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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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秒針が進む度に、僕は透明になっていく。
いわゆるお迎えというものが来ているのだと思う。
完全に透明になる前に、君に言いたいことがあった。
枕を涙で濡らしている君の元へと、僕は足を運ぶ。
ふいに君と目が合った。
透明になりつつある僕を見た。
僕は「大好きだよ」言えなかった言葉を伝える。
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季節外れの肝試しをするのは、何度目だろう。
くじで君とペアになるのは、何度目だろう。
仕組まれているような気がしてならない。
霊園が近くにあるのがいけないんだ、と僕は思う。
怖がりな君は遠慮がちに、僕の指を握る。
それだけのことなのに、心が弾むのは、何度目だろう。
僕は指を握り返す。
『ピンチはチャンスの顔をしてる』

「これって絶対チャンスですよ、先輩」と後輩が言った。
「彼女は失恋したばっかりで、次の恋には臆病になると思うが」と俺は痛ましい彼女の背中を見つめ続けていた。
「それにピンチはチャンスの顔をしてるものだ」
「逆じゃないですか」後輩は笑顔で言う。
『今日みる夢、かきます。』

似顔絵が並ぶ一角で、風景画を並べていた女性がいた。
どこかで見たような懐かしい光景だった。
「これ、全部君が描いたの?」と僕は自然と尋ねていた。
「お望みなら、今日みる夢、かきます。絵でも文章でも」と女性は和やかな笑顔を浮かべて言った。
「頼むよ」
『ゆっくり磨かれた片想いは美しい』

心の中でそれはゆっくりゆっくりと磨かれていた。
まるで小石が宝石になるように、それは美しかった。
だから悪魔はそれが欲しくなった。
窓辺で想いをゆっくりと磨いていた少女に声をかける。
「僕にちょうだい」悪魔は笑顔で言った。
「私のだから駄目よ」
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
膠着状態に陥ってしまった今のための嘘だった。
それは現状打破のための嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と君の目を見られずに言った。
「絶対、大丈夫だよ」君は明るく言った。
君は何も知らないままでいて、ほしいと僕は願った。
ズボンのポケットに入れていたスマホが律動した。
かじかむ手でタップする。
故郷に残していった君からのLINEだった。
見事な星空が添付されていた。
そこで初めて、僕は空を見上げた。
どんよりと雲が広がっていた。
『今日も星空は見えないみたいだ』と送る。
『空は繋がってるよ』と返ってきた。
学校では付き合っていることを秘密にしていた。
それが付き合うための条件だった。
僕は君のことが好きだから頷いた。
けれども、その条件は僕が寂しく感じるには充分だった。
隣の席の君の手を目を逸らしつつ、握ろうとした。
感づかれたのか、君は僕の指に爪を立てる。
子猫みたいで可愛かった。
『悪魔でも君を』

クリスマスシーズンで街を歩く人々の顔が明るい。
それなのに君の顔色は真っ青だった。
人ごみに酔ったのだろうか。
「大丈夫?どっか店に入る?」と君の手を取り、尋ねた。
「ずっと隠していてゴメン」と君は俯く。
「私は悪魔なんだ」呟くように言う。
「悪魔でも君を選ぶよ」
『十二支狩り』

「十二支狩りをしてみないかい?」と声を潜めて男は言った。
バーのささやくような客たちの会話の間に、それは紛れた。
「君は、もう十二支なんて古いとは思わないかい?彼らを干支の順番にライフルで仕留めていくんだ。面白いと思わないかい?」と男は口の端を上げて言った。
『自由研究、泣き虫成長記。』

今日も私はべそべそ泣いていた。
世の中には悲しいことがたくさんありすぎて、私の心を傷つけていく。
誰にも見られたくなかったから、自分の部屋のカーテンに隠れて泣いていた。
唐突にドアが開く音がした。
「自由研究が決まったぜ!」とお隣さんが飛びこんだ。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
「絶対にあきらめたりしないよ」と僕が言うと、君は満面の笑みを浮かべた。
繋いだ手のぬくもりだけが二人の絆だった。
それは糸を半分に切ったように頼りのないものだった。
僕は、こんなことしか言えないなんて。
すっかりと日が暮れて、街灯を頼りに、二人は帰っていた。
いつものコンビニに寄って、肉まんを半分こにした。
湯気が立つをそれをホッカイロ代わりにしていると、あなたは寂しそうに笑った。
「この気持ちは君にどこまで届いてる?」まるで迷子になってしまったように言うから、私は抱きついた。
恋人は口癖のように『愛している』と言う。
どんな時でも、どんな場所でも、確認するかのように言う。
その度、私は嬉しくなる。
ここまで深く愛されているのは、私ぐらいだろう。
だからお返しに、背伸びをして、あなたの耳元に『愛しているよ』と囁く。
すると、あなたは本当に嬉しそうに笑う。
黒く汚れた手を石鹸で洗う。
泡は黒から白に変わっていく。
同時に傷が沁みていく。それに耐える。
何でもない道でつまづいて、思わず手が出た。
その際にくじいたのだろうか。わずかに違和感を覚えた。
泡はすっかり真っ白になった。
丁寧に水で泡を落としていく。
手のひらには擦り傷が走っていた。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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