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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『色褪せた初夢』

初夢に君が出てくればいいと思って、枕の下に君の写真を滑りこませた。
小さなおまじないだった。
なかなか眠れずに、やっと訪れた夢の中では、君は見知らぬ男と手を繋いで歩いていた。
そして僕を見て笑顔で『恋人を紹介するわ』と言った。
そこで僕は目覚めた。
色褪せた恋。
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『降り出した冷たい雪は』

夜半に降り出した冷たい雪は積もるとの予報でした。
寒さを堪えながら帰路を急ぐ人を阻むでしょう。
あなたの肩にも冷たい雪は積もっていますか。
傘を置いていったあなたはコンビニでビニール傘を買うことなどしないでしょう。
せめて部屋をあたたかくしておきます。
『花と憂い』

毎日、花瓶に増えていく花たち。
けれども花瓶いっぱいにはならない。
貰った分だけ、減っていくから。
どれだけ水切りをしても、どれだけ気を使おうとも、咲いた花は枯れていく。
それが切なかった。
ドライフラワーにすることも考えたのだけれども、死体を並べるようだと思った。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「ずっと君と一緒だよ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

僕は、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
何度も心の中で、大丈夫とくりかえす。
きっと君はこの嘘に騙されてくれる。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「ずっと君と一緒だよ」と君に告げた。
君は笑顔になって「うん」と喜んだ。
罪悪感にさいなまれるがもう、覚悟は決めたんだ。
チャペルの鐘が鳴る。教会から出ればフラワーシャワーの洗礼を受ける。
今、この瞬間、世界中の幸せを二人じめしている。
花婿の腕を借りながら、私は階段を一歩一歩降りていく。
幸せの絶頂というのは、こういうことをさすのだろう。
世界で一番、幸せな花嫁だった。
きっとこれからも変わらない。
注文していた制服が届いた。
お母さんが「念のために袖を通してちょうだい」と言った。
制服の入った大きな箱を自分の部屋まで持っていく。
いそいそと制服に着替える。
全身鏡に映った姿は、どこか頼りなさそう。
似合っているかな?
「サイズはどうだった?」と家事の合間にお母さんが声をかける。
君は部屋に上がるなり、靴下を脱いだ。
裸足の美しさに、僕は顔に出さないようにしながらなぞる。
君はいつでも自然体だった。
それが羨ましくあり、憧れでもあった。
裸足の君の美しさは、何に喩えればいいのだろうか。
僕の持っている語彙では表せなかった。
君に気づかれないように視線を逸らす。
同じ部屋にいて、黙りこむこと1時間。それが限界だった。
僕はスマホでタップする。
『君のことが嫌いになったわけじゃない。愛している』とLINEに送信する。
すると君はLINEに気がついたようだった。
満面の笑みを浮かべながら、僕の両手のひらを握る。
「私も愛している」と君は音にして届ける。
『凍った心臓』

冬の寒さで心臓すら凍りついたようだ。
冷たくなってしまった心臓は二度と鼓動を鳴らすことはないだろう。
もう君に振り回さられることはないのだ。
そう思ったら、凍った心臓が愛おしく感じ始めた。
このまま緩やかで緩慢な終わりを向かえるのだろう。
その時のため瞳を閉じた。
『月が欠けるのを誰が泣くの?』

日差しがないことを嘆く人はいても、月が欠けるのを誰が泣くの?と君は無邪気に尋ねてきた。
月の満ち欠けは自然なものだから、気に留めたこともなかった。
でも考えてみれば、月が欠けていくことを悲しむ人がいてもいいんじゃないか、と君に言われて思った。
『君との恋は色映せる』

色々な恋を体験してきたつもりだった。
色々な別れを体験してきたつもりだった。
けれども君との恋は新鮮だった。
まるで初恋をしている少年時代に戻ったような気がした。
君との恋は色映えせる。
僕の人生を鮮やかに彩っていく。
そんな恋だった。
終わらないことを祈る。
獰猛な虎のような心の持ち主だった。
いつか人間をやめて虎になるかもしれない。
そう思わせるような精神をしていた。
そんな彼が姿を消した。
誰かが噂する。
竹林に虎がいる。
人間に慣れていて逃げも隠れもしない。
もしかして彼かもしれない。
私は期待して竹林を目指して走り出した。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
君は何も知らないままでいて。」

------

僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは夢を現実にするための嘘だった。
それは未来へと歩き出すための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と、思っていることと真逆なことを言った。
君は何も知らないでいて。
たとえ夢が叶わなくても、僕が君から離れていくのは変わらないから。
「あまりに卑屈すぎるのも考えものですわ」と君は優雅に微笑んだ。
「わたくしを誰のものだとお思いで?」と続ける。
「君は君だけのものだろう」と僕は言った。
「婚約者だというのに情のないお言葉」君は扇を広げて、口元を隠す。
「わたくしのことお嫌いなのですか?」君が穏やかな口調で訊く。
黎明の時、朝が近づいてきている刻。
敵対している同胞は無防備な少女に斬りつけようとしていた。
青年は神剣・神楽でもって、それをかばう。
刀と刀ぶつかりあい、甲高い音がした。
それが最後に同胞は逃げるように立ち去った。
「怪我はないか?」と青年は訊く。
「安心してください」少女は言う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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