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ついったーでポストした創作文芸系のlog。 中の人の都合でUPされないlogもあります
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「今日は付き合ってもらうわよ」君は大袈裟に言う。
「ただの買い出しだろう」と僕はぼやいた。
「違うわよ。二人っきりなのだからデートよ」君は高らかに言う。
「へいへい」と僕は適当な返事をした。
すると君は無理矢理、僕の両手を折れんばかりに握る。
「痛いな」と抗議すると「そんなに嫌?」
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『すっかり好きだった』

いつの頃からだろう。
いや想った時間は関係ない。
初め探しをしなくてもいいだろう。
この想いは揺らがないのだから。
気がつけば、君のことがすっかり好きだった。
嫌いなところもあるけれども、それを含めて大好きだった。
この気持ちをそれとなく伝えられるだろうか。
『さっくりと割れた気持ち』

モナカを割るような感じだった。
さっくりと割れた気持ちは、端の方からほろほろとこぼれて、元には戻らない。
君は不器用に割った半分を私にくれようとするけれども、私はまるごと一つを食べたかったのだった。
行き場のない気持ちを抱えたまま夜は更けていく。
『ところで君は死にますか。』

他愛のない雑談の途中だった。
ところで君は死にますか。と訊かれた。
生きとし生けるものだから、いつかは死ぬだろう、と簡単に答えた。
あなたは『そうですか』と淡い笑みを浮かべた。
また雑談に話は戻っていった。
いったい、どういう気持ちだったのだろう。
「iotuは、まるでいつも通りに最後の嘘をつきました。
それは相手を楽にするための嘘でした。
「もう、迷わないよ」、と。
本当に、ごめんね。」

------

僕は、まるでいつも通りに最後の嘘をついた。
息をするかのように嘘を重ねてきた。
理由は様々だった。
けれども最後の嘘にしようと思う。
それは相手を楽にするための嘘だった。
「もう、迷わないよ。今までありがとう」と。
もう決めたことなんだ。
本当に、ごめんね。
いつまでも優しい君でいて。
「お願いがあるの」ひどく切羽詰まった声で君は言う。
場所はビルの屋上。
揃えた靴の上には遺書。
もう最期の時だったから、君の言葉を聞く気になった。
「私の為だけに生きて」君は言った。
その表情は僕よりも真剣だった。
「僕は何もかもに疲れたんだ」と僕は告げる。
一歩踏み出せば奈落の底だ。
「おめでとう」白金色の頭髪の少年が言った。
祝福するとはどういうつもりなのだろうか。
少女はテスト結果を張り出された廊下に向かう。
「君の頑張りが評価されたね」と言うと白金色の頭髪の少年は教室に向かっていた。
少女は張り紙を仰ぐ。
同率一位だった。
いじわるを言われたんだと気がつく。
色鉛筆を取り出して、白紙の画用紙に色を重ねる。
思うままに描いていたら、自分の今の気持ちを表したかのような出来栄えになった。
暗くて、濁っていて、汚い。
色鉛筆はこんなにも綺麗な色が揃っているというのに。
まるで鎖をかけられた罪人が最期に描いたような絵ができた。
ためいきを零した。
「iotuは、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をつきました。
それは最初で最後の嘘でした。
「世界で一番、大嫌い」、と。
もう、覚悟は決めたんだ。」

------

僕は、馬鹿みたいだと自分に呆れながら最後の嘘をついた。
それは君に対して、最初で最後の嘘だった。
「世界で一番、大嫌い」と。
はっきりと告げた。
言われた君は動揺を隠さず「どうして、そんな酷いことを言うの?」と尋ねた。
僕が大好きな君に嫌われたかったからだ。
もう、覚悟は決めたんだ。
テレワークで一日中、家にいるせいだろうか。
飼い猫が仕事の邪魔をする。
仕事をしている部屋に、最初はおっかなびっくり入ってきた。
それが今では、キーボードの上でくつろぎ始めた。
液晶画面には意味不明な文字の羅列。
「どいてくれる?」と言うと、構え!構え!構え!!というような態度だ。
君が弱みを見せた瞬間、どうして抱きしめてあげられなかったのだろう。
君の瞳は、今にも涙が零れそうなほどにうるんでいた。
けれども、君は笑顔を浮かべて「大丈夫?」と訊いてきた。
君に気を使わせてしまった。
僕は「大丈夫だよ」と答えた。
「そっか。それならいいんだけど」と君は言った。
とうとう君からハート型のチョコレートをもらった。
今までチロルチョコを1個だった君にしては大進歩だった。
君は『義理チョコだよ』と言ったけれども、頬がほんのり染まっていた。
悲願が叶った瞬間だった。
あとは甘党の兄から守るという使命が待っている。
ハート型のチョコレートは甘かった。
もともと白い顔が血の気を失ったかのように白くなった。
白尽くめ部屋にふさわしく、病人は白い姿をさらしている。
何も力になってあげられない僕は、枕元で座っているだけだった。
言葉も尽きて、君を喜ばすことは無理そうだ。
白い手がふらふらと上がる。
僕は恐る恐る、君の指を両手で包む。
『噂の里帰り』

夫と意見の食い違いで、家を飛び出した。
近所付き合いが活発ではない、いわゆる『街』では相談する相手もいなかった。
逃げるように故郷に帰った。
電車を乗り継いで、帰った実家では笑いものにされた。
我慢が足りないと説教を受けることに。
狭い町では噂になってしまった。
『無粋な君の嘘に酔う。』

君とは久しぶりに再会だった。
偶然の出会いに、そのまま居酒屋へと雪崩こんだのはどういった巡り会わせだったのだろうか。
「奥さんとは別れたの?」と君は明るく言った。
指輪をしていなかったから、そうとられても仕方がない。
「次があるよ」無粋な君の嘘に酔う。
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プロフィール
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iotu(そら)
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非公開
自己紹介:
iotuは五百箇という意味の古語から。
オリジナル小説サイト「紅の空」では、「並木空」というHNで活動中。
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