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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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気晴らしに青年と少女は水族館にきていた。
泳ぐ魚を見ながら「食べたくなるな」と青年は呟いた。
「観賞用のお魚だから、味の保証はありませんよ」と少女はクスクスと笑う。
その笑顔を見られただけでも、水族館まで足を運んだ価値があった、と青年は思った。
この笑顔を守り続ける、と決意した。
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気難しい先生が眼鏡をかけ直して、魔法でできた結晶を手に取る。
それから、長く息を吐き出して「うむ」とうなずいた。
「君は、これをどう思う」と尋ねる。
「よくできた方だと思います」と僕は答えた。
先生は結晶を宙に投げると、結晶は霧散した。
キラキラと音を立てて、結晶は消え失せた。
『逆さの虹の色付くその先』

雨上がりに、珍しい光景が広がっていた。
「虹が逆さまだよ」と手を握っていた幼子が駆けていきたそうに、腕を揺する。
青年は溜息をつきながらも、幼子の行きたい方向へと歩いていく。
逆さの虹の色付くその先は、どんな宝物が埋まっているのだろうか、楽しみだ。
『星降る夜のさいごの二人』

それは美しい天体ショーだった。
無数の星が降って、空を彩る。
地平は恐らくクレーターだらけだろう。
コロニーに残った二人は手を繋いで、凄惨な美しい光景を眺めていた。
星降る夜のさいごの二人になってしまったのだから、青い星の行く末を見守ろうと決意した。
『-183℃』

「あなたは-183℃みたいな人ね」バーのスツールに座った女性が蠱惑的に微笑む。
少ない知識を総動員すれば、-183℃は酸素が液化する温度だ。
−273.15 ℃の絶対零度よりはあたたかいが、冷たいと言いたいのだろうか。
「私から酸素を奪って」と紅い唇が囁いた。
言われたとおりに。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
今になって思えば、それは現実逃避のための嘘だった。
これ以上、君を好きになって別れの時の傷を増やしたくなかった。
「全部忘れていいよ」と僕は明るい口調で言った。
これで君は騙されてくれるだろう。
こんなことしか言えないなんて。
愛する人と、僕と君と過ごす時間は黄金色に染まったようだった。
僕も君も、同じ人を愛しているのは、偶然だった。
愛する人を悲しませたくなかった、という理由で奪いあいの喧嘩にはならなかった。
愛する人は穏やかな微笑みを浮かべて、僕と君に焼き菓子をくれる。
お腹が満たされて幸せだった。
少女に神剣・神楽を押しつけられるまで、青年の生活は単調なものだった。
毎日、同じ時間に起きて、食事をとり、テレビを見て、風呂に入る。
両親を失ってからは、彩りのない生活だった。
それが少女という異質物が入ってからというもの生活が変わった。
誰かと過ごす時間は幸いなのだと納得する。
瞳は作り物のサファイヤ。四肢はレアメタル。人に造られたオートマタだった。
僕を守るようにプログラミングされている。
父が残した最高傑作だった。
会話を交わしているうちに人情というものが宿るのではないか、と僕は何度も言葉をかけた。
けれども所詮はオートマタだ。
最期まで決まっていた。
『笑われたくないのなら』

昔『笑われたくないのなら、身だしなみをきちんとしなさい』と忠告してくれた友人がいた。
人は見た目で判断する生き物なのだ、と心に刻まれた。
実際、ジーンズからスーツに着替えただけで、ホテルでの扱いは段違いに変わった。
友人の言う通り俺を笑う奴はいない。
『時間を食べる青い鳥』

友だちから「暇?」とLINEが飛んできた。
暇といえば暇だったが、忙しいといえば忙しかった。
その旨を伝えると友だちは「twitterながめてるんだろう?」と的確な返事が返ってきた。
twitterは時間を食べる青い鳥。
流れていくツイートを追いかけるだけで時間は消える。
『誕生日は嫌い』

昔から誕生日は嫌いだった。
たった一つ歳をとるだけで、なんだってお祭り騒ぎをしなければいけないのか。
馬鹿々々しいと思っていた。
だから仲良くなった友だちにも誕生日は秘密にしていた。
「誕生日には、どんなことも叶えてあげる」と恋人が言ってきた。
それでも嫌いだ。
一世一代の告白のつもりだった。
「僕は君が好きなんだ」と告げた。
君は「うん、知ってる」と答えた。
そんなにバレバレだっただろうか。
恥ずかしくなって、僕は耳まで赤くなった。
「きっとクラスのみんなも知っていると思うよ」と君が追い打ちをかける。
僕は返事も聞かずこの場から逃げだした。
いつもの帰り道。
君は「コンビニに寄っていかない?」と言った。
理由は分かっていたから、僕は頷いた。
ほかほかの肉まんを半分に割る。
「はい、どうぞ」君は半分を僕に手渡す。
「ありがとう」と僕は受け取った。
冷たい風に吹かれて、君と食べる肉まんは格別だった。
「次は僕が奢るね」と言う。
要塞の寝ずの番に当たり、ロウソク片手に歩く。
いつもは静かな夜なのに、今夜に限って派手だった。
空が光ったと思うと、雷鳴が轟く。
青年は窓から、その光景を見やる。
雷は綺麗な一筋を空に描いて、雷鳴を轟かせる。
青年は立ち止まり、美しい曲線を眺める。
寝ずの番に当たって良かったと思う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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