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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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大通りは思ったよりも人がいて、君とはぐれてしまった。こうも人が多いと探すのは骨が折れる。
LINEに連絡を入れる。すぐさま返事が返ってきた。
「ごめんね。君が羽を広げてどこかに行ったのかと思った」と僕は言った。
君は泣きそうになりながら、僕の指先を握り締める。僕は謝る。
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僕はスマホの待ち受け画面を君に見せた。雑種の成猫がくつろいでいるフォトだ。
「うちの子可愛いだろう?」僕は言った。
犬派の君は負けじとスマホにおさめた動画を見せる。どうやら散歩をしているようだった。
「うちの子の方が可愛い」と君は言う。
どちらも譲れない矜持があった。
君は寝台の上で高熱に浮かされていた。「頼みがあるんだ」と熱い手で君は僕に手紙を差し出す。
「これを届けてくれないか?」と託す。それは最期の願いになるかもしれない。
その悲願を僕は確かに受け取った。「返事をもらってくるよ」と僕は笑った。
それに安心したのか君も笑った。
無事に帰ってきたら、君と花見をしようと約束した。子供のように指切りをした。
けれども実際に帰ってこれたのは、葉が色づく時期だった。また君との約束を破ってしまった。
そんな僕に君は「月見をしよう」と明るく笑って言った。本当に君には敵わない。
団子を食べながら月を見た。
iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「幸せなんて、どこにもないんだ」、と。
頼むよ、ごまかされてください。

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。それはどうしようもない嘘だった。
「幸せなんて、どこにもないんだ」と僕が言うと、君は笑った。
「虹の端を掘りに行こう。幸せがあるというよ」と突拍子もないことを言った。
頼むよ、ごまかされてください。ため息を噛み殺す。
「もし僕がよそ見をしていたら、ぎゅっと手を握って」と彼は言った。付き合い始めての時だった。
私は「分かった」と頷いた。
大通りを歩いていると、彼の視線が可愛い子に移った。私だけを見ていた目が。
嫉妬から恐る恐る、指を折れんばかりに握る。「ありがとう」と彼は笑った。
夫を見送った玄関口で、私は佇んでいた。淋しいと思うのは新婚だからだろうか。
家事でもしていれば気が紛れるだろう。踵を返そうとしたら、ドアが開いた。
見送ったばかりの夫が戻ってきた。「忘れ物した」と言う。
私は「もう忘れ物しちゃ駄目だよ?」と言った。夫はキスをした。
心という名の気持ちを生み出すのは、科学者にとって悲願だった。
ようやく人の手から作られたロボットに心が宿った。長年の結晶が完成したのだ。
にこりと笑うロボットの隣で科学者は、遠くを見る。そして「永かった」とポロリと呟いた。
ロボットは心から、不安げな表情を浮かべた。
夏の夜更けには不思議な話がまとわりつく。話しをしたからといって涼しくはならない、というのに。
それに夏の夜は短い。あっという間に明けてしまう。百物語なんて夢のまた夢だ。
それでも夏になると蝋燭を持ち寄って、不思議だった話をする。一話話しては、そっと蝋燭の火を消す。
iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?

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僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。心とは裏腹に饒舌に言葉はあふれてくる。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。君を傷つけるものではないから、ためらいもそのうち薄れていった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と僕は言った。だってもう、仕方がないだろう?
貴方はせっせと私の家にやってくる。決まって花を一輪、携えて。
花は様々で、花瓶がいっぱいになるのは早かった。
今日も届けられた花の水切りをする。花言葉なんて、貴方は知らないんでしょうね。
花屋の勧めで、買ってくるのだろう。単純に花言葉も調べずに持ってくるのだろう。
体から硝子のような欠片が零れ落ちていく。不思議と痛みはない。
病院に行ったけれども、解決にならなかった。
硝子のように透明な欠片を陽に透かして見る。キラキラと輝いて綺麗だった。
このまままでいいのか分からなくなる。いつの日か、体全体が硝子のような物になるのだろうか。
青年は少女に電話をかけるか、迷った。
今ごろ家で家事をしている少女に心配をかけるかもしれない。
ただの杞憂かもしれない。
先ほどから首筋がチリチリとするのだ。
こんな時に限って、神剣・神楽は家に置いてきてしまった。
逢魔が時に鴉が飛んでいく。
電話をかけることを決意した。
iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
君は何も知らないままでいて。

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僕は、幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
決して君のためではない。
都合の良い嘘を口の端に乗せる。
「全部忘れていいよ」と僕は君の耳にささやいた。
こんな辛い気持ちは知らなくていい。
君は何も知らないままでいて。
僕だけで解決する。
そんなに泣いたら辛かろう。
君は頑是なき子どものように大泣きした。
僕はその背中をとんとんと軽く叩いたのは、冬の記憶。
あれ以来、君は僕の前で泣くことはなかった。
それが少しだけ、僕は心配だった。
そして一等寒い日に君は無言で僕に抱きついてきた。
泣き顔で、僕の腕を握る。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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