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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『吸血鬼のValentine』

部屋には食い物にならないガキが一人。
誰にも会わせたりしない。たらふく血を飲めるようになるまでのストックだ。
なんたって処女の血は美味い。
そんなガキがハート型のチョコレートを差し出してきた。
「こんなもんじゃ食い足りねぇよ」と甘いチョコレートを噛んだ。
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『五月蝿い静寂』

放課後の教室に、君と二人っきりになってしまった。
先ほどまでいた級友たちは部活へ行ったり、帰宅したりといなくなってしまった。
賑やかだった教室に沈黙が落ちる。心臓がドキドキと五月蝿い静寂が漂っている。
今日が日直で、日誌を書いている。ただそれだけのことだ。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

俺は、情けなく笑って最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
あるいは少しでも君の心を軽くしたかったのかもしれない。
「世界は希望で溢れている」と、君の肩の上に手を置いた。
だってもう、仕方がないだろう?
現実の辛さを君に伝えて、どうするというんだい?
これが最後の嘘だ。
私はラッピング済みのチョコレートを用意した。
今年は気合を入れて、手作りチョコレートだ。
彼の家に紙袋の入れて持っていった。「ハッピーバレンタイン!」と玄関先で声をかける。
彼は中身を開けると「ありがとう」と微笑み、ひとつを口にした。
そして私の口に分け与える。
口移しの愛だった。
僕は嫌な予感がして、君へLINEを送った。
それから1時間たっただろうか。既読すらつかない。
いてもたってもいられなくなった。
僕は不安を押し殺して、君に電話をかける。電話は数コールの後に繋がる。
「どうしたの?」と半分眠りの中にいるような君の声。
「お疲れ様」と僕は労わるように言う。
僕はクローゼットを開ける。
普段は着ないスーツを探すために、明かりをつける。
すると女性だったら悲鳴を上げるところだろうか。
ゴキブリが隙間から出てきた。僕はそれを見逃がす。
今夜はお祖母ちゃんの通夜だ。殺生をしたくなかった。
どんなものでも命を燃やして、懸命に生きているのだから。
『日帰り』とつくけれど旅行に来ていた。
それなのに二人の間には沈黙が落ちていた。
たった一つの愚痴が口論まで発展したためだ。
私は意を決して、上目遣いで、自分の両手のひらを軽く握る。
『ごめんなさい』ハミングみたいに声が重なった。
私は目を瞬かせてから笑う。
楽しい旅行になりそうだ。
君の明るい声が僕を眠りから覚ました。
君は嬉しそうな声で「雪が降っているよ」と言った。
通りで暖房をつけていても寒いわけだ。
僕は布団にもぐりなおした。
それなのに君は僕を揺すり起こす。
「せっかくの雪なんだから一緒に眺めようよ」と君は言った。
一緒という言葉が嬉しかった。
『真夜中の手紙』

君から届くメールは長い。
どんな気持ちで入力をしているのだろうか。
少しでも幸せな気分になってほしい。そんな思いのせいか僕のメールも長くなりがちだ。
どちらかが寝落ちするまで続くメールのやり取り。
真夜中の手紙のようだ。
君の字は綺麗だから実際に手紙を貰いたい。
『陛下、推理のお時間です。』

推理小説が好きで、子どもの頃から読んでいた。
ミステリーと名のつくものは、何でも手を出した。
もちろんドラマも、映画も。
僕に解けないロジックは失くなってしまった。
そんな僕についた綽名は『陛下』。
今日も恭しく、陛下、推理のお時間です。と言われる。
『緋色の約束』

それは赤になれなかった運命の朱い糸の約束。
ぷっつりと傷がついて、スカーレッド。
緋色の約束となってしまった。
こんなものだと皮肉に笑ってみる。
涙を流すような純情は、とっくのとうに捨ててしまった。
だから貴方は気にしないで、と傷ついた心を抱えたルージュは笑った。
「iotuは、穏やかに微笑んで最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

------

僕は、穏やかに微笑んで最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
僕なんかを心配して、やきもきする君への嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と宣言するかのように、僕は言った。
「私がいなくても平気?」と君は上目遣いで尋ねてきた。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
博士のもとに、助手の私は紅茶を運んだ。
「君も座りたまえ」博士は言った。
「それでは失礼して」私はテーブルに紅茶を置くと、座った。
「君はスプーン一杯分の幸せを少ないと感じるだろうか。それとも充分だと感じるだろうか。あるいは多すぎると感じるだろうか」と博士が穏やかに尋ねてきた。
「子供は引っ込んでろ」と乱暴に押し入れの中に突っこまれた。
「僕だってできる事はあるよ」と言えば「足手まといなんだよ」と男は笑う。
「すぐに終わらせてやるから、遊びはその後でだ」と襖を閉められた。
薄暗がりの中で、僕は小さい手を見つめる。
僕は唇をかみしめて、悔しさに耐えていた。
DVDに録画した番組を無視して、君は僕にもたれかかる。
そんな君の髪を僕は梳きながら、惰性で番組を見続ける。
君のぬくもりと穏やかな時間に、僕まで眠くなってきてしまいそうだった。
何でもない日に感謝をしながら、TVを眺めている。
ふいに君は僕の頬にキスをする。
そして「大好き」と笑う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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