忍者ブログ
ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『今日の涙
 いつかの
 貴方みたいだ』

離れ離れになるのが辛くて涙を流したのは、私の方だった。
いつも別れの際に、涙を滲ませるのは貴方の方だというのに。
そう思ったら笑顔が零れた。
「今日の涙いつかの貴方みたいだ」と私は告げる。
「そんなに泣き虫かな」と貴方は困ったように笑う。
PR
『君の淹れたコーヒーを』

『たっぷり魔法をかけておいたからね』ある日の君の言葉だった。
実際、自分で淹れたコーヒーと違う味がした。
コーヒー豆は買ってきた物だから同じだ。
違うのは手順だろうか。
『美味しいよ』と感想を言うと君は微笑んだ。
もう一度、君の淹れたコーヒーを飲みたい。
『さける思い』

まるで生木がさける思いだった。
簡単にはさけないのに、無理やり二つに分けるような思いがした。
君が告げた言葉は、僕の心をミシミシと音を立ててさいていていく。
これが花をさかすような思いだったら、どんなに良かったのだろうか。
僕は涙をこぼしながら痛みに耐える。
「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それはたぶん最低の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。」

------

僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
それはたぶん最低の嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
いっそ笑い飛ばしておくれよ。
生きていかなきゃいけない。
それを捨て去るのは喜びも受ける資格もないということなのだから。
君に話すような事柄じゃなかった。
手探りでスイッチを探す。
ようやく見つけて、部屋の中が明るくなる。
完全に悪酔いだった。
失恋したからといって、いくらなんでも飲みすぎた。
リモコンで寒い部屋を暖める。
ガサゴソと薬箱を漁る。
胃腸薬を見つけたものの飲む気にならない。
でも、明日も仕事だ。
差し支えてはいけないだろう。
どんな天気の日でも写真を撮り続けた。
美しい青空だけではなく、曇り空や、雨の日も、365日間撮り続けた。
父が遺したアルバムの写真に重ねるように。
どんな気持ちで父はシャッターを切っていたのだろう。
決して人を撮らなかった父の風景写真を見つめる。
いつか撮り続ければわかるだろうか。
目を覚まして胸やけを感じた。
常備薬になっている胃腸薬を飲む。
漢方薬にも似た味わいの粉薬はサプリメントと違う。
独特な味が口の中で広がる。
原因は分かっている。
昨日の焼肉パーティーだ。
年甲斐もなくはしゃいで、黒焦げの肉も食べた記憶がある。
一時だったが楽しい時間だった。
『かえらさないでよ。』

優柔不断な彼。
私のことを奪えないでいる。
チャンスは何度もあったはずなのに、キスすらできないでいる。
今度こそハッピーエンドの恋愛をしたいのだ。
『夜道を歩くのは危ないよ』優しい彼は最寄り駅まで送っていこうとする。
かえらさないでよ。
私は言えなかった。
『まだ好きだったらよかったのかな』

自分は情というものが薄いのだろう。
熱烈な恋愛をしたいと思っても、思うだけ。
すぐに飽きてしまう。
情熱を持続できなくて、また恋人と別れてしまった。
クリスマスが間近な街は恋人同士であふれている。
まだ好きだったらよかったのかな、と少し思った。
『部活最終日』

部室棟に来るのもこれが最後だろう。
先輩たちから受け継いできた部誌に、何を書けばいいのか迷った。
悩んでいるうちに同級生たちは帰っていった。
ちょっと薄情だな、と思った。
部活最終日なのだから、語りあいたいと思わないのだろうか。
ためいきをついて部誌をめくる。
「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「世界は希望で溢れている」、と。
頼むよ、ごまかされてください。」

------

僕は冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは僕が歩き出すための嘘だった。
弱気にならないための嘘だった。
「世界は希望で溢れている」と。
頼むよ、この強がりをごまかされてくれ。
闇夜のような絶望の中、一歩を踏み出すのだから。
怖がりな僕を知られたくない。
息を吸いこんだ。
僕と君は約束をした。
小指を絡めあって、運命だと信じて。
究極の遠距離恋愛になるとしても、お互いを見つめあった。
僕が日本を発つ時、君は泣いていた。
それでも、唇には笑顔を浮かべていた。
僕は君との約束通り、最果てを目指す。
だから、僕は大きく手を振った。
最果ての約束は絶対に守るよ。
まだまだ「暑い」と文句をつけていた日々だった。
背の高い花が真っ直ぐに太陽を見つめていた。
アスファルトは肌を灼くように熱かった。
季節はまだ『夏』だった。
いつもの帰り道、腕を上げて別れの挨拶をしようとした。
君は上目遣いで、俺の腕をぎゅっと握る。
離れたくない、と瞳が告げていた。
『恋の終わりに
 私がちゃんと
 泣きますように』

「お願いがあるの」親友に静かな声で頼んだ。
私らしくない真剣な表情を浮かべていたからだろう。
親友は「何があったの?」と尋ねる。
「あのね。恋の終わりに私がちゃんと泣きますように、祈っていて」と私は言った。
親友はうなずいた。
『私に会いに行こう』

思い立ったが吉日。
私は鞄にありったけの思い出を詰めこんで、電車に飛び乗った。
会いに行くのは、あの頃の『私』。
車窓は緑が濃くなって、故郷へと私を運んでいく。
誰もいない秘密基地に滑りこむ。
ほんの少し窮屈になった秘密基地は、懐かしさにあふれていた。
PREV ← HOME → NEXT
プロフィール
HN:
iotu(そら)
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ [PR]
 △ページの先頭へ
Templated by TABLE ENOCH