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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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デパートの屋上から見る景色は光がさざめき、まるで生き物のようだった。
僕と君と二人きり、冷たい風にさらされている。
君は目を逸らしつつ、僕の両手に指を絡める。
君の不安が伝わってくるようだった。
「やめておく?」と僕が尋ねると君は首を横に振った。
僕たちは手を繋いだまま踏み出した。
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『どうせいつかなら
 本日サヨウナラを』

今日はいい天気だった。
洗濯がはかどった。
どこまでも青い空に心からの笑顔を浮かべられそうだった。
朝食を用意していると、あなたが起き上がってきた。
どうせいつかなら本日サヨウナラを告げるのがいい。
あなたは追いかけてきてはくれないから。
『いっそ
 もう
 思い出さないで』

あなたはどうして明るい声で、私に話しかけるの。
もう恋人同士ではなくなったんだよ。
『友だちに戻ろう』とあなたは言ったけれども、そんなの無理だよ。
私の心は傷ついていて、今にも涙が零れそう。
私のことは、いっそもう思い出さないで。
消えたいよ。
『思い出人魚姫は空に憧れる』

大海原とは違う青の世界。
そこはどんなところだろう。
大海原を染めていく太陽と月が昇る世界。
そんな世界に行ってみたかった。
けれども、それは思い出だ。
人魚姫は真珠の涙を零して泡になってしまったのだから。
大海原の一部になってしまった。
もう行けない。
「iotuは、ひどくためらいながら最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「絶対にあきらめたりしないよ」、と。
こんな酷い嘘は、もう二度と吐けない。」

------

僕は、ひどくためらいながら最後の嘘をついた。
それは歩き出すための嘘だった。
「絶対にあきらめたりしないよ」
君に誓うように言った。
本当はすでにあきらめているのに。
こんな酷い嘘は、二度と吐けない。
君が安心する笑顔を見たいだけだった。
そのために嘘を吐いた。
嘘はこれで最後にするよ。
君を想うと長い夜が明けてしまうほどだった。
今日も空が白み始めるのを見てしまった。
この気持ちは君にどこまで届いている?
ぐっすりと眠っているだろう君に問いかけたくなる。
スマホを見て、ためいきをつく。
君から『お休みなさい』というスタンプを送られてから、ずいぶんな時間が経った。
「僕は君が好きだ」と告白した。
崖から落ちるような気分で、心拍数は上昇中だ。
「私もあなたが好きよ」と君はニッコリ笑顔で言った。
「だって、一番の友だちだもの」と君は続ける。
違う、そうじゃない。
好きな種類が違うのだ。
それを説明するのは気恥ずかしかった。
告白のやり直しをしたい。
黒板を見ていら、緊迫した雰囲気の放送委員会の放送が流れた。
体育館に集合させられた。
なんのことはない。
非常訓練だ。
体育館は寒く、早くあたたかい教室に戻りたいと思ってしまう。
校長先生の話は思いのほか長くて、それを我慢する。
誰か貧血で倒れないかな、と不謹慎なことを考えてしまう。
夕方、君と一緒に下校をするのは何度目だろうか。
まだ数えられるほどしか、一緒にいない。
君は恥ずかしそうに、腕を触れ合わせる。
僕の心臓がトクンッと跳ねた。
君の頬が赤いのは夕暮れだから、じゃないよね。
きっと僕の頬も同じぐらい赤くなっている。
そんな予感がする。触れ合った腕が熱い。
「傘、持ってきていないの?」君が僕に尋ねた。
昇降口で立ち尽くしていたからだと思う。
僕は傘を持っていたけれども、雨音を聴いていたかったから、残っていた。
「持ってくるの忘れたんだ」と嘘をついた。
「じゃあ、一緒に入っていく?」と君が言う。
『孤独ともう一度出会いなおすなら』

孤独ともう一度出会いなおすなら、満月の夜がいい。
明るい月が僕を照らしてくれるだろう。
僕は静かに孤独を抱きしめて道を歩き続けるだろう。
月は寄り添って僕を包みこんでくれるだろう。
君が別れを告げた理由は、今でも分からないけれどもそれがいい。
『いらないなら
 その恋ちょうだい』

失恋したての僕はうつむいて、コーヒーをかき混ぜていた。
冷めていくように、恋の終わりをなぐさめるように。
向かい側に座って君はミルクティーを飲んでいた。
「いらないならその恋ちょうだい」無邪気に君は笑った。
「私があなたを幸せにしてあげる」
『詩うたいには言葉をたむけて』

「僕が死んだら、花じゃなくて、詩を詩ってほしい」と君は言った。
君はボールペンを持つ手すら力がなく、側に置かれたノートには意味不明な文字が踊っていた。
それが終わりに近いことが僕にもわかった。
何遍も紡いだ詩うたいには言葉をたむけて、終焉を。
「iotuは、特別に優しい声で最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と。
本音は仕舞い込んだまま。」

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僕は、特別に優しい声で最後の嘘をついた。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「君が居なくても何も変わらないさ」、と愛をささやくような声音で言った。
本当は君が居なければ、夜を越すことも難しいのに。
君の心の重荷を少しでも軽くするために微笑んだ。
僕の本音は仕舞い込んだまま。
大通りで白金色の頭髪の少年を見かけた。
少女は思わず路地裏に身を隠す。
少年の隣には金髪の少女がいた。
恋人だろうか。
頭だけはいい、愛想のない少年のどこがいいのだろうか。
お人形さん遊びをするようなものだろう。
少女はさりげなさを装いながら少年の前に現れた。
「ごきげんよう」と笑う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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