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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

こんなことは許されるのだろうか。
僕はひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
だってもう、仕方がないだろう?
君は僕以外の誰かを好きになってしまったのだから。
僕らはこれ以上、一緒にいても傷つけあうだけだ。
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「魔法ひとつ使えないくせに。偉そうなんだよ」と言われた。
殴られると思った。
この世界では魔法の強さで序列が決まる。
その中、魔法も使えずに生まれてきた自分は、最下位だ。
目を閉じて、衝撃に耐えようとした。
「誰のものだとお思いで?」師匠の声がした。
この世界で最も強い魔女の声だ。
「脱げ」と命令された。
優しい私だけの王子様はどこへ行ってしまったのだろう。
今や心まで氷になってしまった皇帝がいる。
「私の話が聞こえなかったのか?」皇帝の言葉に私は洋服を脱ぐ。
胸元には魔女の烙印が鮮やかに押されていた。
「もういい」皇帝は言った。
確認をしたかっただけのようだ。
優しく、手のひらを触れ合わせるだけで幸せだった子供時代。
手のひらが大きくなればなるほど欲望は大きくなっていく。
君のほっそりとした手を握りしめたい。
手を繋いで、どこまでも行きたい。
そんなことを考えるようになってしまった。
純粋だった子供時代が懐かしい。
今は欲望の渦の中にいる。
『初恋は貴方がしてくれればいい。』

私は初恋なんてしない。
だから、初恋は貴方がしてくれればいい。
その恋がどんな顛末を迎えたか。
初恋が終わったら、そっと教えてくれればいい。
それを胸に、初恋をしなくて良かったと思うだろう。
私は傷つかずにすんだことを喜び、貴方を慰める。
『貴方、知ってるのかな?
 私、明日死ぬの。』

貴方、知ってるのかな?
私、明日死ぬの。
これは最期まで言わない方が良いことだろうか。
それとも教えた方が良いのだろうか。
生命には限りがあって、精神にも限りがある。
貴方の机に、そっと遺書を滑りこませる。
貴方はどんな顔をするのか。
『君は涙の奥の幸せを知るや』

君が君でいてくれたことが嬉しくて、涙がポロポロ零れた。
そんな私の涙を止めようとする君。
幸せでも涙があふれることを君は知らないのだろう。
ああ、今はこれ以上ないぐらいに幸せだ。
だって君が傍に寄り添ってくれるのだから。
私は泣き顔のまま笑った。
「iotuは、情けなく笑って最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」、と。
だってもう、仕方がないだろう?」

------

僕は情けなく笑って嘘をついた。
自分で自分を傷つけるだけの嘘だった。
「もう希望に捨てられるのはいやなんだ」と。
だってもう、仕方がないだろう?
これ以上、君とは一緒にいられない。
君の笑顔を見る度に揺らぐ心を抱えて生きていくのは辛いんだ。
これで最後の嘘にするから、笑って別れよう。
「分っているから何も言わないで」と君に言われてしまった。
君より年長だから、くどくどと説教すると思われたのか。
それとも責められるかと思ったのだろうか。
そんな無粋なことをするつもりはなかった。
目の前に恋で傷ついた少女がいるから、慰めの言葉をかけたかっただけだ。
拒絶された。
小間使いのような日々を送っていた。
父の顔色を窺い、母の機嫌を取っていた。
同級生が寄り道をして帰る中、教室に残って宿題を片付けていた。
もちろん塾に通わせてもらうことはできなかった。
みんなが楽し気にしている中、青春を消費していた。
今度生まれ変わるのなら普通の家庭に生まれたい。
次回の構成を考えながら、メモ帳にボールペンを走らせていた。
ふいに歌声が聞こえてきた。
こんな夜更けに、どこの酔っぱらいが歌っているのだろうか。
つたない歌声に、リトルマーメイドが思い出された。
次は童話をモチーフにするのも悪くない。
感謝の気持ちで歌声の主を見る。
若い女性だった。
公園のベンチに並んで座っているのも気恥ずかしかった。
君と一緒だと思うと心臓は駆け足になる。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか。
君は堂々と、僕の手のひらを指先でつつく。
「お弁当、作ってきたの。一緒に食べよ」と笑いかける。
僕はそれだけでも天使がここにいる、と思ってしまった。
『忘れるぐらいがちょうどいいね。』

新しい恋に飛びついては傷ついて帰ってくる君。
いつでも話を聞く物分かりの良い僕。
二人の関係は曖昧だった。
友だちというには近すぎる。
かといって恋人と呼ぶには遠すぎる。
「忘れるぐらいがちょうどいいね。恋は一つじゃないもの」君は強がりを言う。
『あの子を離さないで』

恋人の親友から呼び出しを受けた。
場所は静かなカフェだ。
知る人ぞ知るといった感じの雰囲気の良い場所だった。
説教でもされるのかと思った俺はドキドキとしていた。
「あの子を離さないで」と言われた。
「離すつもりは一片もありませんけど」と俺は口を滑らした。
『貴方は誰かみたいに』

「貴方は誰かみたいに、私を置いていったりはしないわよね」居酒屋でポツリと落とされた言葉だった。
もう少し賑やかな夜だったら、聞き落としていたかもしれない。
過去の誰かと比べられていることに気がついて、日本酒を呷る。
「置いていかない」とつぶやいた。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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