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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『今年も街に愛おしい君の思い出が降る』

僕は決まりきった朝食を食べながら、テレビを流していた。
興味があるのは天気予報と占いだけだ。
週間天気の画面を見ていたら週末に雪だるまのマークがついていた。
今年も街に愛おしい君の思い出が降るのだ。
僕はまるで初恋のように、心を踊らせた。
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『ツギハギの恋』

この恋はパッチワークのようなツギハギの恋だった。
別れては、よりを戻し、また別れる。
一つ一つは小さなピースで大切に扱っていた。
それでも、四季のように季節が巡ってくると別れの言葉を口にした。
そんな恋もベッドカバーになる頃には、おさまった。
この人しかいない。
『連れて逝って』

手と手で繋いだ逃避行も終わりが見えてきた。
僕たちは結局、どこにも行けないんだ。
僕は物分かりの良い笑顔を浮かべて「帰ろうか」と呟く。
君の瞳が潤んだ。
そして確かに君の唇は囁く。『連れて逝って』と。
まだ一つだけ方法があったのだと気づかされた。永遠に向かおう。
「iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をついた。
何も分かっていないのに、分かったふりをしていた。
それは最初で最後の嘘だった。
「幸せなんて、どこにもないんだ」と僕は期待をどぶに捨てるように言った。
「ここにあるよ」と君は微笑んで僕と手を繋ぐ。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
「僕は不幸体質だからね。好きになると危ないよ」と少年が言った。
同じ年頃の少女は首を傾げる。
少年は満面の笑みを浮かべながら、少女の腕を握りしめる。
抱き寄せるように引っ張った先に、スピード違反のトラックが通り過ぎていく。
少女の長い髪がそれにふれあう。
「ね、危険だろ?」と言う。
『運命掲示板、掲示部の日常。』

今日も運命掲示板に、運命が書かれた紙を貼りつける。
掲示板は少女にとっては、高い位置にあった。
背伸びをしながら、紙を貼りつける。
「お疲れ」とすれ違った先輩に声をかけられる。
「お勤めお疲れさまです」と少女は振り返った。
先輩は少女の頭を撫でた。
『どうも、泣いてしまえまして』

「大の男がぐずぐず泣いているなんて絵にならないわよ」と冷たく女が言った。
男の手元には純愛小説の単行本。
男は愛らしい刺繍がされたハンカチを取り出して、涙を拭う。
「どうも、泣いてしまえまして。素晴らしい話です」と作家が喜びそうなことを言った。
『必殺!愛の80年殺し』

「タイトルは決まりましたか?」と編集の男が尋ねた。
駆け出しのミステリー作家は首をひねる。
「あなたが適当に決めてくれないかしら?」タイトルを決めるのが苦手なのよと付け足すように作家は笑った。
 デビュー作は『必殺!愛の80年殺し』だったな、と男は思った。
『凍えそうな夜に』

凍えそうな夜に、理由をつけて寄り添いあった。
冷たい手のひらを繋ぎあって、言葉もなく街を歩き続けた。
どこにも行けないような迷子のように下ばかりを見て進んでいく。
二つの足音は不揃いで、悲しいぐらいに不協和音を奏でていた。
いつになったら夜は明けるのだろう。
『私が恋だと言い張っていた恋っぽいなにか』

私が恋だと言い張っていた恋っぽいなにかを、あなたは違う名前で呼ぶ。
おままごとのようだ、とあなたは笑う。
恋に恋するお年頃。夢中になっていたのは私ばかりだ。
それは恋と呼ぶにはちっぽけな出来栄えだったのかもしれない。
それでも恋だ。
『一小節家』

彼は一小節家です。
小説家の間違いでは、とあなた様は疑うのですね。
それもその通りですね。
彼の存在は一般的ではありませんから。
作品をご覧になりますか?
見て見れば彼が一小節家と名乗る理由が分かると思いますよ。
押しつけは結構だ、と。それはもったいないことですよ。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための噓だった。
今の状況はあまり芳しくない。
余裕なんてものはなかった。
それでも君の前では強くありたかった。
「もう、迷わないよ」と僕と告げた。
君の視線が痛かった。決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
僕は笑った。
花街は今日も恋愛の駆け引きで賑わっていた。
暇をつぶした貴族や私財を蓄えた商人たちが行きかう。
それを檻の向こうから女は眺めていた。
一人二人と指名されて、部屋へと向かっていく。
女は退屈そうに扇で遊んでいたところだった。
まだ若い青年が女を指名した。
「私は高いわよ?」と女は笑う。
敵になった同胞につけられた傷が疼く。
なかなか治らない傷はガーネット色をしていた。
全く情けない。
少女が不安げに青年を見つめる。
「代われることができればいいのに」と少女は零す。
神剣・神楽の癒しの力で痛みは薄っすらとしたものだ。
少女にこんな顔を二度とさせまい、と青年は決心した。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
・・・どうしようもないな。」

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僕は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは現状打破のための嘘だった。
「君にもらったものは全部返す」と僕が言うと、君の表情が揺れる。
少しは動揺したのだろうか。
そのまま信じこんでくれればいいな、と僕はへらへらした笑顔のまま思った。
僕ってヤツは本当に・・・どうしようもないな。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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