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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『2年分だけのラブレター』

私はあなたより一つ年下だから、書いたラブレターも2年分だけ。
出会ったその日から、胸の奥で書き続けたラブレター。
それを清書して、あなたに渡す日が来た。
緊張して、言えた言葉は「ご卒業、おめでとうございます」だけ。
恋心を口にすることはできなかった。
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『ヒーローから私を守ってくれた怪獣』

あなたは怪獣と呼ばれるけれども、ヒーローから私を守ってくれた。
そんな優しいあなたが好きよ。
私たちは悪役なのかもしれないけれども、それでも胸を張って生きている。
正義ではないかもしれないけれども、それなら私たちらしく生きていきましょう。
「iotuは、さりげなさを装って最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、さりげなさを装って最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。君のためじゃない。
自分の心がそっと軽くなるための嘘だった。
「世界は希望で溢れている」と、僕は嘘をついた。
もう会うこともない君への最後の嘘だ。
「本当に?」君は問う。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
神剣・神楽を握る青年が、少女の手をそっとふれた。
壊れ物ふれるように、おっかなびっくりに。
「どうしたんですか?」少女が尋ねる。
「守るものがあるのは、ありがたいと思ったんだ」青年は答えた。
家族を失ってから、静かな暮らしだった。
少女が来てから、悩むことも考えることも増えた。
光年という途方もない尺度で、私たちに輝きを届ける銀河も、すでに散ってしまったという。
その痛みに、心で泣く。
永遠なんてないんだと知って、輝く届ける星々を思って、声も上げずに泣く。
私が年老いるまでに、いくつの星々が散っていくのだろう。
せめて心の底に焼きつけたいと宙を見上げる。
私は立派な酔っぱらいだ。
グラスが空く度に、君が注文するものだから、いつもよりも呑んでしまった。
二次会に行けないほど酔っぱらった。
君は「駅まで送るよ」と言ってくれた。
ありがたいと思って、好意を受け取ることにした。
君がそっと、私の指に触れる。
もしかして、このために呑ませたの。
『3分青春劇』

「あなたが好きです」と僕は言った。
「ごめんなさい」と君が言った。
その間、3分。
勇気をもって告白したのに、僕の青春は終わった。
たった3分青春劇のために、これまでの時間があったのかと思うと悲しかった。
だけど泣き出すなんて恥ずかしい。
「ありがとう」と笑顔を作る。
『私が惚れました』

その才能に、その才覚に、私が惚れました。
あなた以上に素晴らしい才能を持つ人はいないでしょう。
あなた以上に目から鱗が落ちる才覚を持つ人はいないでしょう。
その素敵な技術のために私は惜しみなく金を注ぎこんでもかまわないと思いました。
たとえ片恋であろうとも。
『見覚えのない写真』

アルバムをめくっていたら見覚えのない写真に出会った。
それもそのはずだ。
生まれたての赤ん坊が母親に抱かれている写真だった。
今の私と変わらないぐらいの母親は、けれども私に少し似ていた。
見覚えのない写真に声にならない声で『お母さん』とそっと呼んでみた。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
慰めにもならないような嘘だった。
「世界は希望で溢れている」と、虚ろな目をした君に言った。
励ましにもならない言葉だった。
これが本音なら、楽だったのに。
「本当に?」小さく呟くように君が言葉を紡ぐ。
「一緒にいなくなってあげるから、許してね」と君は言った。
それが君の最期の言葉だった。
白尽くめの部屋で、僕は君の手を必死に握った。
冷たくなっていく体温に、涙が零れた。
「まだ生きていてくれても、いいじゃないか」僕は言葉を紡ぐ。
「ずっと一緒にいようと誓ったじゃないか」僕は言う。
神剣・神楽が律動した。
新年早々、同胞はこちらを殺る気満々だった。
仕方ないと諦めて、コートを羽織る。
「お出かけですか?」台所で七草粥を炊いていた少女が尋ねる。
「冷めないうちに帰ってくる」と青年は微苦笑を浮かべた。
生き残る、それが先決だった。
無事に年越したのだから。決意した。
君は眼光鋭く、僕が着てきたシャツを睨む。
重たい口を上げ「TPOをわきまえろ」と言った。
どうやら派手な柄のシャツがお気に召さなかったようだ。
僕は心の中でため息をついた。
人生はそんなに長いものじゃないんだから、好きなものを着るのは悪くないと思う。
たとえ新年にふさわしくなくても。
君が優しく、僕の腕を指先でつつく。
「ねぇ、私のどこが好き?」君は甘えるような口調で尋ねる。
「選べないな。君の全部が好きだから」と僕は答える。
すると君は満面の笑みを浮かべて「大好き」と僕に抱きついてきた。
僕は小さな体を抱き止めて「ずっと愛しているよ」と僕は君の耳元に囁いた。
『見込み違いだよ、きっと』

「あなたには才能があります!」何故か自信をもって少女が断言する。
「見込み違いだよ、きっと」と少年は答えた。
自分の才能なんて、分かりすぎるぐらい分っている。
才能があったのなら、こんなところでくすぶっていない。
それが少女には分からないようだった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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