた。
 外は土砂降りの雨。
 遠くで雷が鳴っている。
「あの、これ使ってくれる?」
 空色の折り畳み傘を差し出す。
 雨が降って良かった。
 置き傘が役に立つし、あの背に声を掛けられた。
窓辺に忘れられた一冊の交換日記。
 冬の日差しが差し込み箔押しされたタイトルが静かに輝く。
 終わる日が来ることが信じられなかった若かりし頃の思い出。
 掃除しなければ気がつかなかった日記帳。
 そんな時もあるさ、と小人がちょこんとその日記帳に乗った。
-
「君が好き」と素直に伝えられていたのなら、道は変わっていたのかな? 
 私は遺していくことを知っていたから、どうしても言えなかったんだ。
 泣き虫な君が余計に泣くような気がして伝えられなかったんだ。
 限界が来る前に、私の世界が終わる前に、君の涙を見たくなかったんだ。
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