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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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君を前にすると、緊張して、愛の言葉が思い浮かばない。
『好き』じゃ軽いかな。
『大好き』じゃ子どもっぽいかな。
『愛している』じゃ重たすぎるかな。
世界中にたった一人しかいない君に、ふさわしい愛の言葉は何だろう。
僕がぐるぐると考えていると、君が笑った。
そして、僕の頬にキスをした。
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青年は、ぼんやりと過ごす日常に刺激が欲しかった。
もちろん同胞との戦いは、過激だったが。
普通の生活をしてみたくなったのだ。
スーツに袖を通して、履歴書を持つ。
まずは派遣からだろうか。
それともコンビニのバイトからだろうか。
いくら両親の遺してくれた保険金で一生過ごせるとしても。
『松』と『待つ』をかけた言葉遊びの便せんを見やる。
懐かしい筆跡で元気だと綴った文字が涙を滲ませる。
「嘘つき」と少女は零した。
この頃にはすでに末期だったという。
病室で書かれた手紙を火にくべる。
迷いなく真っ直ぐと煙になった。
これから独りで生きていくのだと思うと寂しかった。
僕の彼女はいわゆるツンデレだ。
とにかく素直じゃない。
なかなか慣れない野良猫のように。
血統書付きのお上品な猫のように。
そんなところも可愛いって思ってしまうほど、僕は彼女が好きだった。
「手を繋いで歩こうよ」と僕は手を差し伸べる。
彼女は嫌々ながらも、僕の手のひらに爪を立てる。
『アンハッピーセット』

『ハッピーセット』があるのだから『アンハッピーセット』もあるのだろうか。
誰もが欲しがらないそれを想像して、苦笑した。
まるで自分の人生みたいだった。
生まれる前からアンハッピーだった。
酒を呷りながら、それでも生きていて良かったと思うのだからいいのだ。
『くしゃくしゃの希望』

参考書を開いて、重要なことをノートに書きだす。
何遍もしている動作だ。
本当にこれで君に追いつけるのだろうか。
くしゃくしゃになった進路希望書を開く。
第一希望は君と同じ学校の名前だった。
「一緒に頑張ろうね」と君は言ってくれたから、進路希望書を見つめる。
『ロマンチックトッピング』

「ねぇねぇ、ヒイラギが飾られているよ」僕は君の手を引く。
ちょっと小走りになってしまったのは、そこに誰もいなかったからだ。
「ヒイラギの下で待っていればいいの?」君はにやにやと言う。
どうやらバレていたようだった。
「ロマンチックだね」と君は笑った。
「内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「欲しい物は手に入れたから、もういいんだ」と。
その欲しい物の中には、君は入っていなかったけれども。
それ以外は、一緒になって集められたから、それでいいんだ。
・・・泣いたりしないよ。
僕は笑う。
『寒い』と理由でくっついていられるこの季節が好きだった。
僕は弱虫だから君に強く出られない。
いつでも君に振り回されている。
それでも、今日は決意したんだ。
コートの中のビロードの小箱が勇気を与える。
イルミネーションが綺麗な場所で僕は言う。
「一生分の君が欲しい」とプロポーズする。
木枯らしが吹く季節になった。
冷たく、強い風は、身も心も冷やす。
そう、恋心さえ。
葉が自然と枝から落ちるように、私の恋は終わりに向かおうとしている。
強い風が吹く度に散らないでと願う。
私にとって最後の恋にしたいから祈る。
でも季節は無惨にも、次の季節を用意している。
縋りつきたい。
郷愁をかきたてられる夕焼けだった。
沈んでいく太陽はある日を思い出させる。
それは君も同じだったらしく「綺麗だね」と呟いた。
安心して任せると思った。
「故郷の両親に渡してくれないか?」僕は白い封筒を君に差し出した。
「本気ですか?」と君は僕の目を見つめる。
「君にしか頼めない」
電車の座席に座れたもののあなたは、口を開こうとしなかった。
直前までしていた喧嘩のせいだ。
どちらもだんまりを決めこんでいては、解決することはないだろう。
だからといって自分から謝るのは癪に障る。
どちらが悪いというわけではない喧嘩だったから。
さりげなく、あなたの腕に爪を立てる。
書き心地を試してみる。
白い紙にすっとインクが伸びていく。
しかも、かすれもしなければ、にじみもしなかった。
「ボールペンも進化しているんだな」と思わず呟いた。
その言葉に部下が笑う。
「主任が知っているのは原始のボールペンだからじゃないんですか?」
「古い物も良い物だよ」
『雲をひとつ、向かわせました。』

仕事が忙しく、手紙の返事すら訪れないあなたへ。
雲をひとつ、向かわせました。
白くて、大きな雲です。
思わずあなたも手を止めて見上げてしまうでしょう。
そして手紙の返事を思い出してくれるでしょう。
私はそれを楽しみに待っています。
私は微笑んだ。
『私を早く
 見つけやがれ
 王子さま』

父が再婚してから家の空気が変わった。
継母が可愛らしい妹を授かってからもっと変わった。
邪魔者のように冷たい継母の視線。
我儘な妹。
それを容認する父。
まるで灰かぶりだ。
私を早く見つけやがれ王子さま。
物語はハッピーエンドで終わらせるはず。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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