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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「暗くなるのも早くなったな」と俺は自転車を押しながら言った。
「これからどんどん短くなるのね」と君は寂しそうに言う。
一緒にいる時間が短くなっていく。そう思うと俺の足が止まった。
夕映えに切り取られた君の輪郭は美しかった。
「頬が赤いのも気のせいってことにしてあげる」
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iotuは、痛みを堪えながら最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、痛みを堪えながら最後の嘘をついた。それはたぶん最低の嘘だった。体だけではなく心も痛む。
君にそんな顔をさせたくなかった。それなのに結果がついてこない。
「全部忘れていいよ」と僕は作り笑顔で言った。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。そんな馬鹿な男がいたということに。
僕は「天高く馬肥ゆる秋」と習ったばかりを言葉を言った。
君はすぐさま気がついたようで「太ったって言うの?」と言う。
怒り顔で、僕の両手に指を絡める。
「秋は美味しいものが多いからさ」僕は絡められた指を一本ずつ解いていく。
君は不満げな顔をして、微苦笑した僕を見つめる。
君は真っ白なウェディングドレスをまとっていた。これから幸せになる君は輝いて見えた。
「似合うかな?」と君ははにかみながら尋ねた。
一番の親友であり続けた私は、君の耳元にささやく。「幸せになって、なんて嘘だよ」毒を吐いた。
すると君は朗らかな笑顔で「嘘つき」と言った。
家でレンタルしている映画を観ているはずの君。
本当は一緒に見ようね、と言ったのだけれども、今日も残業だった。
だからせめてもと、映画に集中できるように足音を立てないように歩く。
そっとリビングを覗くと君が振り返った。足音は変えたはずだ。
「お帰りなさい」と君は笑った。
巫女は水面を覗きこんだ。神殿の奥深くに安置された水鏡は、この国の未来を映す。
巫女がそれを見て、国王に報告するのは日常だった。だから、その日も水鏡を見つめた。
波ひとつ立たない水面には、知りたくない未来が映し出された。
巫女は一刻も早く、国王に奏上するために走った。
iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。

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僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。まるで白昼夢を見るような感覚だった。
それは本音とは真逆の嘘だった。「もう、迷わないよ」と君に告げる。本当は、まだ心は決めかねていた。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。舞台に上がったものの何の芸もできない哀れな道化師を。
そろそろ丑三つ時だろうか。武士は痛みに耐える。助けを求めて、声を上げそうになる。
ここ数日、決まって丑三つ時になると、灼けるような痛みにさいなまれる。
まるで切腹させられたような激しい痛みだった。誰かに呪われるようなことをした覚えはない。
歯を食いしばって耐える。
「可愛がってやるよ」と野盗が言った。それに僕は内心ため息をついた。
君は震えていた。こんな場面にふさわしくなく。
野盗は秒針が一周するまで無事に立っていないだろう。
君は細身の剣を鞘払い、野盗を刺す。僕は穏便に拳で急所を殴ったのに対して過剰防衛すぎる。
始末書行きだ。
君がお喋りをやめたら、ストンッと静寂が落ちてきた。この静寂は意外にも気詰まりではなかった。
しばし虫の音に耳を傾ける。二人が立てる足音を拾う。
君が立ち止まった。だから僕も立ち止まった。闇夜を照らす月のように君の瞳は爛々と輝いていた。
まるで魔法をかけられたように。
iotuは、無意識に緊張しながら最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
これが本音なら、楽だったのに。

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僕は、無意識に緊張しながら最後の嘘をついた。ねじくれた僕と君の関係を正すためだった。
それは現状打破のための嘘だった、とも言える。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」といった声は微かに震えていたし、笑顔はぎこちないものだった。
これが本音だったら、どんなに楽だったのに。
『さよならだけが人生だ』と言ったのは誰だろうか。人生は別離の連続だ。
出会いの数だけ別れの数が用意されている。それなのに君は堂々と、僕の両手にしがみつく。
離すことなんてないという決意が感じられた。
不思議なもので想われれば想い返す。僕の瞳にも涙がにじみはじめた。
私は勇気を出してラブレターを書いた。
何度も書き直して、綺麗な文字で、誤字脱字がないように、想いが伝わるように。
そのラブレターは読まれずに、びりびりと破かれて、ゴミ箱に捨てられた。
報われないのはわかってたけど、あまりにひどい仕打ちだった。涙をこらえて立ち去った。
深夜を回ったのにLINEのやりとりは終わらない。
僕は嫌われる覚悟で『寝不足になるよ』と送った。すると数秒で『それでもいいもん』と返ってきた。
どうやら構って欲しいのだろう。そんなわがままを言えるのは僕ぐらいしかいない。それが哀れだった。
僕は液晶画面をじっと見つめる。
iotuは、目をそらしながら最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「君の記憶から消し去ってくれていいよ」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。

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僕が造り上げた奇跡のロボット。それから目をそらしながら、最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「君の記憶から消し去ってもいいよ」と僕は言った。
「マスター、それだけは命令でもできません」と心を持ったロボットは言った。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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