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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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黄の国に隷属することになった。
豊かな黄の国では身分が関係なく、能力次第で出世ができるという。
貧しい村の出身の少年は王都を目指した。
隷属したのも悪くないと思った。
門戸を開いている図書館で本を読む。
王都で受ける試験のためだ。
試験のできが良ければすぐさま官吏として採用される。
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「これで最後だから」少女は言った。
「そういってさっきから、ずっと言っているじゃないか」少年は言う。
「本当に最後するから」少女は願うように言う。
少年は気の毒になってきた。
仕方なく、手のひらを指先でなぞる。
未練になるから、手は繋がない。
そっとふれるだけにする。
「ありがとう」
『勇敢だった恋の後日譚』

誰もが諦めろ、と言った高嶺の花。
美しく咲く花は崖の上に咲いている。
誰も手を伸ばさないから、今日も独りきりで咲いている。
本当は寂しいのだろう、と青年は思った。
忠告を振り切って崖を上った。
勇敢だった恋の後日譚は、誰もが語り継ぐようなお伽話になった。
『果実の嫉妬と憂鬱』

私はいつまで飾り物のでいるのでしょう。
静物画のモチーフになった果実は憂鬱に思う。
綺麗に並んだ白い歯にかじられてみたいと想像する。
それは甘美な瞬間だろう。
腐りかければ、あの人の肉になれるのだろうか。
今までそうであったように、他の果実のように、と思う。
『色鮮やかに抱きしめて』

今が別れの時だというのなら、染まった空のように、色づいた葉のように。
痕が残るほどに、色鮮やかに抱きしめて。
あなたと言う存在を忘れられないほどに。
残った痕を見ては、あなたと過ごした日々を思い出すでしょう。
だから、遠慮なく力強く抱きしめてほしいの。
『君と一緒にみた夢を
 誰かと一緒にはみられない。』

君と一緒にみた夢だったから、君以外の誰かと一緒にみられない。
幾夜、語った夢だろうか。
君と話している間は幸福だった。
空に架かる虹色の未来を描いていた。
そんな君はもういない。
一緒に夢を語る相手をなくした僕は口を引き結ぶ。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは傷をいやすための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

幼子を慰めるかのように少女に嘘をついた。
大きな瞳からポロポロと零れる涙を止めるための最後の嘘を吐く。
それは少女の心にできた傷をいやすための嘘だった。
「永遠を信じている」と。
もう、覚悟は決めた。
少女のためなら、これを最後の嘘にしよう。
これからは、真実だけを伝えようと思った。
色付きのリップクリームじゃない。
口紅を唇に塗る。
この時期に色づく葉のような色を選べなかった。
優しいピンクの口紅を選んだ。
あなたは気がついてくれるだろか。
少しばかりの背伸びをした私は、あなたに似合うだろうか。
あなたの隣に並んでも、妹扱いしないでいてくれるだろうか、考える。
ひらりと一枚、足元まで飛んできた。
僕は拾う。
風景写真だった。
「落ちたよ」と君に渡す。
「写真撮影が趣味?」と僕は尋ねる。
「お父さんからカメラをもらったから、試し撮り」君は答えた。
「ハートがこもっていて良い写真だと思うよ」僕が言うと、君は照れたようにはにかんだ。
「ありがとう」
初めての出会いだった。
挨拶する暇もなく、円舞曲の一音が始まった。
君は優しく、微笑んだ。
僕の腕を折れんばかり握る。
君の緊張が伝わってきた。
ステップは完璧。
優雅に舞うように踊る君に見惚れてしまった。
他の令嬢に目がゆくことはなかった。
第一、強く握られた手がそれが許さないだろう。
『小さな、さようなら』

朝晩、冷えこむことが多くなった。
気がつけば葉が色づいていた。
君と過ごしたあの暑い夏とは小さな、さようならをしていたのだ。
長々しい夜を見上げながら、季節の巡りあわせを感じる。
君と過ごす時間が少しでも長ければいい。
さようならを繰り返しながら思った。
秋晴れを見ると、両親に連れられて行った動物園を思い出す。
幼い頃の唯一の楽しい記憶だ。
高校を卒業すると逃げるように上京した自分は世間の片隅にも置けない親不孝者だろう。
家庭を持って、しみじみと感じる。
自分の育った環境は異常だったのだ。
両親を看取ることはないだろう。
「iotuは、ぎゅっと手を握り締めながら最後の嘘をつきました。
それは切望のような嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

------

ぎゅっと手を握りしめながら口を開く。
「もう、迷わないよ」と君に告げる。
最後の嘘は切望のようで、悲しい響きを宿していた。
嘘だと言えたら、どんなに良いだろう。
笑顔の下は涙で溢れている。
君がいなければ迷ってばかりの道だ。
それでも君には強がりを言う。
僕の悩みに巻きこまないように。
君と邂逅したのは運命だったのだろうか。
すれ違った一瞬だけでは君だと分からなくなる。
それほど君は変わってしまった。
君が僕の名前を呼んで、初めて分かった。
あの頃と声だけは変わっていなかった。
何度、君は僕の名を呼んだのだろう。
僕は君の名を呼んだのだろう。
無惨な最期を遂げるとは。
君の存在を強く感じたい。
だからといって、手を繋ぎたいと言ったら君の機嫌を損ねるだろう。
ストレートな物言いは君は好きじゃない。
「お願いがあるんだ」僕はできるだけ情けなく切り出した。
「僕の手のひらに触れてほしいんだ」
「仕方ないわね。今回だけよ」君は両手のひらを指先でつつく。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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