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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、胸に走る痛みを堪えながら最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
僕というゲージの鍵を開けるね。
これで君は自由だ。どこにだって行ける。
「世界は希望で溢れている」と最後に君の羽を撫でる。
どんな突風でも君は飛んでいけるだろう。
僕は君に・・・うまく笑えたかな?
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薄暗い寝所で一夜限りの花が咲く。
仮面舞踏会とはそういうものだとお互い知っていたはずだった。
夜が明ける前に、ダンスを踊りましょう。
どんな曲目も、ステップを間違えるなんてことはしない。
儚い出会いだから、酒に浮かされたような瞳で見つめあう。
もう一度好きになって、とは言えない。
『東京でしてみた恋』

田舎臭い町から飛び出した。憧れの東京。
街は煌びやかで、おしゃれな人であふれかえっていた。
私も精一杯おしゃれをして、その中に混ざりこんだ。
東京でしてみた恋は、おしゃれだった。
すぐさま私は夢中になった。
生まれ育った町では味わえない恋に、虜になっていた。
『君と友達になりたかった』

君はいつも独りだった。
それを苦痛にしている様子はなかった。
背がピンと伸び、口を引き結ぶ姿は、恰好良かった。
だから、僕はそんな君と友達になりたかった。
けれども、君は緩く首を横に振った。
「不幸になるから、友達にはなれない」と君はハッキリと告げた。
『この世界が寂しい訳は』

この世界が寂しい訳は、独りぼっちだからだ。
誰と一緒にいても、僕は独りぼっちだった。
誰も、僕のことを見てくれない。
世界から無視されている僕は、少しずつ寂しくなっていく。
でもきっと誰にも気づいてもらえない。
そう望んだのは、他ならぬ僕だったからだ。
青年は不幸にも苦悩し続けることになる。
青年の心を盗む少女との出会いによって。
蝶のようにひらりひらりと舞い遊ぶ少女は、青年の気持ちをハラハラとさせた。
それでいて青年の心をつかんで離さないのが不幸なところだった。
どうすればこの想いを忘れ去ることができるのだろうか。苦悩は続く。
真夜中にLINEが飛んできたから、寒い思いをしながら外に出た。
用件は書いていなかったから、文字に残せないことだろうと思った。
ただ『会いたい』とだけ、文字にされた。
慰めの言葉をピックアップしながら歩いた。
すると君は笑顔だった。裏切られたと思った。
君は軽々しく、腕を指先でつつく。
『哀情の印』

決して女の肌に痕をつけない男だった。
誰からの所有物のような気がして嫌なんだ、といつの日にか聞いた。
たとえ、それが自分自身であっても、過去の自分の物だったような気がして、見ていて楽しくない。
女はそれは哀情の印だからつけてほしいと願っていた。口にはしなかった。
『自分の為のハッピーエンド』

教会の鐘が鳴る。
新郎の腕を借りて、白いドレスで階段を下りていく。
二人で缶のついたオープンカーへと向かっていく。
これから先はお決まりのハネムーン。
子どもの頃から描いていた夢が叶った。
自分の為のハッピーエンドが額縁に嵌まった絵のように完成した。
『凍えるオリオン』

風が冷たいと夜空の星座まで冷たく見える。
一番初めに覚えた星座の一部の星は、もう存在しないという。
そう考えると光年という時間は、地球の地面を歩く僕たちにとって果てしないものに感じる。
凍えるオリオン座を見上げながら、肩をすくめてあたたかい家へと急ぐ。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは前へ進むための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
神様、どうかこの嘘に祝福を。
それは前へ進むための嘘だった。
君を置いていく。
だから君に対して、冷たい言葉を吐く。
「これ以上関わらないでくれ」と迷惑そうに僕は言った。
こんなことしか言えないなんて。自分自身に失望する。
僕はただ前を向く。
僕は君の「大丈夫」が、大嫌いだ。
君が「大丈夫」と笑う時は「助けて」と叫んでいる時だから。
弱みを見せられない気持ちも分かる。
迷惑をかけたくないという気持ちも分かる。
けれども、僕は君に頼って欲しいと思う。
僕はそのために君の傍にいるのだから。
今度は僕に「大丈夫」とは言わないで。
乗り越えられない壁が僕の前に立ちふさがった。
ここまでが限界なのだろうか。
せっかく、ここまで順調に事は進んだというのに。
僕は唇を噛み、ぎゅっと拳に握る。
「どうやったらこの壁を破壊できるかな?」と君は楽し気に言った。
どうやら君は壁に夢中だった。
それが生まれ持った才なのだろう。
連続する悪夢に、僕は君の手を握りしめる。
君だけは守る、と心の中で誓いを立てる。
君とどこまで逃げれば、楽園にたどりつけるのだろうか。
それを悪夢がはばむ。
僕たちは何もかもを失って、互いの存在だけが残った。
悪夢から一刻も離れるために、手を握りながら走り続ける。
幸せを夢見ながら。
彼女がさりげなく、僕の両手に触れる。
ひんやりとし手に冷たくはないかと、僕は握り返した。
「勘違いしないでよね」と彼女は僕を睨むように見つめる。
「ちょうどよいホッカイロがあると思っただけなんだから」と言う。
「僕は君と手を繋ぎたいと思ったんだ」と僕は微笑んだ。
彼女の頬が染まる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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