『くだらないけど、今もしんじている。』
運命なんてない。
永遠てものはない。
知ってるし、分かってる。
けれども君と小指を絡めた約束が続くことをしんじている。
幼い頃の約束だ。
君が覚えているかもあやしい。
くだらないけど、今もしんじている。
『さようなら』の次が『おはよう』だと。
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スマホで撮った写真が増えてきた。
『整理しなさい。付き合うから』と君が言う。
君と一緒に見た風景、君と半分こにしたデザート。
ささやかな日常が写っていた。
『消去するのはもったいない』僕が言うと君は呆れたような顔をした。
『この瞬間の君が好き』と写真を見せる。
嬉しそうな笑顔だった。
少女と共に暮らすようになって、朝に起きるようになった。
独りきりの時は昼過ぎまで寝ていたのだから、驚きの生活だった。
少女が起こしに来るのが悪いと思った。
それで朝食が冷めてしまうのが悪いと思った。
スマホのアラーム音を切ると、枕元に合った神剣・神楽を見やる。
絶対に守ると思った。
同僚とすれ違い会釈をした。
すると同僚の視線が睨みつけるという方が正しい鋭さを増した。
何か気に障るようなことをしただろうか。
「その脇差し」と同僚は怒りを抑えるような震え声で切り出した。
「上様から下げ渡されたものだと聞いた」同僚が静かに言う。
「確かに拝領したものだ」と答えた。
『前の席のポニーテール』
前の席の女子が首を傾ける度に揺れるポニーテール。
白いうなじが見え隠れして、ドキッとする。
そんな俺の気持ちなど知らないだろう。
首を傾けるのは癖なのだろう。
先生が出す課題が難しいと女子は首を傾ける。
ポニーテールが揺れる。
そんな女子から目が離せない。
『私を救わないで』
どうか私を救わないで、と神様に祈る。
私は過ちを犯して罰を受けているのだから。
ここから救われても行き場所のない私。
家族は受け入れてくれないだろう。
許されなくて当然。
お互いに途惑うだろう。
だから勇者様、私を救わないでください。
私は静かに死を迎えるのです。
『クリスマスの風鈴』
12月に入ると、街は一気にクリスマスムードになる。
店内はクリスマスソングが流れている。
プレゼントに迷う青年が不釣り合いな雰囲気で雑貨店を見て回っている。
それを店主は微笑ましく見守る。
チリンチリンとガラスの音に青年は目を止めた。
風鈴に気づいたようだ。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「まだ一人で生きていける」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」
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僕は声が震えないように祈りながら最後の嘘をついた。
それは一人で歩き出すための嘘だった。
「まだ一人で生きていける」と君に告げる。
もう、覚悟は決めたんだ。
自分をだますための嘘であろうとも。
僕は君に寄りかからずに歩いていくと決めたんだ。
だから、君は笑って嘘を祝福をしてほしい。
死の舞踏会への招待状が届いたのは、朝ご飯の途中だった。
少女は眉をひそめる。
同胞との戦いは、圧倒的に夜が多かった。
人目をはばかる戦いなのだから、当然かもしれない。
相手もなりふり構っていられないということだろうか。
「悪いが、行ってくる」食事の途中だったが、青年は立ちあがる。
気分は最悪。
昨日「大っ嫌い!」と喧嘩したばかりの彼氏と同じ班の修学旅行。
自由時間がくるのが憂鬱で仕方がなかった。
親友は「仲直りのチャンスかもよ」と気軽に言ってくる。
目的の向かうバスに乗りこむと彼氏が手を差し出してきた。
吊革に届かない私は嫌々ながらも、手のひらにしがみつく。
『君の片想いをください』
君は長いこと片想いをしているのを知っている。
『決して振り向いてくれないだろうな』と酒の席で零した。
それは嬉しそうで、寂しそうで、諦めきれない微笑みだった。
そんな君に恋をした。
「君の片想いをください」と勇気を奮って告げた。
別に振られても良かった。
『たった一つ残していった君の口癖だけがいつまでも消えない』
君と別れてどれぐらいの月日が流れただろう。
うつろう季節の中で、君の残影を見る。
『絶対、大丈夫』と自分自身を励ます。
たった一つ残していった君の口癖だけがいつまでも消えない。
私の口癖になった。
私の支えになっている。
『私の恋を君が語るな』
「いつも、運がないですよね。好きになった人が妻子持ちとか」賑やかな居酒屋で君が言った。
どこか馬鹿にした口調だったから、私はイラついた。
今までしてきた恋はどれも宝物だった。
どんな終わりを迎えようとも、変わらない。
『私の恋を君が語るな』と腹を立てた。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは現実逃避のための嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
嘘だと見破ってくれたらいいのに。」
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僕は祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは現実逃避のための嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と。
今でも君を信じている。
君が僕を裏切るようなことをしないと思っている。
君が嘘だと見破ってくれたらいいのに。
そんな未来を切り捨てるようなことを僕は言ったのに。
少女と共に過ごす世界は和やかだった。
長らく独りでいたから、疑似家族だとしても嬉しかった。
『誰か』がいるのはこんなにも、あたたかいのだと知った。
青年は洗い物をしている少女の背に向かって「ありがとう」と言った。
「いきなりなんですか?」驚いて振り向く。
「照れるじゃないですか」