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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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『見送る背中と、見ておけよ背中。』

大きくて広い背中だと思っていた。
けれども実際は普通の背中だった。
その存在が大きかったから、大きく見えただけだ。
その背中を見据える。
もう二度と見られないかもしれないから。
見送る背中と、見ておけよ背中。は、同じように言っているようだった。
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「iotuは、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をつきました。
それは自分が楽になるための嘘でした。
「寂しくなんてないよ。大丈夫」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、どうしようもなく泣きたい気分で最後の嘘をついた。
それは自分が楽になるための嘘だった。
「寂しくないよ。大丈夫」と。
これが君への最後の嘘だったから・・・泣いたりしないよ。
泣くのは君が立ち去ってからだ。
強がりでもいいだろう。
それで二人が楽になるのだったら。
本当は寂しい。
人数合わせの合コンだった。
所詮は引き立て役だった。
静かに烏龍茶を飲んでいた。
自分には場違いだなとひしひしと感じていた。
「そろそろ終電なので」と私は立ちあがった。
すると「お持ち帰りさせてくれる?」と一番人気の男子が言った。
女子の間にざわめきが起こる。
初めてのことで赤面する。
仕方ないと諦めてしまったことがある。
手を伸ばせば、叶う夢だったかもしれない。
すべてを投げ打つべば、手に入った現実だったかもしれない。
それでも、僕は微苦笑を浮かべて、眺めているだけだった。
そのままな姿でいてほしいから。ねじ曲がってはほしくなったから。
不思議なほど僕は諦めた。
眼光鋭く見つめる空は、いまだ暁だった。
まだ明けきれない空をあなたは真っ直ぐと見つめる。
その姿は冷酷で、孤高だった。
私には真似ができないと打ちのめされる。
夜がしみじみと明けていく。
冷たい風にさらされて、あなたは朝を待つ。
絶好の天体ショーをあなたは真っ直ぐと見つめ続ける。
壊れやすい硝子のような君にふれるのは勇気が必要だった。
それでも、君とぬくもりを分かち合いたいと思ってしまった。
僕は優しく、君の指を両手で包む。
透明な硝子のような冷たい体温だった。
僕があたためてあげようと思った手だった。
君が凍えてしまわないように。
君は恥ずかしそうだった。
『離れた意味は』

貴方と離れた意味はあったのでしょうか。
貴方は空気のように私の傍を漂っていて、捉えどころのない人でした。
いつでも近くにいたので、当たり前になってしまった。
それではいけないと、貴方から距離を開けました。
それなのに、今でも貴方が傍にいるような気がします。
『シナリオ通りになるなよ』

人生は決まったレールのようなものだと思っていた。
決まった時刻に到着した電車に乗って決まった時刻に止まった電車から降りる。
その繰り返しだと思っていた。
あの日、声をかけられるまで。
「シナリオ通りになるなよ」ぶっきらぼうな物言いにレールから外れた。
『四角い夜の隅』

四角い夜の隅で、膝を抱えていた。
誰にも信じてもらえないかもしれないけれど、部屋の端で蹲っていた。
流れているラジオの記号化された音声が悲しみを増すようだった。
窓から零れてくる夜は四角く、部屋に忍びこむ。
それをぼんやりと眺めながら、世界の終わりを考える。
「iotuは、祈るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは本音とは真逆の嘘でした。
「君を、信じきることができなくてごめん」、と。
・・・泣いたりしないよ。」

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僕は、祈るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは本音とは真逆の嘘だった。
「君を、信じきることができなくてごめん」と。
今でも君のことを信じている。
君が僕を裏切るようなことはしないと信じている。
でも、君の目が動揺していた。
それが答えだった。
こんなことで・・・泣いたりしないよ。
天秤にかけたら九十九人が選ぶだろう。
この世界を救うために、愛する人の手を離すだろう。
簡単な引き算だ。
それを後悔しながら生きていくのだろう。
でもたった一人、愛する人の手を握る人物がいた。
それだけで天秤が容易に揺れる。
それを見て選択が間違っていることを知った。
気づけなかった。
「見てください」と少女は青年にカメラを見せる。
どこから見つけたのだろう。
「一枚、撮ってもいいですか?」少女が問う。
こちとら寝起きばかり。
寝癖がついた髪にパジャマ姿だ。
「着替えてくる」と青年は立ちあがる。
だらしない格好が残ったら恥ずかしすぎる。
それこそ笑い話になってしまう。
これから先、あなたと一緒にいられない未来があることに気がついた。
繋ごうとしていた手が遠かった。
私は泣きそうになりながら、自分の両手のひらを握る。
そんな悲しい明日を思い描いていると、あなたの方から手を繋いでくれた。
「何かあった?」あなたは優しく問うから、私は首を横に振った。
成人の儀を終えてほっと安堵した。
空には三日月が輝いていて心を乱す。
これからゆっくりと過ごしていけばいいのだと思ってみるけれども、別れた友のことを考えてしまう。
もっと話せばよかったと後悔をする。
もう二度と会うことはないのだから。
私達は夢を追いかけて別々の道を歩む。
『間違わせて…』

薄暗がりの中、カウンターには様々な色合いのカクテルが並ぶ。
それと同じように様々な男女が向かい合う。
薄紫色のカクテルを呑む君が囁くように言う。
「間違わせて……。一夜でいいの」それを耳にした僕は首を横に振る。
他人のものを盗る趣味はない。
だから頷かなかった。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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