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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『思い出も愛せたから』

必ず来る別れの瞬間。
いつか来ると知っていたから、それほど悲しくはなかった。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせ、涙を拭って見送った。
思い出を愛せたから、今日から独りぼっちでも平気だよ。
涙は零れるけれど、心配しないで。
思い出の数々が流させるものだから。
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「iotuは、冷静であるよう心がけつつ最後の嘘をつきました。
それは悪あがきのような嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、冷静であるように心がけつつ最後の嘘をついた。
それは悪あがきのような嘘だった。
「君がいなくても何も変わらないさ」と。
本音は仕舞い込んだまま。
君は僕の太陽だ。
いなくなったら冷たい月の夜を歩くようなものだろう。
それぐらい君の寄りかかっている。
君を自由にするために嘘をつく。
久々の再会だった。
ショートカットだった髪も胸の位置まで伸びた。
「綺麗になったな」と彼は自然に言った。
「そんなお世辞を言わなくてもいいよ」と私は笑った。
二人が恋人同士だった時は言わなかった。
時間の流れを感じた。
「君につける嘘は、あいにく持ち合わせていない」と彼は真剣に言う。
いつか来る別れのために準備をする。
生木を割くように辛いだろうから、笑顔の練習をする。
別れの言葉を用意する。
別れがいつ来るか知りたくない。
私の息が止まるまで一緒にいたい。
あなたは私の手を握り『ありがとう』と言ってくれて、微笑んでくれればいい。
そんな別れだったら耐えられる。
月を見上げていると思い出してしまう。
いつも一緒にいた君。
これから先の未来もずっと一緒にいると思っていた君。
けれども、君は僕から遠ざかる。
思い出の一つになってしまった君を追憶する。
あれほどまで愛し合っていたのに君はもう僕の隣にいない。
欠けた月がみじめな僕を照らしていた。
綾羅錦繍に喩えられる紅葉。
鮮やかな色で沈む太陽。
秋は深まっていく。
何故か心細く感じられて、僕は立ち止まった。
隣を歩いていた君は不思議そうな顔で、僕を見つめる。
「どうしたの?」君が尋ねる。
僕は上手く言葉にできなかった。
君は軽々しく、両手を軽く握る。
「話したくなったら話して」
『サヨウナラ図鑑』

おや信じていらっしゃらないようですね。
ここにない本は一冊たりともありませんよ。
貴女の生まれた日に起こった事件を収めた本でも読めば、納得していただけますか?
そんなものは入用ではない、と。
ごもっとも。
貴女が探している本はこちらですね。
サヨウナラ図鑑です。
『また会った時にサヨウナラ』

貴方に対して告げる『サヨウナラ』はとっておきましょうか。
きっと最後になるでしょうから。
二人で作ってきた思い出が胸に去来します。
お別れは寂しいと感じるものの、これで良かったのだと思います。
また会った時にサヨウナラを告げましょう。
前途を祝して。
『追いつきたい恋でした』

貴方の広い背中を、いつも小走りで追いかけました。
並んで歩くには、私の一歩は小さく、貴方は早歩きでした。
寒さに首をすくめて、貴方は独り歩いていきます。
その足跡を辿りながら、早く貴方に似合う大人になりたいと思いました。
それは、追いつきたい恋でした。
「iotuは、震えないよう祈りながら最後の嘘をつきました。
それはきっと必要じゃない嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
嘘だと言えたら、どんなに。」

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僕は、震えないよう祈りながら最後の嘘をついた。
それはきっと必要じゃない嘘だった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
君と過ごす時間は一秒たりとも尊い。
無駄な時間なんてない。
嘘だと言えたら、どんなにいいだろう。
最後の嘘にするには滑稽だった。
これから正直に生きていく。
「大嫌い、って言えないの」と親友はポロリと零した。
「好きなの?」私が尋ねると親友は小首を傾げる。
「それが分からないの」と親友は言う。
「嫌いじゃないことは確かだけど、恋だと分からないの」と言葉を続ける。
その様子が恋しているように見えた。
「ハッキリさせなくてもいいんじゃない」
塩を舐め、ほのかな甘みを感じた。
昨今、流行の感染症にかかったのだろうか。
味覚障害が出る場合もあると聞いた。
薬箱から体温計を出して計る。
少しだるさを感じた。
体温計が甲高い音を鳴らす。
表示は平熱だった。
「塩と砂糖の容器、入れ間違っちゃいました。大丈夫でしたか?」と少女は言う。
「言霊って信じますか?」少女が尋ねた。
「あまり気をつけたことはないな」と青年は答えた。
「言葉にはそれだけで力があるのです。雲の形だって変えられるんですよ」少女は真剣な表情で言う。
「そういうオカルトなことは任せるよ」青年は言った。
少女はどこまで本気なのだろうか。
分からない。
学校という缶詰に閉じこめられた子どもたちの娯楽は恋愛遊戯。
誰それが誰それを好きだとか、噂はパッと広がる。
そして、くっついただの、別れたのだと、話が娯楽だった。
私の好きな人は噂に絶えない人だった。
今日も可愛らしい柄の手紙をもらったそうだ。
さりげなく、両手のひらを握り締める。
手と手を取り合って駆け落ち。
人生のクライマックスだろう。
普段着だから、普通の恋人同士に見えるだろう。
反対されて町から逃げ出してきたようには見えないだろう。
私たちは、この街で幸せになる。
恋人と顔を合わせて微笑みあう。
もう手を離さなくていい世界で私たちは家族になる。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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