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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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ドレスを纏い、宝石があしらわれたネックレスをする。唇には紅いルージュ。
支度が終わると、あなたが部屋に入ってきた。「君は今日も美しい」とあなたは感嘆する。
「誰のものだとお思いで?」と私が笑う。
「君は君自身のものだろう」蕩けるように甘いささやきが耳朶をくすぐる。
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待合室で何度も腕時計を見てしまう。音もなく回る秒針に不安は増していく。点灯するランプを睨む。
ほどなくしてドア越しに元気の良い泣き声。僕は立ちあがる。早くドアが開けばいいのに。
どれぐらいの時間が経っただろうか。ドアから看護師が出てきた。「元気な女の子ですよ」と。
里帰りする度、生まれた町は変化していく。
クローバーを摘んだ空き地にはマンションが。こじんまりとした個人店はつぶれ駐車場に。
「便利になったわね」と君は喜ぶ。僕は変化してしまった町に郷愁を感じしてしまう。
二度と帰ってこない日々に、僕は実家に帰る度に思ってしまう。
君は意味深な笑顔を浮かべて「落とし穴にご注意を」と言った。そんなのもう、手遅れだった。
僕は恋という名の落とし穴にどっぷりとハマりこんでいた。笑顔の君に。
それを口にして、今の関係を崩したくなかった。
だから僕は微笑んで「忠告ありがとう」と告げた。君は目を瞬かせた。
君と別れるのは未練が残った。けれども同棲できるほどの稼ぎはなかった。
君は休みの日に、僕のアパートにきて家事をこなしていく。
それに助かると思いながら、一緒に暮らしていたらこの風景を見れるのか、と感じた。
気配を殺して君の白い首筋に口づけを落とす。そして抱きしめる。
「録画、どうする?」と僕は妻に尋ねる。皿を洗っている妻は「任せるよ」と言った。
録画して見ていない番組がずいぶんとある。
妖艶の夏の花を解説していく自然番組だったから、気になっていた。迷いながら録画をすることにした。
新聞紙を見ながら、録画をする。水の音が終わった。
今も思い出す。高校を出て、すぐに働き始めたから、最後の修学旅行だった。
帰りのバスで気になるあの子と隣の席になった。
それだけでも有頂天になったのに、君は普段できない雑談をした。
「帰るのもったいないね」と笑って、優しく、僕の指を握る。冷たい指先に僕の心臓が跳ねた。
少女は白金色の髪の頭髪の少年と目が合った瞬間、睨みつけた。
少年は気にした風ではなく、無表情で通り過ぎる。さらりと流れた白髪色の頭髪が、対抗心を呼び起こす。
敵わないと分かっていても、少女は諦めきれない。
いつの日か、少女が勝負に勝って、少年の悔しい顔が見たいのだ。
神にたてた誓いは狂喜沙汰なものだった。家臣が知ったら悩むだろう。
そして生命を賭けて私を止めることだろう。それでも私は誓いを変えるつもりはない。
家臣の首が並ぼうとも、全うすることだろう。それだけ隣国の王女を手に入れたかった。
神殿で神の花嫁になっていると知っても。
どうしても君に気がついてほしかった。だから恐る恐る、君の指先に爪を立てる。
君は読んでいた本を僕に投げつけた。それを僕は軽快なステップで避けた。危機一髪だった。
君は本を拾うこともなく、僕のためにカリカリを用意してくれた。
僕は空腹が満たされて、定位置で眠りにつく。
「iotuは、無理に笑顔を作って最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

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僕は、無理に笑顔を作って最後の嘘をついた。それは相手を楽にするための嘘だった。
これで最後かと思うと、胸が痛んだが笑顔は崩さない。
「まだ一人で生きていける」と僕は言った。君はほんの少し寂しそうな顔をした。
だってもう、仕方がないだろう?僕たちは未成年なんだから。
英語の課題は『I love youを訳しなさい。自分自身の言葉で』だった。
何人の生徒が『月が綺麗ですね』とレポートに書くのだろう。
僕は晩に二人そろって、月を見ている情景が『愛している』よりも深い味わいがあると思うのだけれども。
それ以上の言葉が思いつかずに、ため息をつく。
誰かのためではなかった。ただ思い立っただけだ。オーブンレンジでクッキーを焼いた。
初めての菓子作りだった。歪なクッキーは自分用。
美味しそうに焼けたクッキーは幼馴染にあげようと思った。
ラッピングしたものを手渡すと、幼馴染に嘲笑された。自分用のクッキーに涙を流す。
君が上目遣いで、僕の指先を軽く握る。僕と違う体温は、このまま手を握り締めて、熱を伝えたくなる。
困った僕の考えも知らずに、君は微笑む。「一緒にいれて嬉しい」と君は言った。それが止めだった。
僕は困り果てた。本当に君には敵わない。心音が届かなければいい、と僕は願う。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。それは自分が楽になるための嘘だった。
だからこそ、心の中でためらいが生まれた。それでも君に最後の嘘をつかなければいけない。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と僕は嘘をついた。君は俯いた。
僕は・・・泣いたりしないよ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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