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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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君は夜に描いていた夢を現実の夢にするために、歩き出した。
僕はその背中を見送った。
真っ直ぐと将来の夢に向かう君は眩しかった。
たぶん振り返ることもないだろうから、僕は声を上げずに涙した。
言えなかった言葉たちが心の中からあふれてきて、涙が止まらない。
本当は置いていかないで、と。
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拾ったばかりの枝で、水溜りの水面に君の名前を書いた。
静かだった水面は玉響に揺れる。
そして、そっと水溜りがあふれかえらないように気をつけて『大好きだ』と枝で書く。
波紋は儚く、揺蕩った。しばらくしたら、この水面も凪ぐのだろう。
その切なさに気がついてハッとする。永遠はないのだ。
隠れ鬼の始まりだ。僕と君は路地裏に隠れる。
「もういいかい?」鬼役の子の声が風に乗ってやってくる。
だから僕も「もういいよ」と答えた。
そして優しく、君の指先を握り締める。
「もし僕が見つかりそうになったら、逃げるんだよ」と僕は言った。
「一緒がいい」と君は涙目になって小さく呟く。
『落ち込む権利はありません』

お揃いのキーホルダーを失くした。
せっかくテーマパークで買った物だったから、落ち込んだ。
それも君と色違いのキーホルダーを使っていると幸せな気分になった。
僕は失くしたことを打ち明けた。
「落ち込む権利はありません」と君は腰に手を当てて言い放った。
『キャンドルはすぐ火を忘れる』

今年の誕生日は、友だちが集まって祝ってくれた。
もう年の数だけキャンドルを刺したら、ケーキが崩れてしまうような歳になった。
それでも祝ってくれる人がいることは幸せなことなのだろう。
ケーキのキャンドルはすぐ火を忘れるように、一息で消し去った。
『毒にも夢にもならの君の言葉』

君の言葉は軽い。
まるでいっぱいまで空気を入れた風船のように、ぷかぷかと天井に浮いている。
遊園地で貰った風船はエアコンの風に揺れている、君の言葉みたいに。
毒にも夢にもならの君の言葉は、こうしてしぼんでいくまで、ずっと浮かんでいるのだろう。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
君にこんな言葉をかけるのは、いやだったけれども、別れの刻がきた。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と君の瞳を見つめて言った。
君こそ希望そのものだったのに。
いっそ笑い飛ばしておくれよ、最低の嘘に。
新聞を広げると、堂々とその上に箱座りをする。
お気に入りの段ボールを横に置いて、その中に座らせる。
いつもだったら、段ボールの中で丸まって眠るのに新聞紙の上に乗る。
誰だこいつを甘やかしたのは。文句の一つも言いたくなる。
手のひらに乗っていた捨て猫も、今やふてぶてしく丸くなった。
神剣・神楽を持ってしまっても、みんなの生命が守れないと思い知った夜。
砂が指の隙間から零れるように、生命は流れていく。
同胞殺しの妖刀でも、できないことがあるのだと痛感する。
だから、せめて少女だけは守りたいと青年は決意する。
寄り添いあうように、独りぼっちだった過去を振りきる。
海を見ると、昔の傷跡を思い出す。
君と出会ったのは、まだ眩い夏だった。
白いワンピースに藁帽子を被った君は波打ち際を歩いていた。
季節は巡りゆく。
君も元のようにはいられなかった。また、僕も変わっていった。
冷たい潮風にあおられて、もういない君を想う。
今頃、どうしているのだろうか。
二人で内緒の日帰り旅行。
思ったより人波があって、僕は君とはぐれた。
スマホでLINEを送るものの返事は返ってこない。
どうしたものかと思案していると、君がいた。
泣き顔で、僕の両手に爪を立てる。
「置いていかないでよ」と君は言う。
「じゃあ、手を繋ごうか」と僕は提案した。君は頷いた。
『文化祭狂想曲』

文化部にとって最後の晴れ舞台。
それはまるで狂想曲のように慌ただしい。
準備だけでも時間を取られる。
放課後の時間を使っても足りなくて、家に持ち帰って仕上げる。
その様子に家族は眉をひそめる。
最後ならば、最高の文化祭にしたい。
誰もが笑顔になるような狂想曲に。
『街見知りしまして』

「初めまして、お嬢さん」と初老の紳士に声をかけられた。
上品の身なりの姿に見覚えはなかった。
本当に『初めまして』だった。
「先日、貴女を街見知りまして。再び出会えたのは縁だと思った次第です。それで声をかけさせていただきました」と紳士は穏やかには笑った。
『君の日々はどんな音?』

「君の日々はどんな音?」とあなたが尋ねてきた。
『音?』と不思議な言葉に私は小首を傾げた。
「僕の日々はカノンのように輪唱しているんだ」とあなたが言った。
考えてみれば難しい。
私の日々はあなたと紡ぐ足音の音だから、あなたと答えは同じかもしれない。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
君の目を見たら嘘だと見透かれてしまうかもしれないから。
それは相手を守るための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と足手まといだと匂わせるように言った。
これが本音なら、楽だったのに。
君という存在にどれだけ助けれているか。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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