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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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僕と君の間に重たい沈黙が落ちる。さすがに言い過ぎただろうか。
こういう時は謝ってしまった方がいい。
ふいに君の方を見ると君は、泣きそうになりながら、僕の手のひらを握り締める。
「ごめんなさい」と言った君の言葉全部に濁点がついていそうだった。
「僕こそ、ごめん」と無事仲直りをした。
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『最後に残った記憶は、かおり。』

歳をとるということは記憶が欠落することだと気がついた。
そのことに恐怖をして、毎日細かく日記を書いている。
何度も読み返して、記憶を強化した。
しかし、思い出せなくなっていくことが増えた。
最後に残った記憶は、かおり。
最愛の人の名前だろうか。
『やっぱり、あこがれぬまま。』

恋に恋をするお年頃。誰も彼もが、あこがれる人を視線で追いかける。
一番人気はサッカー部の部長。
爽やかな笑顔、誰にも優しい、そしてサッカーが強い。
あこがれるには充分な物件だった。
それなのに私ときたら、やっぱり、あこがれぬまま。恋愛は難しい。
『私の正義は勝たなかった』

各々が正義をかかげて、ぶつかり合った。
そこには混じりっ気のない正義しかなかった。
私もその戦場へと出陣した。
けれども、私の正義は勝たなかった。
たった一つの正義だったのに。間違いようもない正義だったのに。
脆くも、弱くも、勝つことができなかった。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
天に神様がいるというのなら、真剣な気持ちで祈った。
それは相手を守るための嘘だった。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と本音と裏腹の言葉を紡いだ。
君の手が伸びて、結局つかめないまま宙をからぶる。
僕は心の中で本当に、ごめんねと君へ謝った。
君の誕生日を知って、僕は密かに用意をした。
君の誕生石が輝く、ペンダント。さすがに指輪を用意する度胸はなかった。
僕たちの関係は、まだ友だちなのだから。
お腹いっぱい食べた後、僕は小箱を手渡した。
「一生分の幸せをもらったみたい」と君は大袈裟に言った。
「祝ってもらって嬉しいよ」
僕たちは傷つけあうだけ傷つけた。
まるで獰猛な獣のように鋭い爪と牙で、柔らかい心を傷つけた。
勝気な君は、まなじりに涙をためて言い返した。
僕にとって、それは痛恨の一撃だった。
頭を冷やすために、僕は部屋から飛び出た。
寒空の夜に、僕はコートでも羽織ってくればよかったと後悔をした。
借りてきた本に風流な栞が挟まっていた。
僕は慎重に木の葉を摘まみ上げる。
一つ前の季節の香りがした。
赤く染まった葉は短かった秋を思い浮かべる。
どんなつもりで木の葉を栞にしたのだろうか。
本から浮かび上がってくる文字を追いかける。
ページをめくる。
木の葉の栞はそっと縁側に置いた。
青年たちは逃げこむように路地裏に飛びこんだ。
肩で息をしている少女に迷惑をかけたと思っている。
結界は意味を失くしてしまった。
敵対している同胞は、まだ近くにいるようだ。
神剣・神楽が喜ぶように律動していた。
少女は泣きそうになりながら、血で濡れた青年の腕を両手で包む。
青年は俯く。
『君が私の恋をうしなっても』

「お願いがあるの」とあなたは言った。
微睡みの中で「どうしたの?」と僕は尋ねた。
ちゃんと返事ができたかどうかも分からない僕に、あなたは言葉を続ける。
「君が私の恋をうしなっても、哀れな女がいたことを覚えていて」とあなたの声が僕の耳をくすぐった。
『ご当地恋愛』

「恋愛は一つの形ではないわ」と恋愛経験豊富そうな女性は笑った。
「だから、次の本は『ご当地恋愛』にしようと思うの」ベストセラー作家は言った。
是非とも自分の出版社で本を出してほしい編集者は無言で頷いた。
それに機嫌を良くしたのか、女性は今までの恋愛譚を話す。
『寂しさの洗い方』

「貴方は寂しかったら、どう洗う?」君が突然、尋ねてきた。
寂しさは洗えるものなのだろうか。
綺麗に洗い流せるものなのだろうか。
返答に困っていると、君は小さく笑った。
「大人になるにつれ寂しさの洗い方は大雑把になっていくの」世界の秘密をばらすように君は言う。
腕時計のベルトの裏には名前が刻みこまれている。
婚約指輪でもあるまいし、大袈裟だ、と当時笑った。
『記念になるでしょ』とプレゼントしてくれた君は笑った。
これから先、同じ時間を歩んでいくのだ、と信じていた。
それなのに、どうして君は俺の隣にいないんだい?
ベルトをなぞって心で泣く。
君との最後の別れにしたくなかった。
だから去り行こうとしている君に、わざと軽々しく、腕を軽く握る。
二人の関係を壊さないように、そっと。
「君のことは……愛している」と僕はとうとう言う。
「そんなこと急に言われても信じられないよ」と君は涙混じりに告げた。
「信じてほしい」と言った。
『神は何も応えない』

雨が降らずに収穫物たちは痩せ細っていた。豊饒から遠い。
村の巫女は熱心に祈ったけれども、神は何も応えない。
純潔を保たなければいけない巫女が穢されたからだ。
巫女は本来、神だけの花嫁だった。
神の怒りは重く、村へと災厄となる。
巫女は泣きながら謝罪をする。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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