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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『あの帰り道』

遠くまで来たものだ。
もうあの帰り道は、変わってしまっただろうか。
それとも、あの時のままだろうか。
君と一緒に歩いた道は、どれだけ変わっていても、懐かしさを感じるのだろう。
久しぶりに帰りたくなった。
あの時と一緒に君と並んで歩きたくなった。
故郷へと続く道を。
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『かじかんだ言葉で、サヨナラを。』

息が白く凝る夜の中だった。
指先も心も凍える夜に、雪のように溶けていく息。
どちらからともなく、手を離した。
ぬくもりが遠ざかっていった。それは心細く、切ない感じがした。
もうおしまいの時期がきたのだ。
あなたにかじかんだ言葉で、サヨナラを。
『まだ、幼くて。』

君はまだ、幼くて。
恋を語るには早すぎる。
君の瞳は、真っ直ぐで、純粋だ。
無垢な君と恋に落ちるのは、あと何年後だろうか。
その日が来ることを、楽しみにしている自分は道化師みたいだ。
君が無垢に僕を見上げてくるから、早く大人になってしまって。
恋をするぐらいに。
「iotuは、何もかも悟ったような顔で最後の嘘をつきました。
それはどうしようもない嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、何もかも悟ったような顔をして最後の嘘をついた。
他にどんな顔をすればいいのだろう。
仕方がないと思うしかなかった。
それは、どうしようもない嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と、僕は言った。
最初に裏切ったのはどっちの方だろうか。
僕は・・・うまく笑えたかな?
毎朝、『おはよう』のメールの他に文章が続く。
『今日も君だけを愛している』と写真付きのメールが送られてくる。
いつもの待ち合わせ場所で、あなたは手を振る。
愛されているのは嬉しいけれども、重すぎる。
贅沢な悩みかもしれないけれど。
「メール。私の前だけにしておいてね」と釘を刺す。
慢心していたのだろう。
君はずっと僕のことを好きだと思っていた。
君はいつでも笑顔で、僕を見つめていてくれたから。
それがある日、するりと君は僕の『愛』という名の抱擁から抜け出した。
君はいつものような笑顔で「別に好きな人ができたの。別れましょう」と言った。
僕は頷くしかなかった。
君から新着メールが着た。
『窓を開けてみて』とメールの文面に、寒そうだなと思いながら、教室の窓を開ける。
木の葉で『大好き』という文字を書いていた。
僕は窓を閉めて、鞄をひっつかんで、君の元へと急ぐ。
「驚いた?」得意げに言う君を、僕は抱きしめる。
「今度は声にして」と僕は言った。
春は出会いの季節であるのと同時に、別れの季節でもある。
ソメイヨシノが乱舞する中、ここでも見慣れた景色が広げられていた。
君は泣き顔で、僕の両手を折れんばかりに握る。
その痛みが別れの痛さだと思うと、僕もセンチメンタルになる。
「たまにはメールしてよね」と君は泣きながら言った。
『サヨウナラなら。せめて、靴を贈ろう。』

これでサヨウナラなら。せめて、靴を贈ろう。
あなたがどこまでも歩いていけるように。
私は一緒には行けないから。
立ち止まれば、目に入る靴がいい。
見る度に、私を思い出してくれるだろう。
あなたの孤独な旅を楽しくしてくれるような靴を贈ろう。
『どうやって君になればよかったのか』

「あれ、リングはどうしたんですか?」目ざとく友人が言った。
静かなバーでウィスキーを傾ける。
「別れたよ」
「す、すみません。空気読めなくて」友人は焦ったように言う。
「……どうやって君になればよかったのか。今でも分からないよ」とつぶやく。
『あなたの街で、誰でもない私。』

ほったらかしにされているような気がして、つい言ってしまった。
「あなたの街で、誰でもない私。存在が尊いと思わない?」と。
故郷から離れて、あなたの街に嫁いできたのだ。
世界に一人だけの私が。
もうちょっと大切にしてくれてもいいと思うのだけど。
「iotuは、感情を抑えながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

俺は、感情を抑えながら最後の嘘をついた。
それは最初で最後の嘘だった。
精一杯の強がりだった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
神剣・神楽に選ばれてから平穏の尊さを感じていた。
それでも少女の前では弱音は吐けない。
もう、覚悟は決めたんだ。
弱音も泣き言も口にしないんだ。
僕は鈍感だったから、笑顔と嘲笑の差が分からなかった。
みんながニコニコしているのを見て、僕もニコニコしていた。
みんなが僕を構ってくれている。
みんなが僕の大切な友だちだと思っていた。
だから、君が刺すような瞳で僕を見ているのが不思議だった。
嫌われるようなことでもしたのだろうか。
『思い出にさわらないで』

胸の柔らかな場所に、いつでもそれはあった。
思いかえすと、ほっと温かくなった。
ささやかなことだったけれども、私にとっては大切な記憶。
それにあなたは無造作にふれようとする。
思い出にさわらないで、とあなたの手を払いのけた。
これで振られても後悔はない。
『最後に一曲…』

たくさんの観衆の前で、ヴァイオリンを弾く。
コンサートを開けるまで、有名になれた。
今日のコンサートは育った地域のこじんまりとした舞台だったけれども。
いや、今日こそふさわしい日だった。
観客席には見知った顔があった。
最後に一曲…、アンコールは君のために弾く。
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プロフィール
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iotu(そら)
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自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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