忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

室内は暖房が利いているようで、暑いくらいだ。
出された冷たいお茶を一気飲みしてしまった。
「おかわりいる?」君が尋ねる。
「そうしてくれると助かる」と僕は答える。
君が立ち上がって部屋を出ていこうとした瞬間。
僕は軽々しく、君の指先を軽く握る。
まるで独りにされるのが寂しいように。
PR
『周回遅れの恋だけど、そばにいさせて。』

恋に気がつくのは遅かった。
お互いの配偶者が亡くなってから、まるで焔のように燃え上がった。
子どもも成人して、家庭を築いている。
お互いが寂しかったんだと思う。
「周回遅れの恋だけど、そばにいさせて。死が分つまで」と腕の中でささやいた。
『魔法使いの落とし物』

空中から、落下物。
思わず手を伸ばして、受け止めてしまった。
綺麗な瓶に詰まった液体だった。
「ごめーん。当たらなかった?」と声が降ってきた。
見上げれば、箒に乗った同い年ぐらいの魔法使いがいた。
魔法使いは都市伝説ではなかったようだ。
僕はビックリした。
『お別れを前提に、付き合ってください。』

白尽くめの部屋で、君は静かに言った。
「お別れを前提に、付き合ってください。迷惑だとは分かっているのですが」と微かに君は笑った。
細い腕には点滴の管が繋がっていて、君の命を繋いでいた。
「一度、お付き合いというものをしてみたいのです」
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

------

僕は、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をついた。
本当は怖くて仕方がない。そんなことを鼓動が知らせるように耳の奥まで響く。
それは前へ進むための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と、決意した振りをした。
本音は仕舞い込んだまま、君から離れる。
いつか描いた夢を現実にするために。
返ってきた答案用紙を見ていると、上空から声が降ってきた。
「あーあ、なんて可哀想な君」とロリポップを舐めている悪魔が笑っていた。
「また赤点かい?」悪魔は滑るように地面に着地をすると答案用紙を奪う。
「人間風情が魔界なんかにくるからだよ」と答案用紙はひらひらとした蝶に変化した。
「最後にもう一度だけ」とお母さんが言った。
そして荒れた手が私の頭を撫でる。
ぎゅっと抱き寄せられて「幸せになるんだよ」とお母さんは涙ぐむ。
どうして、そんな悲しい顔をするのか、私には分からなかった。
「時間です」とシルクハットを被った男性は言った。
お母さんは嗚咽を堪えて笑った。
気がつけばベルト穴が一つ分、緩くなってきていた。
くりかえされる同胞との戦いで贅肉がこそげ落ちたのだろう。嫌な理由だった。
ふいに神剣・神楽が律動した。
敵対している同胞が近い証拠だ。逃げる間もなく同胞はやってきた。
「上から失礼!」と会釈しながら、撫でるように青年の首を狙った。
錦秋と言ってもいいほど鮮やかな葉が川に散っていた。
どこまでも流されて行き、やがて大海に通じるのだろうか。
そのような姿が好ましく思えてきて、ついつい身を乗り出して眺めてしまった。
そんな僕の手を力強く、腕を君は指先でなぞる。
くすぐったさから、僕は身をよじった。
それに君は笑う。
『元カレ稼業』

「そんな商売って儲かるもんなの?」と君は不思議そうに尋ねてきた。
「意外や意外、お得意様がいるぐらいだよ」と僕はスマホのアドレス欄を見せた。
「どんな人が元カレ稼業なんかに申し込むの?」と君は言った。
「それはトップシークレットだ。君でも教えられない」と笑う。
『ほら、私を「好き」にしてよ。』

できるものならやってみなさい。
私には自信があった。
情けない君にはできないだろう。
ほら、私を「好き」にしてよ。
ずっと前から君のことを気にしていたのよ。
恋人同士のように『好き』にしてよ。
お願いだから、私だけに振り向いて。
懇願するほどの想い。
『突きつけられた選択死』

突きつけられた選択死に「どれもバッドエンドじゃんか」とへらへらと僕は笑った。
「選べないなら選んであげる」と君は高飛車に言った。
どこか余裕のある姿に『ああ、これは本気なんだな』と僕は納得した。
「それなら君の唇で僕は窒息死させて」と選択肢を増やす。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、愛を囁くように優しく最後の噓をついた。
これっきりなら、イチゴが乗ったショートケーキのように甘く。
それはどうしようもない嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と僕は言った。
不幸になるのは僕ひとりで充分だ。
君はいつまでも幸福の中で笑っていて。
本当に、ごめんね。と謝る。
夜道を二人は並んで歩いていた。
「君に出逢わなければ幸せだった」とあなたは言った。
後悔にしては甘く、痛みを抱えている割には明るい口調だった。
「それなら、一緒に不幸せになりましょう」と私は言った。
「君がそれでいいのなら」とあなたは微苦笑を浮かべた。
それを見て、私も微笑んだ。
あなたの心にできた傷を見てみたい、と思うのは悪趣味だろうか。
私の言葉に一喜一憂するあなたの姿を見ていると、知りたくなる。
どれほどの重みで、どれほどの深さで、あなたの心を傷つけたのだろうか。
それはすぐに癒える傷だろうか、それとも墓場まで連れて行くような傷だろうか。
教えて。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH