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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『今更言えない』

今更言えないことを抱えこんでいると、胸の奥がざわめく。
言ってしまえば楽になるのだろうか。
そんなことを考えてしまう。
迷惑になるから、負担になるから、と自分自身に言い訳して、言わなかった言葉たち。
それが焔のように胸を焦がす。
時が解決をしてくれるのだろうか。
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「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
口調は言い含めるように優しいのに、内容は痛々しい。
それはたぶん最低の嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と僕は言った。
これ以上、傷つけあうのはどちらに対しても得策ではなかった。
君の瞳が円く広がる。
だってもう、仕方がないだろう?
「あーあ、なんて可哀想な君」と芝居がかった口調で、青年が近づいてきた。
言われた少女は目を瞬かせる。
「幸福と幸せの違いを知らない」青年は少女の顎をとらえる。
強制的に上を向かされた少女は言葉なく、驚いていた。
青年は少女の唇をなぞる。
「可哀想な君に祝福を」と青年は唇を重ねる。
彼女はまだ少女と言っていい年齢だった。
のんびりとした口調で毒を吐く。
笑顔の下で、無数の傷を隠していた。
そんな彼女にきつい言葉を投げつけられるのは、悪い気分ではなかった。
裏表がなくて分かりやすかった。
だから彼女の命が途絶えた時は、もう二度と理解者を得ることができないと知る。
妻を失って慟哭する男の隣に、鋭い目をした青年が立っていた。
流行りの病で青年も妻を失っていた。
だから男の気持ちは解っていたが、背負っていくものがある男には気持ちを切り替えてほしいと思っていた。
そんな単純なものではないと心の傷が疼くけれども。
愛情が深いというのも難儀なものだ。
君は本当に壊れ物のように繊細で可愛らしいから、僕は手すら繋げない。
力強く触ってしまったら、君は壊れてしまうんじゃないかと不安になる。
そんな僕に不満なのか、君は両手を差し出してきた。
僕は恐る恐る、両手のひらを触れ合わせる。
僕よりほんの少し冷たい手のひらは、生きている証拠だ。
『渡恋橋までおくらせてください』

雨が降って困っていると傘を持った青年が近づいてきた。
そして『渡恋橋までおくらせてください』と言った。
知らない地名に目を瞬かせていると『行けばわかりますよ』と青年は言った。
少し回り道になるかもしれないが傘に入れてもらえるのならありがたい。
『養殖ハッピーエンド』

最近は養殖のハッピーエンドが出回っているという。
天然もののハッピーエンドは稀にしか出会えないうえに、お値段もそうそうするらしい。
ならば、貧乏人は養殖ハッピーエンドで我慢するしかない。
胃の中に入ってしまえば、どれも同じだ。
バッドエンドよりはマシだ。
『3月はサヨウナラでさへ表現に足らず』

別れの季節は涙を誘う。
何度くりかえしても、何度季節をくりかえしても、慣れない。
3月はサヨナラさへ表現に足らず、どう告げればいいのだろうか。
別れゆく君への気持ちを。
どう伝えればこの心に足りるのだろうか。
「サヨウナラ」と離れていく君へ。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「世界は希望で溢れている」と微笑みながら君に告げた。
絶望しかない世界で一筋の希望である君は、いつでも幸いであって欲しかったから。
君には暗い顔は似合わない。
だから僕は君に言った。
・・・うまく笑えたかな?
素直になれない自分が悪いと思っている。
それでも、好きと嫌いが裏表。
好きな瞬間があれば、紙をひっくり返すように嫌いになる瞬間がある。
どっちも本当の気持ちで、迷惑をかけていると思っている。
それでも傍にいてくれる幼馴染に今日も嫌いだと言ってしまった。
本当は誰よりも大好きなのに。
生まれ育った町は山もなければ、海もなかった。
ぽつりぽつりと空地のようにある畑。
駅から離れれば離れるほど、田んぼ。
アスファルトで舗装された道に、点在する街灯。
片田舎だった。
けれども、冬の寒さの中で雲ひとつない、蒼い空だけは自慢だった。
幾日も続く青空はここでしか見られない。
寒い昼すぎに雨が降った。
雪になるには少しあたたかかったようだ。
幼馴染は窓際で飽きもせずに、その雨を見ていた。
僕は課題を片付けながら、雨音に耳を傾けていた。
いつもは賑やかな幼馴染が静かなことを奇妙なことだと思って。
ふいに顔を上げると、幼馴染を視線があった。
幼馴染の顔が輝く。
「iotuは、愚かだなと自分を笑いながら最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
君は何も知らないままでいて。」

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僕は、愚かだなと自分に笑いながら最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
君のためにつく嘘ならいくらでもつけた。
「永遠を信じている」と僕は言った。
これから先の未来で君を裏切るかもしれない。
そう分かっていても僕は嘘をついた。
君は何も知らないままでいて。そう願った。
コンビニに寄った時は買うつもりがなかった。
公共料金の支払いだけすましておしまいにするつもりだった。
それなのによく利いた暖房のせいかアイスのショーケースを覗いてしまった。
暑さにやられた理性は、気がつけばアイスを買っていた。
自動ドアを開いたら、思いのほか外は寒くて後悔をした。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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