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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『思い出があの人を抱きしめたいと言うんです』

良い雰囲気になった男性と二次会のようにバーに入った。
静かなピアノが奏でられているバーで私は告白する。
「思い出があの人を抱きしめたいと言うんです」と言ったら、共通の知人だった男性はほろ苦い笑顔を浮かべた。
「振られたな」と言う。
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「iotuは、幼子を慰めるかのように最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
胸の痛みは消えやしないな。」

------

僕は幼子を慰めるかのように最後の嘘をついた。
それは相手の笑顔のための嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
変わらない毎日をくりかえすのが人の人生だと知っている。
それでも、ひととき君の笑顔が戻るのなら、君の手を取って逃げ出そう。
僕の胸の痛みは消えやしないな。
「あなたは綺麗なままでいて」と少女の髪をお母さんが梳く。
丁寧に、優しく、梳かれるのは、少しくすぐったかった。
「お姉ちゃんみたいになっては駄目よ」とお母さんが言う。
髪を明るく染め、コンタクトレンズに変えて、制服のスカートを短く切ったお姉ちゃんは綺麗になったと思うけれども。
少女はテスト結果が張り出された廊下で立ちすくむ。
握った拳は深く、きつく。
解れないことなどないように握り締める。
今回も2位だった。
もちろん1位は白金色の頭髪の少年だった。
一瞬、視線が交差した。
硝子玉のような瞳には感情らしきものが映っていなかった。
次こそは、と少女は胸に誓う。
嵐のような欲望で君を蹂躙する。
いつもの優しいキスも、今は貪るように激しく。
息すら奪ってしまうように、口づけをする。
今夜ばかりは穏やかではいられない。
嵐の前の木々のように君は悲しむ。
『変わってしまったの?』と涙混じりに問う。
ずっと君が貪欲なまでにも欲しかった。
本来の姿だ。
君を置いて出て行った。
どんな責め苦も甘んじて受けよう。
それだけ酷いことをしたのだから。
それなのに君は遠慮がちに、僕の指先に爪を立てるだけだった。
まるで罰ゲームのような、優しい痛み。
君が感じた痛みは、こんなものじゃないだろう。
そして「お帰りなさい」と君は抱きついてきた。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは相手の笑顔のための嘘でした。
「すべて夢でも構わない」、と。
こんなことしか言えないなんて。」

------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
これから先は少しは素直になるから。
最後の嘘だと気づかないで欲しい。
相手の笑顔のための嘘だった。
「すべて夢でも構わない」と君に伝える。
こんなことしか言えないなんて。
我ながら最低だな、と思った。
心の中の叫び声を握りつぶして僕は微笑む。
虹色の宝石を生み出すこの国も隷属することになった。
もともと武力がない国だったので、帝国に攻められたら、やすやすと陥落した。
帝国は虹色の宝石を求めた。
その秘密を知らなかったから、王女を差し出すと皇帝を首を傾げた。
王族の涙が虹色の宝石になるので、これからの未来に王女は震える。
『まだかえらないの』

ガラッと教室を開けると、独りたたずんでいる男子がいた。
放課後の教室、西日が強かった。
落ちていく陽光が男子の輪郭をなぞって、まるで知らない人のように見せた。
「まだかえらないの?」と私は尋ねた。
それと同時に下校のチャイムが重なった。
答えは聞こえない。
『人の間』

『人間は人の間、と書くように他人がいなければ人間になれないものだよ』と懐かしい過去が伝えてくる。
淡々と告げられた言葉は思いのほか、あたたかく。
『だから、お前は人間でいてくれ』孤独な人は優しく頭を撫でてくれた。
だから、その人の分まで『人間』でいようと思った。
『夏。でした。』

太陽がじりじりと肌を灼きつける。
蝉時雨が汗をうながす。
黄色い姿勢の良い花が咲いていた。
熱せられたアスファルトを一歩ずつ進む。
どこにでもある情景だ。
君がいないというだけで、静かな時間を過ごした。
ああ、君はずいぶん遠くに行ってしまった。
そんな夏。でした。
「iotuは、内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

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僕は内緒話をするように声を潜めて最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君のためじゃない。
僕自身のためだ。
期待で耳に寄せた君に「世界で一番、大嫌い」と告げた。
もう、覚悟は決めたんだ。
世界が君を切り捨てようとしているのなら、僕は君を救うために離れ離れになる。
二十歳の誕生日を迎えた。
亡くなった父と同じ銘柄の煙草を買う。
身分証明書の提示を求められたが、すんなりと購入することができた。
コンビニの外に据え置かれた灰皿の前で、使い慣れないライターで火をつけた。
むせないように浅く吸う。
苦いだけのそれは、父が纏っていた匂いそのものだった。
読書中にそれは現れた。
この世界の柱の一つの化身だという。
「最初に言っておく。僕は読書の邪魔をされるのが最も嫌なんだ」僕は告げた。
「あなたしか、この世界を救えるものはいないのです」化身は言う。
「警告はしたよね」僕は佩いていた剣を抜刀して化身を刺す。
化身は残像のように消えた。
「ここから先、少し揺れるから」あなたが手を差し出した。
電車のつり革にも手が届かないチビの私にはありがたい申し出だった。
けれども、どうしても素直になれない。
「大丈夫」と私が言うと、電車が揺れた。
踏ん張れたもののよろけた。
嫌々ながらも、あなたの両手を折れんばかりに握る。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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