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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『己の甘さブレンド』

通い慣れたカフェのドアを開ける。
カランカランと鈴が鳴った。
それが妙に懐かしい気がした。
「いらっしゃい。久しぶりだね」マスターがグラスを磨いていた。
「もう来ないと思っていたよ」と微笑む。
「ブレンドを一杯」と注文する。
失恋する度、飲む珈琲は甘かった。
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「iotuは、大丈夫と自分に言い聞かせながら最後の嘘をつきました。
それは相手を守るための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。」

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僕は大丈夫と自分に言い聞かせながら嘘をついた。
それは相手を守るための嘘だった。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と僕は微笑む。
「絶対?」君はいたいけな目で僕を見つめる。
決めたはずの覚悟が、揺れそうだな。
これで最後の嘘にするから、上手に騙されてもらえないだろうか。
僕らはスープの中で揺蕩うような時間を過ごしていた。
そこに氷を落としたのは誰だったのだろうか。
ずっと一緒に手を繋いでいられると思いこんでいた。
けれども、世界はそんなに優しくはなかったようだ。
僕らにとっての世界の終わりがやってくる。
君は僕が名前も知らない場所へと引っ越す。
あなたがどれだけ涙を零しても、私は選んだのです。
あなたの涙が優しい想い出に変わるといい、とこっそりと望みます。
過去を変えることはできません。
過ぎ去った時間は現在に変わっていくのです。
あなたの涙をそっと、私の手の甲で拭き取ります。
あなたには、いつでも笑っていてほしいから。
君が泣き顔で、僕の腕を折れんばかりに握る。
行くな、と無言で言うように大粒の涙を零す。
「君を泣かすのは、これで最後だと誓うよ」と僕はささやいた。
けれども、君は首を横に振り、腕を離してくれない。
君は薄々と気がついているのだろう。
『最後』の意味を。
だから、君は僕を引き止める。
『私達、恋人だったんだって。』

「私達、恋人だったんだって。驚きじゃない?」
一番仲が良い、親友と言っても過言ではないあなたが言った。
「なにそれ」私は動揺を隠して、返事をする。
あなたは夢でも見たのだろうか。
「昨日、占ってもらったんだ」あなたは眩しいぐらいの笑顔で言った。
『気持ちの伝染病』

あの子が君を好きになってった、と報告してきた。
気持ちの伝染病なんてあるのかな。
何となく君を視線で追いかけていた。
気がつけば私も君のことが好きになっていた。
これ以上伝染しないように想いは口にできない。
最初に報告したあの子は熱が冷めてしまったようだけど。
『君も殺せるはず』

拍手をしながら心の奥の恋心を殺した。
僕以外の男にエスコートされた花嫁を迎える。
友だちの席で。
僕たちの間には何もなかった。
僕の根深い片想いだった。
痛いぐらいの滑稽な恋心を殺せたのだから、思い出の形として君も殺せるはず。
幸せそうに笑う君に標準を合わせる。
ぼくたちは赤の他人だ。
たまたま人生ですれ違っただけの存在だ。
そんなぼくたちが恋をする理由はどこにあるのだろう。
簡単に惹かれたように、簡単に別れるのだろうか。
出会ったばかりなのに、別れのことばかり考えてしまう。
ぼくには恋は向いていない。
でも、きみが笑うとドキドキしてしまう。
金属製のコンパスで二枚の紙に、一つずつ円を描く。
そしてその紙を重ねる。
二つの円は交わった。
「分かるかね?」男性は言った。
「恋というものは、このようなものなのだ」と続ける。
机を挟んでその様子を眺めていた少女は首を傾げた。
「決して同一になることはできない、ということですか?」
妙に生温い冬だった。
季節通りに動いているのは天体だけだ。
こう暖かいと手を繋ぐきっかけがつかめない。
ふれそうでふれない手に苛々していた。
けれども君は軽々しく、僕の指先を折れんばかり握る。
痛いほど君の愛情を感じた。
勿論僕は振り解くようなことはしない。
同じぐらい強さで握り返す。
-
「あなたに恋したみたい。馬鹿らしいでしょ」と君が笑った。
どう答えていいか分からず、僕は黙ってしまった。
君はそれが答えだと思ったのか「今更、気がつくなんて本当に馬鹿みたい」と笑顔が微苦笑に変わった。
「僕はずっと君のことが好きだったから、馬鹿なのは僕の方だ」と僕は断言した。
『ドレスコードは
  紅い紅いドレス。』

上層部から招待状がクリムゾンの元に届いた。
白い封筒に書かれていたドレスコードは紅い紅いドレス。とのことで。
つまり標的を撃ち殺しても、染みがつかない戦闘服で挑めということだ。
得意分野だったから異論はない。
舞踏会への招待状を眺める。
『さよならさえ言わせないのは』

さよならさえ言わせないのは、あなたの優しさでしょうか。
二人で紡いできた恋は、あの日あの時、ぷっつりと切れました。
もうあなたが笑うことを見ることもできないのだと思うと、また涙があふれてきました。
3枚目のハンカチもそろそろお役目御免です。
『私の恋は、貴方の恋のプロローグ』

貴方がこっそりと教えてくれた。
この恋が初恋だと。
純粋な目で私を見つめる。
嬉しかったけれども少しだけ切なかった。
私の恋は、貴方の恋のプロローグになるのだと思ったら、胸が痛んだ。
いつまでも忘れられない飛び切りの初めての恋にしようと思う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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