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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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僕がテレビを見ていたら、君がやってきて肩にもたれかかった。
そっと、僕の手のひらを君が指先でつつく。
僕はテレビを消した。
「いいの?見なくて」と君が尋ねる。「君がいるからね」と僕は微笑んだ。
「君は僕にとって優先順位、一番だから。つまらないニュースよりも大切なんだ」と僕は言う。
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『ミスマチガイ』

とにかくマチガイが多い私についた綽名は『ミスマチガイ』。
よく「しゃべらなければね」とか。
「見た目だけの残念賞だね」とか。
あまりのマチガイの多さに、接してくれる優しい人たちもドン引きだ。
気をつけているつもりだった。
次こそは綽名を返上する、とも思っている。
『突発性難家事病でして』

呼び鈴が鳴り「先生いますか?」とインタフォン越しに若い女性の声。
僕のことを『先生』と呼ぶのは、担当編集者だけだ。
ガチャリとドアノブが回る。今の状態を見せるわけにはいかない。
が、時はすでに遅し。
「原稿の進捗は?」
「突発性難家事病でして」僕は言う。
『年越しそばとコタツと君と来年に持ち越しの約束』

寒さですっかりコタツのお世話だった。
そんな中、台所に立つ君はすごいと思う。
僕はコタツ布団にくるまれて、うつらうつらとし始めた。
「年越しそばできたよ」君の声で目覚める。
僕は君に小箱を差し出した。
約束は来年果たされるだろう。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をついた。
それは切望のような嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と君に決意を告げた。
君と過ごした時間が泡のように弾けていく。
「貴方も夢を追いかけて去っていくの?」と君は言った。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。本当はその手を取りたい。
目をあわせたその一瞬、私は恋に落ちました。
初めての恋だから、作法の一つも分からない。
涼し気なあなたの瞳が私を見つめるだけで、心臓が駆け足をしたようにドキドキと鳴る。
それだけでいい恋でした。成就させようなんて思いもしない恋でした。
あなたの隣に立っていられるだけで幸せです。
君はいつでも窓を見る。
その姿を見る度に、家の中に閉じこめているのはかわいそうなのだろうか、と思ってしまう。
不安でいっぱいになる。
本当は広い野原を走り、恋の一つでもしたくなるのだろうか。
君は今日も窓の外を眺めるように、定位置にいる。
私は「今日はカリカリだよ」と声をかける。
『お局さち子のニンニクタイム』

ロッカールームでコートに取り出していたところだった。
お局と呼ばれる先輩と偶然、出会ってしまった。
私は嫌な予感がした。
「一緒にランチをする?」とさち子先輩は言ってきた。
「金欠で」
「奢るわよ」お局さち子のニンニクタイムから逃げられないようだ。
『誰かの夜で空き缶蹴って』

誰かの夜で空き缶蹴って、誰かを目覚めさす。
蹴った空き缶は歩く誰かの頭上にクリーンヒット。
さぞや痛いだろうと、バクは思った。
直前まで見ていた夢が甘く、美味しかったので、お腹は充分に満たされた。
他のバクに見つけられないように、乱暴に叩き起こした。
『失恋ビギナー講習』

幼馴染がスーツを着て眼鏡までかけてやってきた。
まるでコスプレだ、と僕が思うほどに似合わない。
第一僕たちは制服を着崩しては怒られるような年齢だ。
きっと姉から拝借してきたのだろう。
「これから失恋ビギナー講習を始めます」と幼馴染は大真面目に言いだした。
「iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
これで最後になるのは、離れ離れるになる運命が待ちかまえているから。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と僕は嘘をついた。
一番欲しかったものは手に入らなかった。
こんなことしか言えないなんて。
青年は初めて同胞殺しの神剣・神楽を手にした日を思い浮かべる。
すでに過去のことだったが、あの日受けた痛手は今でも思い出せる。
死んでしまうのではないかというほど、血が流れていた。
けれども神剣・神楽は嬉しそうに律動して、青年を同胞殺しの戦いへと誘った。
それに恐怖を青年は覚えた。
泣きはらした君に優しく、眠りがやってきたようだ。
ただ僕の腕を折れんばかりに握るほど、まだ不安が滲んでいるようだった。
僕は君の手に自分のそれを重ねて「大丈夫だよ」とささやいた。
夢の中では、どうか幸福でありますように、と祈りながら。
規則正しい胸の上下を見ながら僕は手を離した。
『君夢ダイビング』

薄暗い路地裏に占い屋が一件、店を開いていた。
酔っていたからだろうか『寄ってみようよ』と君が言った。
普段はそんな大胆なことを言いださないのに。
占いは基本的な手相占いだった。
最後に『誰の心の中でも入れる薬』と小瓶を手渡された。
それなら君夢ダイビングだ。
『僕の恋が君の頬を紅く染めるまで』

どれだけかかるのだろうか、とのんびりとコーヒーを飲む。
向かい側の君は期間限定のケーキに頬を上気させていた。
可愛いなぁ、と心底思ってしまう。
僕の恋が君の頬を紅く染めるまで、あと数分。
君の頬についた生クリームを僕の指先で拭うまでの時間。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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