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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『君になりそこねた私』

「私には君が羨ましいよ」と青年はためいきをついた。
何もかもを手にしている青年にはふさわしくない言葉だった。
「あなたの方が羨ましいと思うのですが」と少年ははっきりと言った。
「君になりそこねた私は、ただの空蝉のようなものだからね」と青年は微苦笑した。
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『馬鹿野郎って送り出して』

「お願いがあるの」真剣な表情で彼女が言ってきた。
彼女が家を出る一日前のことだった。
「馬鹿野郎って送り出して」と彼女が言った。
夢を追いかけて出て行く彼女にはふさわしくない言葉だった。
「なんだかね。急に弱気になってきちゃったの」と彼女は微笑んだ。
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは相手の幸福を祈る嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
・・・うまく笑えたかな?」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
それは相手の幸福を祈る嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」と。
・・・うまく笑えたかな?
君は僕なんかと一緒にいない方が幸福になる。
これで君と僕の縁は切れるだろう。
最後の嘘は胸に突き刺さる。
それでも、僕は笑顔を崩さなかった。
外は極寒の世界。
家は灼熱の世界。
いささか効きすぎたエアコンに汗をかく。
「アイス食べたい」と家に上がった君が言う。
先ほどまで寒さに凍えていたとは思えない姿だった。
僕は冷凍庫からアイスを取り出す。
「ありがとう」と微笑む君の首筋にキスをした。
すっかり暑さにやられた理性だった。
君の視線はいつだって未来を見ていた。
君の声はいつだって夢を語っていた。
僕はその隣で、君を見つめていた。
君が小さな町を出る日がやってきた。
僕はいつものように微笑んで、君を見送る。
いつだって隣にいた存在がいなくなるのは寂しかった。
それでも夢を叶えるために一歩を踏み出した君。
その女性は世界を支える女神の化身だと言った。
信じられなくてスマホのカメラで撮った。
僕はその結果を見て、スマホを握りしめる。
撮影したフォトにはおどろおどろしい姿が映っていたからだ。
肉眼で見た女神の化身は、眩いほど美しいのに。
これはどちらが真実なのだろうか。
僕は息を飲んだ。
せっかくの修学旅行だというのにバスに酔った。
自由時間は、あちこちと回る予定だった。
それなのに世界が上下したように目が回っていた。
「そろそろ集合時間だけど、立てる?」同じ班の班長だった男子が尋ねた。
楽しみだったろうに、付き合わせてしまった。
私は遠慮がちに、指にしがみつく。
『いまでもまだ僕のほうが』

君はどうしてそんな最低な男を選んだだい?
愛をささやくだけで、君から様々なものを奪っていく。
君を大切にしてくれない男のほうが良かったんだい?
いまでもまだ僕のほうがマシだろう。
これ以上ないぐらいに、君に優しくする。
一生を誓えるほど愛しているから。
『私が恋しちゃう前に』

私が恋しちゃう前にキスしちゃダメなんだから。
私が恋しちゃう前に『愛している』なんて腰を抱くのはダメなんだから。
面倒くさいかもしれないけれど、恋の順番を守ってくれなきゃダメなんだから。
『初めまして』から始めましょう。
きっと私はあなたに恋しちゃう。
『ちゃんと誰かを好きになったよ』

花束は白い百合。
貴方が一番好きだった花。
ちょっとお高めの花だったけれどを、それを花束にしてもらう。
海が見える丘を登る。
貴方が一番好きだった景色。
ちょっと不便な場所だったけれど、そこであなたは眠っている。
「ちゃんと誰かを好きになったよ」
「iotuは、少しだけ震える声で最後の嘘をつきました。
それは自分が傷つくだけの嘘でした。
「君にもらったものは全部返す」、と。
・・・どうしようもないな。」

------

僕は、少しだけ震える声で最後の嘘をついた。
君に震えが気づかれないだろうか。
それは自分が傷つくだけの嘘だった。
「君にもらったものは全部返す」と。
君からもらった懐かしい日々も。
君から与えられた愛の日々も。
全部返す。
君が新しい明日を歩けるように。
僕は・・・どうしようもないな。
「喉、乾いた」少年は言った。
少女には次に来る言葉がわかった。
だから先に言う。
「一口頂戴、なんて簡単に言わないで」少女の言葉に少年は「ケチ」と言った。
「自分の分は自分で用意しなさい」と少女は言う。
「だって一口でいいんだ。それでもダメ?」少年は言う。
我が儘を言う子供みたいに。
『惑星間恋愛』

地球から飛び出した人類たちは、各々の惑星で暮らしている。
仕事の都合だったり、勉学の都合だったり、裕福な暮らしのためだったり。
理由は様々だ。
僕は究極の遠恋をしている。
惑星間恋愛は珍しくなくなってきたとはいえ、違う惑星の君と恋している。
たまに会いたくなる。
『懐かしくしてしまった言葉達』

『好き』、『大好き』、『愛している』。
最後に君に告げたのはいつだっただろうか。
懐かしくしてしまった言葉達が、心の中でよみがえる。
君に告げた言葉達は嘘ではなかったけれども。
過去になってしまった。
二度と告げることはない言葉達になってしまった。
『せめて言葉を着飾って』

今日は二人の記念日。
ダンスをするようなドレスはもっていないけれども、愛の言葉をささやいて。
寒さが消え去るように、寄り添っていて。
せめて言葉を着飾って、一緒に踊りましょう。
誰も見ていない場所で、手に手を取り合って華麗に舞いましょう。
二人だけで。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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