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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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父は忙しい人だった。
母が亡くなってから、より仕事に打ちこむようになった。
私は祖父母に育てられたようなものだった。
そんな父に反発するかのように、高校を出たら上京した。
もともと疎遠だった父との関係も、より離れられることになった。
肉親だったが後ろ姿しか思い出せない。
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ビルとビルの狭間に逃げこんだまでは良かった。
問題があるとするれば、予想よりも狭いことだ。
体と体が密着するほど狭かった。
息を弾ませるのは、逃げるために走ったから?
それとも体を密着させているから?
それとも恋を意識してしまったから?
最後のは彼が鈍感だからありえない。
秋の風は色なき風というそうだ。
風に色を乗せて詠うのは楽しいことかもしれないけれども、透明な風も素敵だと思う。
ふいに頬をくすぐって、髪をさらっていった風は透明だった。
目を瞑れば秋虫たちの輪唱が聞こえる。
透明な風と共に、私の心をくすぐる。
静かな夜明けまであと少し。
iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?

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僕は君の目を見つめられなかった。
だから、目をそらしながら最後の嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と心と裏腹のことを早口で呟いた。
だってもう、仕方がないだろう?
世界の終末がもうすぐやってきて、君を人柱にするというのだから。
その手は貴族にふさわしくないものだった。
肉刺は硬くなり、無数の傷があり、指はささくれていた。
そんな手の持ち主が何人目かの婚約者候補だという。
俺は嫌々ながらも、両手のひらを両手で包む。
癒しの魔法をかけたのだ。
「ありがとうございます」と婚約者候補は素直に微笑んだ。
兎を模したアイスに刺さった耳はリンゴだった。
白い指先がひとつ手に取り、かじりついた。
俺は見ているだけでお腹いっぱいになりそうだった。
昔から甘いものが苦手だった。
「ねぇ、好きだって知ってた?」彼女が問いかける。
「リンゴが?」と尋ね返すと「そうね」と意味深に笑う。
飼い猫が黒猫だからと、子どもたちに石を投げつけられた。
私はその小さな体を抱きしめて、石から守ろうと一歩踏み出したところで、目が覚めた。
スマホのアラームがけたたましく鳴っていた。
とんだ悪夢だった。
心臓がバクバクして、目が潤む。
実家でも猫を飼ったこともないのに。
大人のあなたたちから見れば、今はまだ未熟かもしれない。
それでも私は二本の足で歩いていける。
ベビーカーなんて、とっくのとうに必要なくなっていた。
それでも、あなたたちは私をベビーカーに乗せようとする。
転ばないように、と。どうか見守っていて。
私は証明してみせるから。
iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と作り笑いと共に言った。
声の震えは君に気がつかれなかっただろうか。
いつものように笑えただろうか。
君とはこれで最後なのに、僕にはこんなことしか言えないなんて。
赤本にB5のノート、赤いマーカーとシャープペンシルと消しゴム。
昼間のカフェの片隅に陣取ってテーブルいっぱいに広げる。
家にいると集中できないから、ちょくちょく利用させてもらっている。
向かい側に座った君が堂々と、指先を指先でつつく。
無邪気な顔で「答え教えて」と言う。
どこまでも透き通った空だった。
小高い丘の上に二人きり。
友だちと呼ぶには近すぎて、恋人と呼ぶには遠すぎる距離。
ふれそうでふれない手。
君が振り返り内緒話をするように言った。
「この世界で二人きりになれたらいいのにね」僕の心臓が跳ねた。
どう答えれば正解なのだろうか。
幼少時は困らせたばかりにだった。
凍てつくように寒い日に部屋を抜け出して夜空を見上げた。
それで風邪をひいたりして心配ばかりをかけていたような気がする。
寝台から滑り降りる。
衝立にかけてあった衣を羽織る。
どこにいても空は繋がっている。
そう信じて独りで夜空を見上げる。
夏が終わり、生活に一区切りがついた。
思えば、今までが長い夏休みだったのだ。
それももう終わり。
住み慣れた町を離れて引っ越すことにした。
新しい街はどんなところだろうか。
不安がないと言ったら嘘になる。
それ以上に期待があった。
ようやく束縛された町から、自由になるのだ。
今回も百点満点が取れなかった。
きっとお母さんは落胆するだろう。
その表情が見たくなかったから遠回りをして帰る。
どんな顔をしてテストの答案を見せればいいだろう。
心がどんどん重たくなっていく。
歩く速度ものろのろとしていく。
帰路の一歩が鉛みたいに重たかった。
「iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

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僕は、目をそらしながら最後の嘘をついた。それは自分が傷つくだけの嘘だった。
それでもいい、と僕は思っていた。君が幸せならば。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」と視線を動かし、君を見つめる。
僕の弱い心は、じくじくと傷が痛むけれども・・・うまく笑えたかな?
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プロフィール
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iotu(そら)
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性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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