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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

声が少しだけ震えた。
最後の嘘だと思っているからだろうか。
「君の全部を忘れたいんだ」海に溺れていくような悪あがきのような嘘をつく。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
君を忘れることなんてできない。
心に刻まれて、チクリチクリと痛むのだ。
それでも優しい思い出に変わるなら、と。
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歳のわりにしっかりしている少女がうたた寝をしていた。
疲れているのだろう。
毛布を小さな体にかけてやった。
どんな顔をして起きるのだろう。
青年は少女の傍で読書を始めた。
一冊読み切る頃、少女はがばっと起きた。
「どうして起こしてくれなかったんですか!」少女は開口一番に青年に言った。
神剣・神楽は同胞殺しの妖刀だ。
伝えられた剣だ。
普通の物で刃物すぐ治る傷も深手を負わせることができる。
その使い手に選ばれて、もうだいぶ前になる。
遠い目で神剣・神楽を眺めてしまう。
選ばれなかったらどんな人生を歩んでいたのだろうか。
過去に思いを馳せる。
『もしも』はないと知って。
「初めまして」小さな女の子はたどたどしく言った。
恥ずかしそうに、僕の両手に触れる。
紅葉のように小さな手だ。
僕は握り返す。
「初めまして」これから兄妹になる小さな女の子に挨拶した。
シングルマザーで育ててくれた母には感謝している。
それでも、寄りかかる相手がいれば、と思っていた。
「iotuは、愛を囁くように優しく最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「全部忘れていいよ」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

今までくりかえしてきたように。
愛を囁くように優しく最後の嘘をついた。
愛を語った口で囁いた嘘は最低だ。
「全部忘れていいよ」と笑顔を作り言った。
君とはこれでお別れだ。
こんなことしか言えないなんて、自分でも呆れ返る。
本当は全部覚えていてほしい。
優しい愛を自覚した時から今まで。
雨の日の約束は、大きな傘を一本だけ持ってくること。
相合傘で帰る。
それがお隣さんこと彼氏との決まり事だった。
幼稚園に入る頃から、ずっとそうしてきた。
あの頃と比べると、傘は大きくなった。
それでも一本だけの傘は狭い。
身を寄せ合って、囁き声で会話をする。
晴れの日にはない楽しみだ。
大人になると味覚が変わるという。
絶対、仲良くなれないと思ったピーマンが美味しく感じるようになった。
野菜炒めに入っていても除けやしない。
それどころか入っていないと物足りない。
大人の舌になったのだろうか。
子ども時代の終わりに寂しい感じがしたが食べられる物が増えるのはいいこと。
夜の間中、うずくまっていた。
細い月は早々と沈んで、星たちの合唱を聞いていた。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
世界は朝の準備をし始めた。
東の空が白んできた。
また今日がやってきた。
消えたい気持ちでたくさんだったのに、朝日を見ると頑張ろうという気持ちになる。
立ちあがる。
少女の心臓はドキドキと奏でていた。
ぎこちなく、エスコート役の父の腕に指を絡める。
一番初めは父と一曲踊る。
次からは順番に紳士たちの間を渡っていく。
ステップを間違えないか。
頭の中は不安でぐるぐると回っている。
それこそ、今日踊る円舞曲のように。
少女は勇気をもって、顔を上げる。
昨今なんでもリサイクルの文字が躍る。
無駄な物は何ひとつない。
この万年筆もそうだ。
父が若い頃に使っていた物を譲り受けた。
書き心地は滑らかで執筆速度が加速した。
そんな大切な物を母は「古ぼけたゴミでしょう」とリサイクルショップに持っていこうとする。
私は必死に抵抗した。
-
いつだって寄り添いあっていた。
「サヨナラ」と共に過ごしてきた。
涙は零れない。
そんなものは、とっくのとうに枯れ果ててしまったから。
乾いた目で今日も一日過ごしていた。
諦めた物事は星の数だけ。
もしかして手を伸ばせば手に入ったのだろうか。
そんな夢物語は朽葉のように散ってしまった。
『好きって言って』

君は笑顔で「好きって言って」と言った。
欲しがるばかりの恋なのだろうか。
こういうのはフィフティフィフティでなければ。
「言ったら、何かしてくれるの?」僕は尋ねる。
すると君は「大好きって言ってあげる」と笑顔のまま言った。
本当に、君には敵わない。
僕の負けだ。
『失恋始末屋』

「今日、呑みにいかない?」君からメールが届いた。
きっと君は何度目かの失恋をした。
『心を許せるのは、あなただけだから』と酔いの中で君は言った。
それなら、どうして僕を選んでくれないのだろうか。
今宵も君の失恋話を耳を傾けながら、次の恋への期待をさせるのだろう。
『どうせ独りぼっちだ。なんて嘘。』

君は青い空をぼんやりと眺めていた。
その背中が少し寂しそうに見えたのは僕の勘違いだったのだろうか。
僕が言葉をかけようとした時。
「どうせ独りぼっちだ」君は呟いた。
「なんて嘘」と君は振り返った。
「あなたがいるもの」そして君は笑顔を浮かべる。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは現状打破のための嘘でした。
「君が幸せなら、幸せだよ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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自分の気持ちを偽って嘘をつくのは得意だった。
まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
今までの関係を変えるために嘘だった。
「君が幸せなら、幸せだよ」と告げると君の目から涙を零れた。
「嘘つき」君が言った。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだった。
「私だけじゃダメ。二人で幸せになろう」
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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