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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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真夜中に少女の部屋に訪れた。
音を立てずに入室すると起きていた少女が悲鳴をあげそうになり、狼狽する。
少年は少女が泣いているのではないかと思って、少女の元へやってきたのだ。
目をこすったのだろうか、少女の目元は赤かった。
忍ぶ恋をしている少年は心配になった。
少女は微かに笑った。
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『結局さわれもしない恋でした』

あなたのことを遠くから見つめているだけの恋でした。
近くにいられることもあったのに手を伸ばすことができませんでした。
影同士が手を繋いで歩いている夕方。
あなたは『好きな人ができた。もう一緒に帰れない』と告げました。
結局さわれもしない恋でした。
『どうせ悲しいのなら恋なんてしなくていい』

君はうつむいたまま言った。
「どうせ悲しいのなら恋なんてしなくていい」
まるで終わってしまった恋を見送るように。
失ってしまった恋を見届けるように。
静かにつぶやいた。
だから僕は君の手を握った。
「僕と恋をしよう。君に幸せをあげるから」
『ほら、私を「好き」にしてよ。』

いつもあなたはタイミングを逃す。
何度かチャンスをあげたのに、それすら気づかない。
ほら、私を「好き」にしてよ。
私は出会った頃から、あなたのことを嫌いじゃないんだから。
永遠の片想いにしないでちょうだい。
そして、またあなたはチャンスを逃す。
「iotuは、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「いなくなったりなんてしないよ」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をついた。
それは歩き出すための嘘だった。
「いなくなったりなんてしないよ」と。
自分の夢を叶えるために君を置いて歩き出す。
僕は、すぐさまバレるような嘘をついた。
本当に、ごめんね。
本当の事を言って君が泣くのを見たくないんだ。
だから嘘をついた。
「愛している」唐突に耳元でささやかれた。
くすぐったくて、思わず笑ってしまった。
「そう言って欲しいんでしょ?」と彼と視線が合う。
「あなたが本気じゃないことぐらいお見通しよ」と私は断言した。
すると、彼はつまらなさそうな顔をした。
「愛しているわ」と私は彼の鼻にくちづけをした。
泣きそうな顔をした彼が家までやってきた。
とりあえず上がってもらうことにした。
話はそれからだ。
お気に入りの紅茶を淹れ、お気に入りのティーカップを出す。
「ごめん」と彼は歪んだ紙箱をテーブルの上に置いた。
中には崩れたショートケーキ。
記念日を覚えていてくれたと知り、舞い上がる。
広々とした大地を見て、少女は感嘆する。
これこそ探し求めていた世界であった。
父から譲られた万年筆でメモを取っていく。
少しの過不足もなく。
それを側で見ていた少年は目を細める。
太陽のように光る少女が眩しかったからだ。
少年には、輝かしい目的がない。
未来に向かう姿が羨ましかった。
初々しい花嫁御寮は初夜の作法も知らないらしい。
これから更けていく夜に泣き顔で、自分の手のひらを軽く握る。
困ったことになったと花婿は思う。
これから共に歩んでいくのだから、最初が肝心だ。
花婿は花嫁の手に手を重ねる。
そして、涙が伝う頬にくちづけをする。
「大丈夫だよ」と甘く囁く。
風邪を引くと決まって夕食はカレーになった。
母曰く、栄養的にもベストだそうだ。
他の家ではプリンやリンゴやらを食べるらしいのに。
熱を出して、早退してくると母は楽し気にカレーの仕込みを始めた。
何事も教科書通りにはいかない、ということだろうか。
重い体をベッドに置いた。
『記憶じゃなく、傷にして。』

「君のことは忘れないよ」と僕が言った。
どんなに離れていても、この想いは忘れられないだろう。
一生、抱えていくような想いだった。
「記憶じゃなく、傷にして。消えないぐらいの痕を残して」君は言った。
記憶は薄れるけれども、傷跡は生々しく残るだろう。
『スキャンダラスな女』

彼女は有名だ。
彼女が主演のドラマが始まると週刊誌たちがこぞって華やかになる。
『スキャンダラスな女』と取材陣は書きたてる。
けれども、メイクを落とした彼女のことは幼なじみの僕しか知らない。
彼女はドラマの視聴率を上げるためだけにスキャンダラスを演じる。
『どうせだなんて』

『どうせ』だなんて、言わないで。
あなたはあなたであることだけで魅力的なのだから。
ほんの少しのすれ違いで、それが伝わらなかっただけ。
あなたの魅力は私が知っている。
だから、涙を拭いて、終わった恋にサヨナラをしましょう。
あなたの魅力に気づかなかった人へと。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは自分の幸せのための嘘でした。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」、と。
本当に、ごめんね。 」

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僕はひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは自分の幸せのための嘘だった。
君のための嘘ではなかった。
「くだらない毎日なんて、消えてしまえ」と。
君の前で言った。
本当に、ごめんね。
君と過ごす日々は、かけがえのないものだったのに。
つまらないものにしてしまった。
心の中で謝った。
君は世界を救う聖女だという。
たった一人のかけがえのない人柱だという。
僕の知っている君は、お転婆で、無垢な笑顔を浮かべる普通の少女だった。
僕は君に恋していた。
けれども『ずっと』はない。
人柱になる日が近づいてきた。
僕は君の手を引いて、逃げ出した。
世界ごときに、渡してたまるか。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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