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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「海を見たことがないのです」と佳人はあっさりと言った。
「いつか連れて行ってあげるよ」と俺は約束した。
故郷は一面の大草原だ。
それはまるで海のような野が広がっている。
佳人の瞳のような色で溢れている。
きっと喜んでくれると思って、軽々しく俺は言った。
意味なんて分からないまま。
佳人は笑う。
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紅茶と一言に言っても、様々な農園が摘み取るものがある。
ダージリンが有名だろう。
選考を重ねて、今年一番の紅茶を選ぶのは難儀なことだった。
生粋の茶葉をを好む紳士淑女にとっては、フレーバ―の紅茶はノイズだろう。
意外に知られていないがアールグレーもフレーバ―の一種だ。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「永遠を信じている」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。」

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自分の幸せを信じるために最後の嘘をついた。
馬鹿みたいだと自分に呆れる。
「永遠を信じている」と、君に告げた。
その言葉に安心したのか、君は微笑んだ。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
口先だけの嘘でごまかす。
それだけで幸せな気分に浸れるなら、安いものだ。
虚しさが胸に去来する。
「新婚旅行は国内?それとも長く有給が取れるから海外に行く?」もうすぐ花嫁になる女性は尋ねた。
「君と一緒なら何だっていい」パートナーになる男性は、いまいち熱を感じられない。
まるでどうでもいいような気がして、不安になる。
もう少しは男らしく、決断力を見せて欲しいと思ってしまう。
「もう何度も聞かないでよ。大丈夫だから」妹が言う。
そうはいっても心配になるのが兄というものだろう。
「そう何度も聞かれると、逆に不安になる」妹は願書を抱えて言った。
「行ってきます」といつものように笑顔を浮かべると、玄関から出て行った。
見送りながら、受験が成功することを祈る。
二人で海へ来た。
純粋な君は波打ち際を歩く。
僕はそれを遠くから見守る。
灰色の砂浜に君の足跡が残る。
波がやってきて、それを消していく。
何が楽しいのだろうか。
僕は鼻で笑う。
海で戯れるほど、子どもの時代は過ぎてしまった。
純粋なままの君を羨ましい、と思った。
変わらないで欲しい。
仕事に追われて、すっかりと忘れた記念日。
今日は君に告白をした日だった。
君は頷いてくれた。
そんな大切な日を忘れていた僕を君は責めなかった。
君は力強く、僕の両手を指先でつつく。
「次はプロポーズ記念日だね」と君は笑った。
仕事上の弱音が零れそうになった僕は、無理やりに微笑んだ。
「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
これが本音なら、楽だったのに。」

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別れ際だった。
大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」と。
これが本音なら、楽だったのに。
これで嘘をつくのは最後だろう。
君は僕の笑顔を見て安心して旅立つ。
君がいなければ強がって嘘をつくこともないだろう。
大学に入って、独り暮らしを始めた。
当初こそ、家事に途惑っていたが、それにも慣れてきた。
何よりも嬉しいのは『帰宅が遅い』と怒る父の存在がないことだ。
物騒な事件もあるけれども、暗くなってからの帰宅は雷が落ちた。
いくら部活に入っていなくても、冬場は真っ直ぐに帰っても暗いのに。
多くの兵士たちは無惨な最期を遂げた。
栄華を誇っていた宮殿も荒廃していた。
朽ちていくのを待っているようだった。
やがて膨大に続く歴史の一頁に変わってしまうのだろう。
生き残ってしまった青年は風に吹かれ、跡地を見つめる。
冷えこんだのだろう。
あの時、負った傷が疼く。
溜息を零した。
少女が怒り顔で、青年の指先を指先でつつく。
ぼんやりとしていた青年は反応が遅れた。
それが火に油を注ぐ結果となった。
「せっかく海に来たのに!」と少女は子犬のように吠える。
電車を乗り継いできた海は特別だろう。
寄せては返す波は普段、見られないものだ。
けれども、ただの海だと思う。
『君が寄越した1秒に逡巡。』

国王には王太子がいなかった。
そのため、第一王女の王配が次の国王になれる。
姫君と婚姻を結ぶ条件は一つ。
剣術に優れていること。
僕と君とは同じぐらいの腕前だった。
決勝戦で対峙したのも運命だろう。
剣を交わせる。
君が寄越した1秒の逡巡。
勝利を譲られた。
『隣町まで行った理由』

あなたに手紙を出したくて、高い背を追いかけた。
あなたに気づかれないように、こっそりと。
あなたに見つからないように、ひっそりと。
学校から隣町への景色は、徐々にのどかなものになっていった。
これが朝に夕にあなたが通う道だと思ったら、愛おしく思えてきた。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君の全部を忘れたいんだ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

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ひどくためらいながら嘘をついた。
それはどうしようもない嘘だった。
最後の決断だった。
「君の全部を忘れたいんだ」と。
真っ直ぐ君の目を見ることはできなかった。
これを最後の嘘にする。
だって胸の痛みが消えやしないから。
君は僕の人生を色鮮やかに彩ってくれる存在だった。
明日から他人だ。
今日は燃えるゴミの日だ。
十月も終わりが近いせいか、外は暗闇に支配されていた。
収集所までゴミ袋を持っていく。
最近はゴミ出しのルールを守らない人が増えたせいか注意する張り紙が増えた。
ネットを上げてゴミ袋を放りこむ。
ふいに、小さな影を見る。
野良猫だろうか。
ネットにじゃれつく。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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