忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

------

僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だったはずだ。
それがいつの間にか、こんがりがって傷つけるような言葉になった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と僕は言った。
君を信じていた。今でも君を信じている。
胸の痛みは消えやしないな、と思った。
PR
永遠の約束をした。
果たせないかもしれない。
破られるかもしれない約束をした。
死が二人を別つまで共にいると約束をした。
まるでプロポーズのような約束だったけれども、二人は真剣だった。
絡んだ小指だけが、証拠の儚い約束だったけれども。
二人は叶えることを信じて、小指を絡めたのだった。
幼馴染の家の縁側で日向ぼっこをしていた。
昼間の光は柔らかく、あたたかい。
猫ではないが眠りたくなってしまう。
「好きな人ができたんだ」と幼馴染が言った。
兄妹のように育ってきたけれども、知りたくないこともあるものだ。
思わず耳を手でふさいだ。幼馴染は手を握る。
「隣にいる女の子」
少年は今日も空色のブックカバーをしている本を読んでいた。
毎日毎日読んでいるのだから立派な活字中毒者だ。
本に狂う姿に少女は退屈していた。
「手、貸して―」と少女は言った。少年は無言のまま手を差し出した。
少女は少年の手のひらと重ねる。
少年の手のひらの方が、ほんの少し大きかった。
咳がコホッと出た。
見舞いに来てくれた友だちに「ごめんなさい」と私は謝る。
長く患っている病気だから、こっちは慣れっこだけれども、友だちは違うだろう。
顔に心配げな表情が浮かぶ。
それからぎこちなく、私の指先を握り締める。
「辛いよね」と友だちの方が、よっぽど辛そうな声で涙ぐんだ。
<サービスも何もなく、二人で必死でしたよね>
【あんときはホント、あわただしく過ぎてたわ】

親友の家に訪れると、アルバムをめくっていた。
「覚えてる?」親友が尋ねる。
「もちろん。サービスも何もなく、二人で必死でしたよね」私は笑う。
「あんときはホント、あわただしく過ぎてたわ」
『親友のような他人』

久しぶりに囲碁を打ちに、友人の家を訪れた。
前もって電話を連絡していたので、準備万端だった。
縁側で友人は笑顔で出迎えてくれた。
手土産を渡すと友人の膝の上には猫が乗っていた。
「猫を飼いだしたのか?」と尋ねると「なに、親友のような他人だ」と猫を撫でた。
『次の停車駅は泊まりません』

僕の体が限界を訴えていた。
あたたかい車内と1/f揺らぎを起こすレールを走る車の中で、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。
眠りの中で車掌のアナウンスが耳に響いてきた。
『トマリマセン』という声を聞いてバッと起きる。
電光掲示板を見た。まだ夢の続きか。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

------

僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
ここで二人そろって、共倒れになるよりもいい。
そんな決断を胸の内でした。
それでもくりかえし後悔が襲ってくる。
「これ以上関わらないでくれ」と作り笑いのまま言った。
君の前で・・・まだ、泣いちゃだめだ。
夫は記念日を忘れない。
二人の出会った日、二人が付き合い始めた日、二人が初めてキスをした日。
その中で格別なのは、結婚記念日だろう。
真っ赤な薔薇の花束を抱えて帰ってくる。
最初は一輪、やがては結婚した年の数だけ。
「君には死ぬまで、綺麗なままでいてほしいんだ」と夫は甘くささやく。
家が破綻した。学校は卒業できるだけで、その先の未来は見えない。
私を取り巻いていた連中は、手のひらを裏返したように去っていった。
そして遠巻きに、私に降りかかってきた不幸を喜ぶ。
信じられる友だち一人、作ることができなかったのだと私は痛感した。
このままでは、野垂れ死にの運命だ。
「ほら」と腕を差し出された。
過去の経験から、吊革につかまれない私がよろめくと知ってのあなたの行動だった。
私は仕方なく、あなたの腕に指を絡める。
これじゃあ、まるで恋人同士。
あなたは親切でしていることだと分かっているから辛い。
このまま恋人になれれば良いのに、ともたれかかった。
『絶対馬鹿にしたりしないから』

最近、親友が落ちこんでいる。
声をかけると「大丈夫だよ」と微笑む。
それは作り笑いだと分かるような、寂し気な微笑みだった。
「悩み事でもあるの?」と親友にもう一度、尋ねる。
「絶対馬鹿にしたりしないから」と親友の肩をつかむ。
親友は泣き笑いした。
『生んでしまってごめんなさい』

生まれつき左右の目の色が違っていた。
そのために鬼の子だと石を投げられた。
当然、家族は村八分。
お母さんは僕の体を抱きしめた。
「生んでしまってごめんなさい」嗚咽混じりにお母さんは言った。
「僕は生まれてきて嬉しいよ」とお母さんの背に手を回した。
『全くもってそうじゃない』

「ごめんなさい」と君は僕の腕の中で謝る。
君が悪いわけじゃないのに、君に謝らせる誰かを憎んだ。
君のきゃしゃな体をぎゅっと抱きしめた。
「迷惑だよね」と君は涙ながらに言う。
全くもってそうじゃない。
「君は悪くない」と僕は君の耳元にそっとささやいた。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH