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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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今日で最後のお弁当が静かにテーブルの上に載っていた。今日、僕は卒業する。
もうこのお弁当は食べられないのだ、と思ったら哀しくなってきた。
何気ない日常に感謝する。毎朝、お弁当を用意するのは大変だっただろう。
それでも母は文句ひとつ言わなかった。
最後のお弁当を持って僕は家を出た。
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ふいに君は遠くを見る。何を見ているのだろうか、と僕は目を瞬かせる。
君の口唇が「虹が出ている」と言った。「え、どこに?」と僕がキョロキョロとすると、君は指をさす。
確かにそこには虹の橋が架かっていた。幸運を呼びこむそれは儚かった。
君には遠い虹よりも、近くの僕を見てほしかった。
子供時代には分からなかった。君が「嫌だからやめて」と言った理由も分からなかった。
僕は無理矢理、君の指に指を絡める。まるでドラマの恋人同士がするように指を絡めた。
それが君には嫌だったなんて、知らなかった。
大人になって、優しく指と指を絡める。君は「嫌だ」なんて言わなかった。
『笑み割れる』

花が開花するように、君の笑みが咲く。それは笑み割れるようだった。僕だけが独占した瞬間だ。
スローモーションのように、僕は目に焼きつける。二度と見られないかもしれない。
僕が知らない君だった。
恋に落ちる瞬間があるというのなら今がそうだった。君の笑みに恋をした。
『高嶺の穴場』

それは高嶺の花すら知らぬ穴場だった。
ここで手に入らないモノはない。どんなモノでも手に入った。
それは孤高に咲く高嶺の花だろうと、路地裏を走る鼠だろうと。
意外に知られていない高嶺の穴場だった。
ただし、ここに到達するには、ひっそりと崖を昇らなければならない。
『書けなくなった小説家』

そろそろ潮時だろうか。書けなくなった小説家は自笑する。
原稿用紙を前にして、万年筆を握っているというのに、一文字も書けない。
スランプと言えば可愛いものだろうが、そんな生易しいものではなかった。
小説家にとって書くとは生きることと同等だったのだから。
魔法使いは、自分だけの枝を見つけて短杖にする。どんな魔法もその短杖から生み出す。
僕は飛び切りの杖を見つけたと思った。これから先、付き合っていく短杖を守る、そう決めた。
けれども僕より素晴らしい短杖を手にした女の子がいた。
負けたと思った。敵わない悔しさに僕を唇をかみしめる。
初夏の陽気が続く。花たちは綻び、季節を取り違えたようだった。
君と一緒に歩く散歩道は、花々で鮮やかっただった。
君はひとつひとつ花の名前を挙げる。それに僕は耳を傾ける。
ふいの風に君は優しく、僕の指先にしがみつく。
まるで僕が消えてしまうような、不安を乗せて。まだは早い夏だった。
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。いっそ泣いてしまえば楽になる。
そんな君へ告げる最後の嘘だった。それはどうしようもない嘘だった。
「君を、信じきれることができなくてごめん」と君に謝った。
君を信じているのに終焉がくることが辛かった。・・・泣いたりしないよ。
君と一緒にいられる最後の夜。言葉もなく、夜の道を歩いていた。沈黙を埋めるのは、二人分の足音。
どこまで行っても、孤独を沈めることはできなかった。繋いでいた手がゆるりと離れた。
僕は口を開いた。
「忘れて、なんて残酷だね」その言葉に君は「いつまでも、覚えている」と強く返してきた。
今日のデートは一風変わって、スケートリンク。
スキーもスノーボードもしたことのない私に、スケートができるのか。前日から心配だった。
スケート靴を履いて、スケートリンクに立つ。つるつる滑るリンクに一歩も踏み出せない。
君は私の手を繋いで「ゆっくりでいいんだよ」と余裕に微笑んだ。
宇宙がいつ終わるのか、分かるパソコンが販売された。
好奇心から買う人もいれば、不安になって買う人もいた。
宇宙の終焉を知っても、どうしようもない。僕の心がその日が来ることに痛がる。
最後の一日は大好きな君と一緒にいられますように。そう祈ってパソコンを購入した。宇宙の終わりに。
約束を破ってしまった僕に君は優しく、腕に爪を立てる。
ハラハラと零れる涙分、僕の心を痛んだ。
何度目の約束破りだろう。こうなることが分かっているのなら、約束なんかしなければいいのに。
そう知っているのに、小指と小指を絡めあって約束をする。今度こそ、約束が果たせるようにと願って。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。それは現実逃避のための嘘だった。
生きづらい現実から逃げる方法はなかった。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」と僕は言った。
いつまでも覚えていてほしかったけれども。
だってもう、仕方がないだろう?僕も君も限界を迎えているのだから。
君は好きだ、って言ったら逃げるくせに、僕からその言葉をねだる。
そんな天邪鬼の君を好きになってしまったのは、僕の責任だろう。
永遠の追いかけっこ。何度でも君が好きだ、って僕は言うだろう。それが本心なんだから。
だから君は、僕の気持ちを受け止めてほしい。逃げたりしないで今度こそ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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