忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

公園のベンチで並んで座っていた。
去年もこうしていたっけかなぁ、と思い起こす。
夕方になればイルミネーションが楽しめる。
君へもっと素敵な場所に連れて行ってあげたいけれど、懐事情が許さない。
君は優しく微笑み、僕の腕を折れんばかり握る。
「いつまで定職につかないつもり」と君は言う。
PR
『書きかけの恋愛小説』

日記帳にボールペンを走らせる。
今日あったことを細かく書いていく。
いつまで続くかは自分でも分からない。
けれども、長く続けばいいと思った。
ためいきを一つ零して、ボールペンを止める。
書きかけの恋愛小説のような恋。
まるで運命に導かれているかのような恋愛。
『私と私の10年戦争記』

私にはもう一人の私がいた。
鏡に映したかのようにそっくりな私。
私たちを区別するのは難しいようだった。
誰もが見間違える。
そんな私と私は決別しようと思った。
それには10年もの歳月が必要とされた。
まるで戦争のようにくりかえされる別離。
ようやく独りになった。
『小石も月も同じ日を』

私は路傍の小石。貴方は夜空の月。
見上げてみればその距離は遠く、小石が恋い慕っても、この声は届かないでしょう。
いつか忘れ去られる日が来るのだというのなら一日でいいのです。
小石も月も同じ日を浴びさせてください。
きっとそれを大事に抱えこんでいますから。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
・・・どうしようもないな。」

------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と僕は告げた。
君に出会って灰色の雑踏が鮮やかな総天然色になった、というのに。
また君と離れ離れになってしまったら、どれだけ苦しいことだろう。
・・・どうしようもないな。
好きとか嫌いとか、そんな明確な理由があったわけじゃない。
空気のように自然になってしまったから、刺激が欲しくなっただけだ。
どれだけ女性の間を渡りあっても、必ず私の元に帰ってくる。
無意味な根拠を持っていた。
だからあなたから別れを切り出されてうろたえた。
もう一度好きになって。
君と一秒でも長く一緒にいたかったから、いつも遠回りをして帰っていた。
それでも別れの瞬間は切なくて、思わず手を握ってしまった。
伝わってくるぬくもりに、君も僕もここで生きているのだと知る。
君は黙って、僕を優しく見つめる。
これから独りぼっちの家に帰る僕の孤独を君に解って欲しい。
朝が来る前に、カメラを回収した。
星がコンパスみたいに描かれた写真が撮れた。
三脚を片手に、あたたかい家に戻る。
「綺麗に撮れた?」と君が尋ねた。
カメラを君に差し出す。
「素敵ね」と君は嘆息した。
ボーナスで買った甲斐があったというものだ。
「次は水滴の写真を撮るの?」と君は訊いた。
「一日、恋人の振りをして」と幼馴染にわがままを頼む。
「友達に彼氏がいるとでも嘘をついたのか?」と幼馴染は言った。
「証拠にデートしている写真が必要で」と私の声は小さくなる。
「遊園地にでも行くか?」と幼馴染は笑う。
そしてデートが始まる。
幼馴染はさりげなく、私の指先を軽く握る。
『きみとこい』

きみとこいをするのだろうか。
晴れ着を着たきみを眺める。
きみは池の鯉に夢中だった。
「どうぞ」と僕は紙袋を渡す。
きみは不思議そうに受け取った。
「鯉の餌です」と僕は言った。
「ありがとう」ときみは嬉しそうに笑った。
それを見て、きみにこいをするのだろうと思った。
『路肩の夢に』

眠気がMAXだった。
このまま車を運転していたら、事故を起こしかねない。
路肩に車を寄せる。
そしてスマホでアラーム設定する。
ほんの15分間だ。
夢も見ずに眠りに落ちていくだろう。
瞼を開けたら、桜が咲いていた。
狂い咲きだろうか。
それにふれようとしたら警告音が鳴る。
『あらためまして、親友』

長い戦が終わった。
もう剣の時代は終わるのだ。
敵と味方に分かれて戦いあうこともないのだ。
やっと訪れた平和に僕と君は笑う。
和平文書にサインをして、手を差し出す。
「あらためまして、親友」と君は言ってくれた。
握手をして親友と呼んでくれることに感謝した。
足はふらふら、心臓はドキドキ。
目が合うだけでも嬉しくって、言葉を交わすだけでも緊張する。
私は、全細胞を使って、恋愛をしているのだ。
古今東西、誰しもがくぐってきた道だろう。
こんな気持ちいいものだったのなら、もっと早く恋愛したかった。
でも、それじゃダメ。
彼だから好きになった。
咳きこむ病人の枕元で、座っていた。
暁が近い。
それなのに咳は止まらなかった。
掠れた声が「水を飲みたい」と言った。
注いであった水を手渡す。
病人には起きるのも困難なのか、痛がる。
それが辛そうで背をさすった。
「ありがとう」と病人は微かに笑むを浮かべる。
「治して差し上げたいです」
「何も怖いことなんてありませんよ」と君は上目遣いで、僕の手のひらを両手で包む。
『嘘だ』と子どもっぽく駄々をこねていたかった。
病院の待合室は似たような人ばかりが座っていた。
「大丈夫ですよ。ちょっと痛いだけですから」すでに接種を済ましている君は微笑んだ。
僕は逃げだしたかった。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH