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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『好きだったハズだよ。』

「君の恋は愛にならない造り物だよ」と言われた。
薄暗い照明の中で紳士は薄い紫色のカクテルを勧める。
どんなお酒だろうかと考えていると「ブルー・ムーンだ」と答えをくれた。
「好きだったハズだよ。これ以上ないくらいに」と私は言った。
このカクテルのように。
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『たかが恋。』

今回の恋も美しくない終焉を迎えた。
たかが恋。と飲み屋に入った。
呑まずにはいられない心境だったのだ。
誰にも言えない秘密の恋だったから、愚痴る相手もいない。
どうして、幸せな恋ができないのだろうか。
いつだって醜い終わりを迎える。
ファジーネーブルを一気に呷った。
『あなたが連れてきた、知らない私。』

「君に魔法をかけてあげよう」
きょとんをしている私を連れて、あなたとブティックに入る。
あなたは物色して、私に着るように勧めた。
遠慮していると試着室に押しこまれた。
普段着るような紺や灰色と違って明るい色だ。
鏡の前には知らない私がいた。
『本当ならば今ごろ』

教会の鐘が鳴った。
大きな扉が開かれて、白のモーニングを着た新郎と白のウェディングドレスを着た花嫁が出てきた。
幸せそうな情景から目を離し、コートのポケットに左手を突っ込んだ。
薬指にはプラチナの指輪がはまっていた。
本当ならば今ごろ永遠を誓い合っていた。
「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

僕は感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「すべては夢でも構わない」と君に告げた。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。
君と一緒にいる時間が夢のように過ぎていく。
君は明日から、赤の他人になると分かっている。
たった一夜の夢だ。
心が耐えられない。
君は僕の告白にうなずくだけでいい。
そしたら、僕ら最強に両思いだ。
僕は君が好意を持っていることをずっと前から知っている。
君が僕の告白を待っていることを知っている。
僕と君の物語はハッピーエンドだ。
ごちゃごちゃと言い訳をする必要はない。
だいぶ前から決まっていた終着地点だ。
腕にはマジックペンで書かれた悪口。
石鹸を使って洗っているのだけれども、消えない。
こんな腕を母には見せられない。
早くしないと、パートから母が帰ってきてしまう。
それまでに消さないと。
大粒の涙が零れてきた。
いじめられたことを知られたら、どうなるだろう。
心がぐしゃぐしゃした。
湖面に建つ白亜の城は宝物のようだった。
美しく、優美な姿は、この時期の建築には珍しいものだ。
そんな城に嵐が近づいていている。
その城主は嵐がそれてくれることを祈る。
暴風にさらされたら白亜の城にどれほどの害が訪れることだろう。
元のような姿まで修復するのは大変だろう。
だから願う。
放課後の教室、君はいたずらっ子のように笑う。
人がまばらに残る教室で、僕に近づいてくる。
そして堂々と、両手のひらに触れる。
こんなことをしたら、明日の朝にはどうなっているのか。
自明の理だ。
本当に君はいたずらが好きだ。
そんな君を許してしまう僕も大概だろう。
僕は手を握り返した。
『空なんてなければいいのに』

空を見上げて、あなたを想う。
笑顔で旅立ったあなただから、青空を見れば自然と思い出してしまう。
空なんてなければいいのに。そうすれば軽薄なあなたを想うことなんてなかったでしょう。
胸が苦しくなることもないでしょう。
空を見上げてはそんなことを思う。
『私が恋したって噂』

学校で噂が広がっている。
それも私が恋したって噂、だ。
笑いもしない私が恋い慕って噂の出どころを探す。
それはどんな恋だろうか。
群青のように濃い色に染まった空のような恋だといい。
慕っている相手はちょっと皮肉な笑顔が似合う先生だろうか。
色んな想像が広がる。
『ねぇ、死ぬって、分かっているんでしょう?』

白い世界の中で僕はたたずんでいた。
「ねぇ、死ぬって、分かっているんでしょう?」恋人にこんなことを言われてしまった。
僕の目は決壊してしまったようで、「そんなことないよ」と言いながら涙を零した。
「嘘が下手ね」恋人は手を伸ばす。
「このまま世界の果てに行こう」君は凪のような瞳で言った。
繋いだ手を離さないで、誰も知らない世界へ行けたら、どんなに素晴らしいだろう。
僕は頷いた。
あたたかな手が僕を連れていく。
七色の草原を渡りながら、世界が終わるする場所まで走っていく。
僕は君を信じて、君も僕を信じてくれた。
君と僕は今日も一緒。
パステルカラーの長袖が良く似合っていた。
その服の下には、無数な傷跡があることを知っていている。
君は孤独だから、自分自身を傷つける。
それを隠すように暑い場所でも長袖を着ている。
手首についた傷跡は痛々しい。
これ以上、傷跡を増やさせない。
僕は心の中で誓った。
君は嬉しそうに、僕の手のひらをぎゅっと握る。
僕は勇気を出して、握り返した。
さりげなく、それでいて力強く。
小さな手を二度と離さない。
そんなことを思う。
「嬉しいな」と君は笑った。
だから僕の心臓はでたらめな音を奏で始めた。
僕だって嬉しかった。
勇気はどこかに行ってしまったようだ。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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