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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

------

僕は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
もっとマシな嘘がつけないのだろうか。
そう思ってしまうような嘘だった。
「幸せんなんて、どこにもないんだ」と僕は呟いた。
君はそんな僕の手を握ってくれた。
その優しさが辛かった。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。
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君が先ほどから肩をツンツンとつつく。
それは子猫が構え!構え!構え!!と言っているようだと思った。
僕はふと笑ってしまった。
すると君の機嫌を損ねたようだった。
ぷいっと視線をそらした。
それすらも可愛くて、僕は華奢な肩を抱き寄せた。
弾かれたように、君は僕を見る。
そして微かに笑む。
スマホにお休みのメールを送ったけれども、返事が返ってこない。
まだ仕事中なのだろうか。
不安になってLINEにもスタンプ付きで送ってみる。
返事が返ってこないとなかなか眠れないものだった。
目をつぶっても眠気がやってこない。
何度もスマホを確認してしまう。
LINEの方は既読すらつかない。
虹色の貝ボタンに心が惹かれて買ってしまったワンピース。
クリスマスデートに着ていったら、あの人は気がついてくれるだろうか。
もったいないから、その日までハンガーにかけておく。
全身鏡にはにかむ私が映った。
ちょっとレトロなデザインが素敵なワンピース。
飛び切り可愛くありたいと思う。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

------

僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。
君と目を合わせてしまえば嘘だとバレるような気がしたから。
それは未来へと歩き出すための嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と君に嘘をついた。
「そう」君の声は沈んでいた。
感情にがんじがらめになったピエロの僕を、いっそ笑い飛ばしておくれよ。
こんなところで、泣きたくなるのは間違いだ。
人生は笑いあり、泣きありなものだ。
今、泣くのは少し違う。
これから先の大きな困難に、立ち向かえなくなってしまう。
強がりかもしれないけれど、笑顔を作れ。
こんな試練ぐらい笑ってこなせると胸を張れ。
それだけでも壁を乗り越える勇気となる。
花火を見るのにおばあちゃんに浴衣を着つけてもらうことになった。
おばあちゃんが若かった頃に着ていたという年代物の浴衣はどれも素敵な柄だった。
目移りして、ひとつに選べない。
「袖を通してみるかい?」おばあちゃんは微笑みながら言った。
「待って。全部着たくなっちゃうから」と言った。
年の暮れに向かって、少しずつ整理を始めた。
本棚から始めてしまったので、なかなか進まないけれども。
薄い手帳を引き抜く。
ずいぶんと懐かしいものが挟んであった。
罰として友だちと一緒に撮ったプリクラ写真だ。
まだ若かった、と思い浮かべる。
プリクラ写真を撮ったのはこれ一枚だった。
せっかく海に来たのに君は泣き顔で、僕の腕を両手で包む。
波打ち際でポロポロとあふれる涙は、生まれてきた生命のスープに戻っていく。
ああ、だから君は泣くのだ。
体にめぐる血潮と同じものへと、悲しみを帰していくのだ。
薄情な僕には分からないけれども波音が君の泣き声に似ていると思った。
「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

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僕は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
「いなくなったりしないよ」と僕は君のために微笑んだ。
沈みがちだった君の表情が明るいものになった。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
僕の心は罪悪感でいっぱいになってしまった。
最後の嘘にふさわしかった。
今更、掘り返されても困る。
遠く海に沈めたあの日の思いは海底にあるだろう。
あなたのために、口に出せなかった思い。
全てを捨て去ると決めたあの日。
私は貝のように口をつぐむ。
やがては泡になって消えてしまう思いだと思っていたから。
だから、そっとしてほしい、とあなたに思ってしまった。
僕が読書をしていたら、君は頬にキスをした。
柔らかな感触と、君の好きな甘い香り、僕は諦めて読みかけの本に、しおりを挟んだ。
そしてテーブルの上に置き、ソファの隣に座った君を見る。
明るい笑顔の君は退屈から遠ざかり、嬉しそうだった。
お返しに僕は、君のつむじにキスを一つ落とす。
英語で書かれた手紙に思わず眩暈がした。
自慢じゃないが英語のテストの成績は赤点すれすれの成績だ。
けれども君がくれた手紙だスマホを片手に解読を始める。
睨みつけるように見る。
文字の中小学生でもわかる一文があった。
この手紙は君がくれた紛れもないラブレターだと僕は確信して浮かれる。
今日が二人で一緒に帰る最後の日だった。
言葉もなく、僕たちは歩いていた。
夕方が早く、もう残照だった。
君は泣きそうになりながら、僕の指を指先でつつく。
僕が立ち止まると、君は一通の手紙を泣き笑いの表情で差し出した。
僕がビックリしていると、手紙を押しつけるようにして、走り去った。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
だから心がついていかない。
それでも背中を押されるように嘘をついた。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と魔法をかけるように空に向かって言った。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
僕は嘘をついた。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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