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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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粉々になってしまった輝きを飲みこむ。
かつては愛と呼ばれたものだ。
夜空で煌めいていた頃は美しかったが、地に落ちてしまえば光は失われる。
欠片を一つ拾い上げる。
それは愛なんて綺麗なものじゃない。
金平糖のように棘がある、かつての愛は甘く、たやすぐ噛み砕けるものになってしまった。
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穏やかな日々には感謝している。
それでも幸せには程遠い。
波風を立てないように我慢をしている上に成り立った平穏だった。
本当は、もっと一緒にいたい。
残業なんてしないで真っ直ぐ帰ってきて、二人で晩ご飯を食べたい。
そんな我儘も言えない日常だ。
どれだけ言葉を飲みこめばいいのだろうか。
夕方のスーパーは一時期に比べれば、賑わいを見せていた。
入店の際のアルコール消毒も、マスク着用での買い物も、日常になってしまったようだ。
慣れというのは怖いものだ。
今日は野菜を摂ってほしいから、鍋にしようか。
献立を考えるのは楽しみだ。
革靴の方が先に帰っていたらしく、はにかむ。
『君の涙でぼやけた台詞』

今日こそ告白するんだ。
そう意気込んだ放課後。
パラパラと思い思いに帰っていくクラスメイト達。
その中、君は窓に貼りついて、グランドを見下ろしていた。
西日が君の横顔の輪郭をなぞる。
夕陽に染まった頬に涙が伝う。
君の涙で勇気はぼやけて、喉の奥に詰まった。
『プレゼントは片道切符』

「そんなに男に貢いでどうするの!」と親友は叱ってくれた。
「欲しいっていう物、全部あげたくならない?」自分でも甘やかしているなと感じる。
だけど、プレゼントを渡した時の笑顔が素敵だからしかたない。
所詮、片道切符だと分かっている分、マシな方だと思う。
『思い出はしまえるフリしてハミだして。』

トーストした食パンに、目玉焼きを乗せただけの簡単な朝食。
実家にいた頃は白いご飯に、具沢山のお味噌汁。
焼き魚に、簡単な小鉢がついてきた。
共働きで忙しかったはずなのに、母は手抜きをしなかった。
目玉焼きがハミだして皿に滑り落ちた。
「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。」

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僕は幼子を慰めるかのように優しく最後の嘘をついた。
今までたくさん嘘をついてきたけども、これからは嘘をつかない。
僕がついた嘘は相手の幸福を祈る嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と。
最後にふさわしく、愉悦の表情を浮かべて。
・・・まだ、泣いちゃだめだ。
君に嘘だと見抜かれてしまう。
貴方は大通りを避けて歩く。
他人に見られたくないように。
そんなに私と一緒にいるのが嫌なのだろうか。
私は確かに背が低く、童顔だけれども、兄妹に間違えられるはずはない。
それとも貴方は立派なレディでないと、隣を歩くのを許したくないのだろうか。
私は俯いた。
ポンと頭に手を載せられた。
光をあてれば、その文字は刹那に消えていく。
二度と読めなくなった物語に歯噛みする。
どうしてこんな仕掛けの本を作ったのだろうか。
終わりを読ませたくなかったのだろうか。
白紙になったページを眺めながら、ため息をついた。
ふと思いついて薄暗がりでページをめくる。
それでも文字は消えた。
せっかくのデートと言うのに、二人の距離は友だちだった頃と一緒。
告白をして、お付き合いが始まったばかりだからこんなものだろうか。
心の中で、そっとためいきをつく。
「ここから先、揺れるからつかまっていて」と君が言った。
恐る恐る、腕を両手で包む。
確かに電車は急カーブをして揺れた。
『思い出は後ろ姿ばかりで』

静かな夜は初恋を思い出す。
叶わなかったけれども、幸せだった記憶たち。
思い出は後ろ姿ばかりで、それだけ臆病だったことに気がつく。
大きな背を追いかけて歩くだけでも希望に満ち満ちていた。
毎日、追いかけた後ろ姿は心のアルバムに穏やかに収められている。
『誰かの愛の歌を』

誰かの愛の歌をあなたに向けて歌う。
誰かが愛を成就させるために綴った五線譜をなぞりながら、届けばいいと思った。
自分では歌を紡げないから、誰かの歌を歌う。
心の奥底に眠っている『愛』をのせて、真っ直ぐに。
恥ずかしがらずに歌うから、届いたら微笑んでほしい。
『私よ、私の願いを叶えて。』

『夢』は見ている間は『夢』だという。
一歩進めば、それは『現実』に変わるという。
『願い』もそうなのだろうか。
思っている間は叶うことがない『願い』なのだろうか。
私よ、私の願いを叶えて。とハッキリと口に出して、一歩を踏み出した。
願いを叶えるため。
「可愛い私のいとし子」くりかえし母は、私を抱きしめて言った。
それがくすぐったかった。
歳を重ねても母は私を抱きしめてくれた。
そして「可愛い私のいとし子」と呼んでくれた。
母が病んでいると気がついたのは思春期の頃だった。
私しか授からなかった母は慰めの意味でくりかえしていたのだ。
優しくしてくれた祖母が天寿を全うした。
先に天国で待っている祖父には嬉しいことだろう。
私は棺桶にすがりついて慟哭する。
まだ、逝かないで、と。
伝えたいことはたくさんあった。
姉が祖母が大切にしていたロケットペンダントを渡す。
私の写真が入っていた。
それも棺桶に入れて煙になった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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