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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『家族の終わりの日』

こんがり焼いたトースト。
ボウルいっぱいのサラダ。
あたたかなスクランブルエッグ。
カリカリのベーコン。
いつもの朝食だった。
ただ一つ違うものがあるとしたら、テーブルの真ん中に置かれたホールの苺のケーキ。
まるでお祝いごとのように、家族の終わりの日が来る。
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「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「これ以上関わらないでくれ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

俺は、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
まるで恋心を告げるように言った言葉は冷たかった。
それは現実逃避のための嘘だった。
「これ以上関わらないでくれ」と俺は言った。
間近にあった目は大きく見開かれている。こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
そんな傷つけるような嘘。
「私は本気で怒ってるんだから。もう口を利いてあげない」窓に向かって私は言った。
可愛くない顔してる。言った言葉も子どもっぽいし。
落ち着いた足音が耳に響く。
それから、頬に柔らかい感触。
「何するの!?」私は彼を見た。
「口を利かないんじゃなかったっけ?」破られた不可侵条約に睨む。
急に降ってきたにわか雨。「折り畳み傘ならあるよ」と私は言った。
「それともコンビニで傘を買う?」と訊くと「今月は金欠。入れてもらってもいい?」君は笑った。
私の心臓がトクンッと跳ねた。
「相合い傘になっちゃうけどいい?」
「もちろん。濡れて帰るよりもマシだ」君は笑顔のまま言った。
「右と左、どちらが利き腕ですか?」と看護師が尋ねた。「
右です」と僕は答えた。
「じゅあ、左腕にしましょう」と看護師が注射を用意する。
僕はシャツをめくる。
「ちょっとチクってしますよー」これから痛がる未来を想像して、僕は憂鬱になる。
腕時計の短針を睨みながら、ためいきをついた。
君が優しく、僕の腕を指先でつつく。僕は振り返り、君を見た。
「もう春なんだね」と君は笑った。視線の先にはパンジーの花が寄せ植えになっていた。
あんな風に君に寄りかかってみたいけれども、まだ恥ずかしくてできない。
「パンジーの花言葉、知ってる?」君が尋ねる。僕は小さく横に振った。
「iotuは、いっそ滑稽なほど明るく最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「怖いものなんてないよ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

------

僕は、いっそ滑稽なほど明るく嘘をついた。
君から見たら、僕は首つりピエロだろうか。
場を明るくするための嘘は、自分の幸せのための嘘だった。
「怖いものなんてないよ」と大袈裟なほど明るく言った。
それに君は少しは安心したのだろうか。君は僕に笑顔を見せた。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
雲を見上げながら「何か、退屈だな」と君は言った。面白そうなことは、やりつくした後だった。
「こんな日があってもいいじゃないか」と僕は言った。
「退屈で死にそうだよ」と君は大袈裟に言う。
すました横顔を見ると、言葉通りになりそうだった。
君は独りで天使の梯子を上っていきそうだった。
本を手に取る度に、漠然とした痛みが走る。
同じ名前が並ぶ書籍に、涙が浮かぶ。
彼は輝く一等星と同じ名前を筆名にした。
どうしてそんな名前にしたのだろうか。聞くことはできない。
彼は星の一つになって、夜空に輝いているのだから。
本を開けば、どんな世界にもいける。彼は笑っているようだ。
ソファの上に二人並んで、撮りためた番組を見ていた。
タイトルだけで選んだドラマは、どうやらホラーのようだった。
怖いシーンが出る度に君は力強く、僕の腕にしがみつく。
「見るのやめようよ」と君はか細く言った。
「でも続きが気にならない?君が嫌なら違うヤツにするけど」と僕は言った。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

------

僕は、君から目をそらしながら最後の嘘をついた。
このままだと膠着状態だった。だから、それは現状打破のための嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と僕は謝った。
君が今言ったことは嘘だよ、と言ったら僕は信じそうだった。
これが本音なら、楽だったのに。僕は溜息をついた。
「指輪、買ってやれなくてごめんな」と籍を入れる男性が言った。
「私は指輪よりも愛がいい」と婚姻届けを埋めながら私は言った。
「でも形になった方がいいだろう?」男性は苦笑いをした。
「あなたが愛してくれたことが一番の幸福よ」と私は心から想っていることを伝えた。
複雑そうな顔をする。
「今まで、お仕事はどうしていたんですか?」少女は尋ねた。
「学校を卒業してから、親戚の仕事を手伝ったりしたが、これといって就職したことはなかったな」と青年は答えた。「両親が残してくれた資産で充分だった」と続ける。
青年が独り生きていくのには、充分な財産を両親は残してくれた。
眼球の奥に痛みを感じた。それほどまでにパソコンで資料作りを没頭することに気がついた。
目薬はどこだろう。確か引き出しにあったはずだ。
もう少しで資料が完成する。今日はそこまでやってしまいたい。
まぶたを閉じて、目を押さえる。疲れていることに気がついた。
屋上で二人して目をあわせた。
君は恥ずかしそうに、僕の指先を握る。僕はその細い指を力強く、握り返した。
そして頷いた。
引力に惹かれるように、二人は屋上から飛び立った。
不思議と後悔はなかった。手を繋いでいたからだろうか。
風を切り、目を瞑る。痛みが先か、気絶が先か、どちらだろう。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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